日本代表グループE、2位通過なるか 因縁のパラグアイ戦へ〈FIFA フットサル ワールドカップ リトアニア 2021〉

八木聖人選手

フットサル日本代表は17日に行われたフットサルスペイン代表との大一番に2－4で敗れ、1次ラウンドの成績を1勝1敗とした。世界ランク1位のスペインに対し、先制点を許しながらも一時は逆転し、後半の途中までは試合を支配することに成功していた。しかし、王座奪還を目指すスペインに、一瞬の守備の綻びを突かれて追いつかれると、審判の判定基準を心得た戦いぶりを見せつけられて、最終的には2点差を付けられてしまった。

この結果、スペインは1次ラウンド突破を決め、日本は得失点差で2位に留まっている。1次ラウンド突破は、最終戦のパラグアイ戦の結果次第となった。とはいえ、この試合の目標は1次ラウンド突破に置くべきではない。というのも、先に行われた試合の結果、日本は4点差以上の点差を付けられて負けない限り、1次ラウンド突破は可能になったからだ。しっかりと2位で、1次ラウンドを突破しなければいけない。

グループリーグを2位で通過した場合、決勝ラウンドの1回戦では、アルゼンチンかイランのどちらかとの対戦となる。そしてグループリーグを3位通過した時は、前回大会で史上最低となるラウンド16敗退という結果の雪辱に燃えるブラジルとの対戦を迎える。「大会の主役になる」という目標を掲げてW杯に臨んでいるブルーノ・ジャパンにとって、いずれは越えなければならない山かもしれないが、過去の対戦で一度も勝利していないブラジルと対戦するよりは、勝った経験のあるイラン、アルゼンチンの方がくみしやすいのは間違いない。

もう一つ、決勝トーナメントに向けて意識する必要があるのは、累積警告数だ。今大会では2度目の警告を受けると、次戦は出場停止となる。1次ラウンドが終われば、累積警告は一度、リセットされる。過去2試合でイエローをもらっている選手たちは、ここでカードをもらわないように警戒が必要だ。

日本は2020年2月、国内でパラグアイ代表と国際親善試合を行った。この時は2点を先行される展開になるが、W杯の登録メンバーにも入ったFP皆本晃、FP吉川智貴がそれぞれゴールを決め、2－2に持ち込んだ。試合終盤、ホームのファン・サポーターに勝利を見せたい日本は、パワープレーを仕掛けたがパワープレー返しを浴びて敗れている。今回はこの試合のリベンジをかけて一戦ともなる。

カルロス・チラベルト監督

前日練習後の取材に応じたカルロス・チラベルト監督は、日本の2試合をしっかり分析し「あの時とは全く違うチームになっている」と、警戒心をあらわにした。また、主力選手でスペイン1部リーグのエルポソでプレーするキャプテンのFPチョロ・ペレスも、「私たちは2位で次のラウンドに行きたい。勝利を目指して戦う」と、コメントしている。

どんな相手に対しても、勝利のみを目指すのは、ブルーノ・ジャパンの信条でもある。パラグアイ代表は今大会で7度目のW杯出場。そして、4度のW杯はチラベルト監督の下で戦っており、チームの意思統一はしっかりとはかれている。今大会でも第2節のアンゴラ戦では、相手が壁を作る前に素早くリスタートして挙げたゴールがあったが、あのプレーのような隙を逃さない、したたかさを兼ね備えているチームでもある。

日本代表のFP星翔太は、善戦したスペイン戦後に「分析する人に『良い試合でした』と言ってもらうのは、全然いいのですが、僕らは勝たないと意味がありません。勝ち点も取れるはずの試合だったのが、勝ち点1も取れずにゼロだった。チームとして結果を追い求められなかった」と、悔しさを露わにした。しっかりと南米の強豪であるパラグアイを抑え、2位で1次ラウンドを突破し、決勝ラウンドへ勢いをもって臨みたい。

文：河合 拓

★「FIFA フットサル ワールドカップ リトアニア 2021」
9/12（日）～10/3（日） J SPORTSで日本戦＆決勝トーナメントの全試合生中継。
J SPORTSオンデマンドでは全52試合LIVE配信