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サッカー フットサル コラム 2019年5月17日

【FIFA U-20ワールドカップ 日本代表インタビュー】今までいなかったような10番のプレーを見せたい~湘南ベルマーレ・齊藤未月~

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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強い意志を持った瞳から放たれる視線は、常に対峙する者の心をも射貫く。それはピッチの上でも、ピッチの外でも同様に。「ちっちゃいからってボールが奪えないとか、ちっちゃいからって球際や走ることで負けるとは本当に思われたくないので、ワールドカップという世界一を決める所ですけど、僕個人もボールを奪ったり、前に出て行くという所でも世界一になりたいなと思います」。湘南から世界へ。未来を懸けた齊藤未月の大いなる挑戦が幕を開ける。

すべては勝つために。そこに対して妥協するつもりは毛頭ない。「1人違った言動だったり、違ったプレーだったり、違った姿勢を見せるのが大事かなと思っていて、そこで浮く分には全然いいなと思っていますし、人と同じことをするんじゃなくて、ちょっと違った立場でやるのが大事かなと思っています」。

冷静と情熱の入り混じり方も彼の小さくない魅力だと思う。「日本代表は勝てないとか、そういうふうに思われている可能性は凄く高いと思うんですよね」と話した直後。「でも、それを覆せるのがサッカーだと思いますし、それを覆した時が一番僕たちも楽しいと思える瞬間だと思うので、そこは日本を背負っている分、ワールドカップで示したいなという気持ちはありますね」と言葉を続ける。

この世代ではずっとキャプテンを託されてきたが、その役割に対する自身のイメージはあまりないという。「キャプテンというイメージは個人的に全然なくて、この年代の代表になってからキャプテンとして活動している印象なので、そこはカゲさんが選んでくれて、任せてくれているからこそ、やれているのかなと思います」。チームの空気感も、このグループの大きな武器だ。「雰囲気は本当に良いですよ。みんな本当によくしゃべるし、明るいし、監督の話を聞かないし(笑) でも、逆にそれがいいんじゃないかなと思いますけどね」。そんな雰囲気の中でも、ピッチにチームが集まると自然体で振る舞う彼がキャプテンである理由は、不思議とハッキリ見えてくる。

ジュニアから湘南ベルマーレ一筋。このクラブを代表して、という意識も強い。「やっぱり湘南で育って、湘南で自分のプレースタイルを確立して、それがあって日本代表としてプレーしているので、湘南のサポーターの人は湘南でやっているようなプレーが見たいと思いますし、『そういう活躍をしてくれ』と思ってくれていると思いますし、湘南でやっているようなことをやるべきかなと思います」。その想いに、もう1つの想いも加わる。「自分にとって大事な存在です」と言い切った盟友の石原広教の落選。簡単に負けられない理由がそこにもある。

「ほとんど付けたことがないですし、たぶんそういうキャラクターではないと思います」と表現した背番号は10に決まった。だからこそ、楽しみが増えたと笑ってみせる。「新しいタイプの10番じゃないですけど、今までいなかったような10番のプレーを見せたいなと思いますし、だからこそ個人的には楽しみですね。10番でキャプテンマークを巻いて、パスとか技術が上手いのではなくて、ガツガツしたプレーだったり、ボールを奪うとか、そっちのプレーでチームを勝たせられたら本当にカッコイイなと思います」。10番でキャプテン。否が応でも注目される立場で戦う覚悟は、既に決まっているように見えた。あるいは、そんなものは10番でなくても、キャプテンでなくても、ずっと前から定まっていたのかもしれない。

個人的に初めて齊藤と会ったのは2015年5月。ユース所属ながら2種登録選手として初めてトップチームの公式戦のメンバーに入り、アウェイへと旅立つ直前に少しだけ話す機会に恵まれた。15歳。高校1年生。そんな背景を忘れるくらい、まっすぐな目と、堂々とした姿勢で挨拶する姿が強く記憶に残っている。あれから4年。印象はあの日と全く変わっていない。ポーランドの地でも彼の圧倒的なメンタリティは、チームの窮地を確実に救ってくれるはずだと確信している。

最後に聞いてみる。「自分に自信はありますか?」。即答だった。「正直、そこに関しては相当自信を持っていますし、自信がないとそうは言えないと思っていますし、絶対にやれると思っています」。まっすぐな目と、堂々とした姿勢と。未来を懸けた齊藤未月の大いなる挑戦が幕を開ける。

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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