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サイクルロードレース コラム 2026年4月7日

オウデ・クワレモント征服のポガチャル 粘るマチューやレムコを振り切り3度目の優勝|Cycle*2026 ロンド・ファン・フラーンデレン:レビュー

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ロンド・ファン・フラーンデレン

3度目の優勝、タデイ・ポガチャル

いまをときめくビッグネームの競演。オールスターレースとなった第110回のロンド・ファン・フラーンデレンは、最大の勝負どころオウデ・クワレモント3回目の登坂で勝負を決めたタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG)が2023年・2025年に続く3度目の優勝。今回も最大のライバルと目されていたマチュー・ファンプール(アルペシン・プレミアテック)、注目の初参戦となったレムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)らを振り切り、独走でアウデナールデのフィニッシュラインへと到達した。

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「本当にクレイジーなレースだったよ! 何がどうだったかなんて言葉では言い表せないくらいさ。いつからかとても苦しくて、ずっと耐えていたんだ。自分にとって有利に働くレースになったのが勝因だね」(ポガチャル)

踏切でメイン集団が足止め

2年ぶりにアントワープにスタート地が戻ったロンド。石畳を含んだ16カ所の急坂区間と、6カ所の平坦石畳区間が待つ278.2kmの行程。昨年と比べレース距離が長くなったが、どんな変化をもってしても3回の登坂をこなすオウデ・クワレモント(2.2km、平均勾配4%、最大勾配11.6%)と、2回登坂のパテルベルグ(360m、12.9%、20.3%)が最重要ポイントであることは変わらない。

難コースに挑む選手たちの顔触れがいつになく華やかだ。ここ数年優勝を分け合っているポガチャルとマチューに加えて、怪我から完全に復調したワウト・ファンアールト(チーム ヴィスマ・リースアバイク)とマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)、さらにはレムコが初のロンド挑戦を表明しフランドルのファンはスタート前から熱狂。名を挙げきれないくらいのアウトサイダーの多さも、ライダーのみならず観る者をもドキドキさせる。

緊張感漂う中で切られたスタートは、直後から激しいアタックが頻発。30km地点を過ぎたところで13人が先頭グループを形成したところから、この日のシナリオが本格的に作られていった。

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【フィニッシュシーン】ロンド・ファン・フラーンデレン|Cycle*2026

ポガチャル擁するUAEチームエミレーツ・XRGは、早い段階からメイン集団の主導権を確保した。先頭グループとは3分30秒ほどのタイム差でペースコントロール。そんななか、スタートから65kmほど走ったところでメイン集団にイレギュラー発生。踏切で遮断機が降り、間一髪通過できたのは前方を走っていた数十人。ポガチャルやレムコは通り抜けた一方で、マチューやワウトは電車通過待ちを強いられてしまった。コミッセール(審判)がポガチャルらを減速させ、後続の合流を待つよう指示したことで、レース再開時には先頭との差は5分以上に広がっていた。

ペースメイクし直しになったUAE勢だが、ミッケル・ビョーグが労せず組み立てる。やがて1回目のオウデ・クワレモント登坂を迎えると、先頭グループでは日本のレースでも好成績を残しているジャムバルジャムツ・サインバヤル(ブルゴス・ブルペレット・BH)が一番登頂。メイン集団では、クリストフ・ラポルト(チーム ヴィスマ・リースアバイク)やロマン・グレゴワール(グルパマ・FDJユナイテッド)らが小さなアクションを起こしたこともあり、自然とペースアップ。フィニッシュまで100kmを切ったところで、タイム差は3分台後半まで縮まった。

流れを変えたのもやはりUAE勢。全体9番目のセクターであるモーレンベルグに向かってニルス・ポリッツがスピードアップ。これを好調のフロリアン・フェルミールスが引き継いで急坂をこなす。この動きを耐えられたのはわずか17選手。“ビッグ5”のポガチャル、マチュー、レムコ、ワウト、ピーダスンも加わった。さらに20kmほど進んだところで先頭グループに合流し、実質のメイン集団へと転化した。

次なる大きな局面は残り57km。オウデ・クワレモント2回目の登坂でやってきた。アシスト陣が作るハイペースに乗ってきたポガチャルがいよいよ腰を上げる。攻撃に出ると、真っ先にワウトが応戦。ピーダスンも追随する。苦しみつつもマチューとレムコも食らいつく。これを見たポガチャルは頂上目前でもうひと踏み。今度はマチューとレムコが続いたが、ワウトが対応しきれなかった。

ロンド・ファン・フラーンデレン

ポガチャルの加速で集団はズタズタに

「クワレモントの上り自体は思い描いていたものだった。ただ......純粋に脚力が足りなかったんだ」(ワウト)

続くパテルベルグでは、一瞬レムコが前に出たが、すぐにポガチャルが抜き返す。グイグイと踏み込むポガチャルについていけたのはマチューだけ。先頭に立った2人に対してレムコは5秒前後の差で追いかける。その後方ではワウトとピーダスンが協調して追走を試みるが、最前線にいるのは何年と“最強”を分け合うポガチャルとマチューである。追う3人が届くことは最後までなかった。

ポガチャルが恐れていたのはマチューよりも......

いよいよ3回目のオウデ・クワレモント登坂。リードを続けた2人だが、ここまで来ると余力の差は明白だった。ポガチャルが踏み込むと、マチューはズルズルと後退。直後のパテルベルグも難なくこなしたポガチャルは、フィニッシュまで残る17kmをウイニングライド。大観衆が待つフィニッシュ地アウデナールデへ、満面の笑みで到達した。

これで大会最多に並ぶ3度目のロンド制覇。どこまでもプラン通りに、いとも簡単に勝っているように思えてしまうけれど、さすがにそれは本人が否定する。

「ロンドはシーズン最大のレースのひとつなんだ。簡単なわけないよ。今日なんか特に大変だったと感じているくらいだよ。みんな本当に強いし、常にアグレッシブだからね。だからこそ良いレースになるんだよね。僕が勝てたのは幸運だったさ」(ポガチャル)

ポガチャルにとっては、マチューとリードする状況に持ち込めたのが好都合だった。脅威はレムコだったという。一度引き離した彼が再合流すべく迫ったとき、さすがの王者にも不安がよぎった。

「マチューがどう思っていたか分からないけど、僕としてはレムコが戻ってくるのが嫌だった。彼の持久力を知っていれば、それがレースを決める要素になるのは誰でも分かる。彼が盛り返したら、僕には勝ち目がなかったかもしれない。彼が近づいてきたとき、もう一度差を広げないといけないと思ったよ」(ポガチャル)

ロンド・ファン・フラーンデレン

ポディウムでセルフィーを撮るファンデルプール

それを聞いたレムコは、ポガチャルとのマインドの差を受け止める。まさに自身の足りなかった部分だと認めた。

「何が足りなかったのかって? タデイが僕を追いつかせまいと力を費やしたあたりだろうね。マチューは僕が追いついても問題なかったと思う。でも、タデイは僕が相当嫌だったんだろうね(笑)」(レムコ)

次戦はパリ〜ルーベ

ポガチャルはこれで今季3戦3勝。3月のミラノ〜サンレモに続きロンドも勝ち、史上初となる同一シーズンのモニュメント全勝への期待も膨らむ。次なる関門は4月12日のパリ〜ルーベ。昨年は初出場でマチューとの優勝争いに持ち込んだが、要所での落車でトップに立つことはできなかった。

「まだまだ強くなれるはずだよ。それを感じられるのが大きな喜びなんだ。何より、みんなと切磋琢磨しているからレベルアップできるんだ。感謝しかないよ。モニュメント全勝? 5戦中2勝しかしていないのにもうそんな話?(笑)。間違いなくルーベへのモチベーションは高いよ。レースが楽しみだね」(ポガチャル)

敗れたマチューもルーベへは強い想いを抱いている。今回のレース自体は悪くないといい、次へつながる内容だと明るい。ルーベへの自信は揺らいでいない様子だ。

「いまできる最高のパフォーマンスだった。今日は満足しているし、僕の走りを証明できていると思う。やることは来週(ルーベ)も同じさ。今日は今日で結果を受け入れて、次に向かっていくよ」(マチュー)

パリ〜ルーベは、ロンドとは違った、誰もが描けないストーリーが待っていることだろう。

約30人に踏切通過時のペナルティの可能性

最後に、前述した踏切で発生した事案に関して。レース開催地ベルギーの報道によると、踏切で示されたシグナルを無視または見落として走行を続けた選手に対し、罰金や短期間の運転禁止といったペナルティが課される可能性があるという。

同国の交通規則では、遮断機が下りていない状況でもシグナルが点いている際は停止することが義務付けられており、このレースにおいては約30人が無視していたとの見解がなされている。今後、当局が違反者の特定を図るとの見方も。この件においては、もう少し動静を注視していく必要性がありそうだ。

ちなみに、このレースでポガチャルはグリーンエリア外でのゴミ捨てがあったとして、500スイスフラン(約10万円)の罰金とUCIポイント25点の減点。同様にレムコも、ボトル受け取り時の違反で200スイスフラン(約4万円)の罰金となっている。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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