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サイクルロードレース コラム 2026年4月1日

【輪生相談】自分に合うクランク長を知る方法ってないものでしょうか?

輪生相談 by 栗村 修
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ロードバイク歴30年、アップダウンのあるロングライドのイベントに年数回参加しています。
数年前、タデイ・ポガチャルがクランク長を172.5ミリから165ミリに変えて更に走りに磨きがかかり、プロ選手は元より一般のサイクリストにも「ショートクランクが良い」といった意見が多く見られます。
ですがショートクランクにした結果、元の長さが良かったという人もいます。私も170ミリから165ミリに変えて長期間使用しましたが、勾配がきついところではトルクのかかりがイマイチで平地の巡航も遅くなり、元に戻しました。身長が164センチなので170ミリは長い部類と思いますが、私には合っている感じです。
そこで質問です。長さの違うクランクを購入せず、且つショップでのクランク長無料体験サービスなどを使わずに、自分に合うクランク長を知る方法ってないものでしょうか?

(男性 会社員)

 

流行のショートクランクですが、僕がSNSやブログなどで情報収集した限りでは、「やっぱり合わない」という人が多いようです。

結論から申し上げると、大枠では慣れ、すなわち「順応」の問題だと思うんです。順応することが軽視されている結果、理屈上はよいはずのショートクランクがなぜか合わない、という現象に首をかしげる人が多いのかなと思いますね。

20数年ぶりにトレーニングに復帰した僕も、ポガチャルに憧れて165㎜のショートクランクを使っています。現役時代は170㎜だったので、かなり短くなっているわけですが、悲しいことに乗らなかった期間が長すぎて、よい・悪い以前にクランク長が変わったことすら体感できない状態でした。違和感はまったくないですが、速くなった感も全然ありません。要するに身体がリセットされていたわけです。

思うに、ショートクランクについては、みんな構造上の議論ばかりに気をとられて、「身体の使い方」のほうが見落とされている気がします。ショートクランクにはショートクランクに適した身体の使い方があると思うんですが、それを身につけるには「肉体改造」という意識が必要なのではないでしょうか。

本来、クランク長が変われば走り方も変える必要がありますが、身体の使い方や走りはそのままにしていたら、メリットを最大化できない可能性が高いです。そこに目を向けずに「ショートクランクはよい・悪い」という議論がなされている気がします。

ここで改めてショートクランクのメリット・デメリットを一般論として簡単にまとめてみますね。

まず、クランクを短くするとテコは減るので、同じ勾配で同じケイデンスなら必要トルクは増えます。ただし、現実にはギアを1枚軽くしてケイデンスを上げることで相殺できることが多い。

また、短いクランクは一般に上死点で股関節が「詰まりにくい」ので、前傾を深くしても回しやすいです。逆に言うと、ケイデンスを上げられない、または空力の良い深い前傾姿勢でも上死点での詰まりをあまり感じないのであれば、短いクランクのメリットを得られない可能性があります。

質問者さんが急勾配でトルク感が薄い、あるいは巡航が遅いと感じるのは、軽いギアに落とさず同じペダリングを維持してしまっている可能性があります。さらに、関節の詰まりが元々少ない、低~中ケイデンスで踏み続ける適性が高い、といった場合もメリットは薄まります。ショートクランクはトレンドですが、研究結果を見る限り、全員が速くなる魔法ではないようです。

さて、その上で「自分に合うクランク長は」というご質問に答えますと、ほとんどの方にとっては「今まで使ってきたクランク長です」という回答になると思います。もしクランク長を変えて速くなりたいならば、身体の使い方を根本的にアジャストした上で、ワンシーズンは乗り込まないと「合う・合わない」の判断はできない気がしますね。特にキャリアが長い人ほどその傾向は強いと感じています。

思うに、クランク長の最適値を探るのではなく、ショートクランクの特性(メリット)を知り、その特性を引き出す走り方を身につけられるかがポイントでしょう。「プロがやっている=誰でもすぐに速くなる」ではなく、エアロ姿勢、股関節の柔軟性、ペダリングの特性などで効果は変わるということです。

そして、長年かけて何百万~何千万回も回し続けたクランク長への順応は、人によってはとても頑固で、それこそ筋肉の使い方や付き方そのものを変えなければならないレベルに達しているかもしれません。

ヨーロッパのトッププロでも、近年やや不調気味の選手の中には、流行のショートクランクに順応している最中で、そのせいでパフォーマンスを上げ切れていない、というパターンがある気がします。ペダリングは非常に複雑な動作なので、クランク長の変更は、かなり大掛かりな身体の改修を必要とするのではないでしょうか。

プロが使っているから自分も速くなるとは限らない。機材の特性を引き出す走り方が必要だ。

文:栗村 修・佐藤 喬

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栗村 修

中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。

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