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先日、コンフェデレーションズ・カップを廃止し、その代わりにクラブ・ワールドカップを4年に一度の大会に変更することをFIFAが決定したというニュースがあった。 コンフェデレーションズ・カップは、1992年に当時、莫大な石油収入で飛ぶ鳥を落とす勢いだったサウジアラビアが自国で開催した招待大会をFIFAが引き継いだもので、当初は2年に1度開かれていた時期もあり、1990年代以降アジアの強豪国となった日本代表も何度も参加している。
しかし、各大陸から1チームだけが参加する(その後、ワールドカップ優勝国も参加するようになった)大会のレベルは当然ワールドカップのように高くなかったので、それほど権威のある大会にはならなかった。そこで、最近ではワールドカップ前年にワールドカップのプレ大会として開かれるようになっていた。
開催国にとっては翌年の本番を前にしての貴重なリハーサルであり、会場や運営の不備を見直すための重要な機会となるし、参加国にとっては翌年の「本番」をの前に会場の雰囲気や気候、練習場などの設備を実体験できる貴重な場となる。 大会を取材する僕たち記者団や観戦を予定しているサポーターにとっても、前年に開催国に行って地理的な関係や交通機関を経験しておくのはそれなりに貴重な体験ではあった。
だが、いずれにしても先ほど述べたように、大会としての意義はあまり見いだせないのが実情だったし、ヨーロッパ諸国にとっては貴重なオフの6月に選手を拘束することは大きな問題となる。あるいは、翌年のワールドカップ予選を戦っている代表チームにとっては、コンフェデ出場は負担になってしまう場合もある。というわけで、コンフェデレーションズ・カップの廃止は当然の決定のような気がする。
さて、FIFAはコンフェデレーションズ・カップを廃止する代わりに、クラブ・ワールドカップを今より大規模化して4年に一度開催するのだという。つまり、毎年開かれてきたクラブ・ワールドカップは今年12月のUAEでの大会を最後に廃止となり、次はカタール・ワールドカップ前年の2021年の6月に開かれるわけだ。
この大会は、かつてのトヨタカップの後継大会だった関係で日本で開催されることが多く、ガンバ大阪がマンチェスター・ユナイテッドと打ち合いを演じてみたり、鹿島アントラーズが決勝戦でレアル・マドリードと大接戦を演じてみたりと日本人にとっては思い出深い大会だ。今年のUAE開催の後には再び日本に戻ってくるかと思っていたが、どうやらそれは夢になってしまうようだ。
従来のクラブ・ワールドカップは、それこそコンフェデレーションズ・カップと同様に各大陸のチャンピオン(+開催国王者)だけが参加する大会だった。実力で言えば強豪クラブはほとんどヨーロッパのクラブのはず(だから、たとえ鹿島が決勝でレアルに負けて準優勝になったとしても、鹿島が「世界第2位」のクラブではありえないのだ)。
クラブ・レベルの本格的な選手権大会とするには、やはりヨーロッパや南米から多数の強豪を参加させ、そこに他の大陸チャンピオンが挑むような形式にする必要がある。だから、クラブ・ワールドカップを拡大しようという点についても納得することができる。 ただし、クラブ・ワールドカップが4年に一度というのは、どう考えても納得することはできない。
代表チームによるワールドカップは4年に一度で問題はない。代表チームは、そのレギュレーションに則って4年に一度のサイクルで準備を進めればいいわけだ。ヨーロッパの場合なら、UEFA主催の「EURO」とワールドカップの2つの大会を軸に代表は2年を1サイクルとして戦っている。
しかし、従来のクラブ・レベルの大会はすべて1年サイクルで回っているのだ。 たとえば、現在行われている2017/18シーズンのUEFAチャンピオンズリーグに出場しているクラブ(レアル・マドリードやバイエルン・ミュンヘン、リヴァプール、ローマが勝ち残っている)は、いずれも2016/17シーズンの国内リーグで上位に入ったチームなのだ。そして、今シーズンの国内リーグの上位チームは、2018/19シーズンのチャンピオンズリーグに出場する。
これはどこの大陸でも同じことで、たとえば今シーズンのJリーグで首位を走っているサンフレッチェ広島はACLには出場していない一方で、Jリーグで下位に低迷している鹿島アントラーズがACLで活躍し、ラウンド16進出を決めている。
さて、今年のチャンピオンズリーグ優勝チームは12月のクラブ・ワールドカップに出場できるが、来年の(2018/19シーズンの)優勝チームはクラブ・ワールドカップに出られないことになる。次にクラブ・ワールドカップに挑めるのは2019/20シーズンの国内リーグで上位に入り、2020/21シーズンのチャンピオンズリーグで上位に入ったチームということになる(それとも、過去4シーズンのチャンピオンズリーグ優勝クラブに出場権が与えられるのだろうか?)。
いずれにしても、4年に一度のクラブ・ワールドカップというのには違和感がある。 僕が、FIFAにぜひ主催してほしいのは、クラブ・レベルと代表レベルでの「ワールドリーグ」、ホーム&アウェーで戦う大会だ。そうすれば、日本代表やJリーグクラブが世界の強豪と戦う姿が日常的に見られることになる。もちろん、実力的に日本代表もJリーグクラブもワールドリーグ1部には入れない。しかし、ワールドリーグの2部、3部が発足すれば、3部リーグの日本代表は、たとえばブルガリアとかフィンランドとかといった実力差が少ない相手と切磋琢磨できるわけだ。
ファンにとっては、来シーズン2部に昇格するための手に汗握る接戦に一喜一憂できる(もし、2部に昇格すればオランダやスウェーデンと対戦できるのだから、楽しみは大きい)。そして、日本代表チームにとっては力が同等か少し上の相手と常に真剣勝負を戦うことによって飛躍的に強化していけるチャンスとなるはずだ。
もちろん実現には多くの困難があるはずだが、矛盾をはらんだ4年に一度のクラブ・ワールドカップよりも「ワールドリーグ」をぜひ実現してほしいのである。
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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