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サイクルロードレース コラム 2026年3月19日

春まだ浅いイタリアを駆ける世界最長レース、ミラノ〜サンレモ 開幕から飛ばすファンデルプールか? ポガチャルか?|Cycle*2026 ミラノ〜サンレモ:プレビュー

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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ミラノ〜サンレモ

昨年の優勝者はマチュー・ファンデルプール(アルペシン・プレミアテック)

イタリア語で「春」という意味のプリマヴェーラと呼ばれる伝統の1戦、ミラノ〜サンレモが3月21日に開催される。2年連続3度目の優勝を目指すアルペシン・プレミアテックのマチュー・ファンデルプール(オランダ)が、UAEチームエミレーツ・XRGは絶好調のタデイ・ポガチャル(スロベニア)がイサーク・デルトロ(メキシコ)をアシストにして登場する。

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最後のチプレッサとポッジョが勝負のキーポイント

1907年に始まったイタリアのワンデーレースは2026年で117回目。現在開催されているレースの中では世界最長距離となる約300kmを走る。今回の距離は298kmで、2025年大会より9km長くなっている。スタート地点はミラノから南に40kmほどのところに位置するパヴィア。パヴィアはスタート地点となるだけでなく、3月20日にチームプレゼンテーションも開催。現地時間午後5時からヴィットリア広場で華やかに行われる。

ゴールはもちろんサンレモのヴィア・ローマ(ローマ通り)。レース終盤のコースとフィニッシュ地点は変更なく、カポという接頭辞を持つ伝統的な3つの峠でラストバトルが始まる予感。勝負どころとして注目される標高239mのチプレッサが残り21.7km地点。そして標高160mのポッジョ・ディ・サンレモが残り5.6km地点にある。

ミラノ〜サンレモ

ミラノ〜サンレモ コースプロフィール

距離298kmのコースをもう少しチェックしてみよう。パヴィアを出発すると、いったんミラノ方面へ北上した後、チェルトーザに到着し、そこで伝統的なルートに合流する。選手たちはカゼイ・ジェローラとヴォゲーラを通過した後、周辺地域を迂回してリヴァナッツァーノ・テルメに向かい、80km地点のトルトーナで再び伝統のコースに合流する。そこからレースは110年以上にわたりミラノとリヴィエラ海岸を結んできた歴史的なコースをたどり、オヴァーダを通過。148.3km地点で標高532mのトゥルキーノ峠を越えてジェノヴァのヴォルトリへと下っていく。ここからがいよいよ紺碧の地中海岸だ。

ミラノ〜サンレモ

ジェノヴァで海岸線まで出てからサンレモまで海沿いを走る

後半のルートはアウレリア州道に沿って西へ進み、ヴァラッツェ、サヴォーナ、アルベンガを経由し(2008年から2013年まで含まれていたマニエの上りは除外)、インペリアに到着。サン・ロレンツォ・アル・マーレでは、カポ・メーレ、カポ・チェルヴォ、カポ・ベルタという定番の連続上りの後、近年導入された2つの峠へ。チプレッサ(1982年導入)とポッジョ・ディ・サンレモ(1961年導入)だ。チプレッサは全長5.6km、平均勾配4.1%で、ピークをクリアすると非常にテクニカルな下りとなる。

残り9km地点でポッジョ・ディ・サンレモへの上りが始まる。距離3.7km、平均勾配4%弱、頂上手前で最大8%の急勾配がある。最初の2kmは道幅がやや狭く、ヘアピンカーブが4つある。下りは非常に難易度が高く、舗装路は一部が狭く、ヘアピンカーブと高速コーナー、逆バンクが連続。下りの最後の部分でサンレモの市街地となる。

最後の2kmは、長くまっすぐな市街地の道路が続く。ゴールまで850mの地点でロータリーを左折し、さらに750m地点で最後のコーナーを曲がると、フィニッシュ地点のヴィア・ローマ通りへと続く直線コースに出る。

最近のミラノ〜サンレモ優勝者
2025 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
2024 ヤスペル・フィリプセン(ベルギー)
2023 マチュー・ファンデルプール(オランダ)
2022 マテイ・モホリッチ(スロベニア)
2021 ヤスペル・ストゥイヴェン(ベルギー)
2020 ワウト・ファンアールト(ベルギー)
2019 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
2018 ヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)
2017 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド)

シンプルなコースだけに極めて難しい戦略

UCIワールドチームは全18、ワイルドカードの7チームを加えて合計25チームが出場する。1チームは7人編成だ。チームとしてはアルペシン・プレミアテック(2026年のチーム名称)がファンデルプール、フィリプセン、ファンデルプールをして3連覇中。これに対して初制覇をねらうポガチャルが、ティレーノ〜アドリアティコ総合優勝の若きデルトロをアシストにしてどんな戦いをするのかが興味深い。

ミラノ〜サンレモ

春を彩るモニュメント、ミラノ〜サンレモ

2026シーズンは始まったばかりだが、伝統的ワンデーレースの緒戦であるミラノ〜サンレモへのアプローチは3つのグループに分かれる。ティレーノ〜アドリアティコ(3月9〜15日)を走った選手らがメイン、続いてパリ〜ニース(3月8〜15日)組、そしてストラーデ・ビアンケ(3月7日)組だ。

ティレーノ〜アドリアティコでステージ2勝したファンデルプールはすでにピークシーズンの仕上がりぶりで、今回の優勝最有力だが、フィリプセンがプランBのエースとして使えるだけに、レースの流れによっては戦略をチェンジできる強みを持つ。ファンデルプールはベルギーのオムループ・ニュースブラッドも勝っているが、ストラーデ・ビアンケは山岳レース化したのを嫌って欠場。ポガチャルとは今季初対決となる。

このティレーノ〜アドリアティコでは総合優勝とステージ1勝を手中にしたデルトロが大活躍した。しかし、「ミラノ〜サンレモではポガチャルのためにレースに臨み、自分のために結果を出そうとは考えていない」とコメント。「ティレーノ〜アドリアティコでファンデルプールの後ろにつくことが多かったので、それが役に立つかもしれない」とライバルのマークに徹することも想定される。

イネオス・グレナディアーズのフィリッポ・ガンナ(イタリア)も初日のタイムトライアルを制して実力を発揮。2025年のミラノ〜サンレモはゴール勝負でファンデルプールに敗北したが、そのファンデルプールさえ、「ガンナは山岳でスペシャリストと互角に走れていたから、今年のミラノ〜サンレモでは手ごわい相手になりそうだ」と警戒している。

2015ミラノ〜サンレモの覇者であるチーム ピクニック・ポストNLのジョン・デゲンコルプ(ドイツ)、チューダー プロサイクリングチームのジュリアン・アラフィリップ(フランス)、チーム ヴィスマ・リースアバイクのワウト・ファンアールト(ベルギー)もあなどってはいけない。

ミラノ〜サンレモ

絶妙なコース設定で確実に勝てる選手はいないのがミラノ〜サンレモ

ほぼ同じ開催日程だったフランスのパリ〜ニースを走ってミラノ入りするのは歴代優勝者のクフィアトコフスキ(イネオス・グレナディアーズ)とストゥイヴェン(スーダル・クイックステップ)だ。総合優勝者のヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、チーム ヴィスマ・リースアバイク)はスペインのカタルーニャを走ってジロ・デ・イタリアのために調整する予定で、今回は出場せず。

2週間前のストラーデ・ビアンケで独走勝利したポガチャルはそれ以来のレースとなる。さすがに独走は難しいと予測され、終盤のチプレッサをどのように攻めるかがレース展開を左右する決定的な要因となるだろう。バーレーン・ヴィクトリアスのマテイ・モホリッチ(スロベニア)とピナレロ・Q36.5プロサイクリング チームのトーマス・ピドコック(英国)もストラーデ・ビアンケに出場したが、どちらもテクニカルな下り坂が得意で、難しいダウンヒルであえてアタックを仕掛ける作戦か。

「300kmをサイクリングアプリ上に記録しておきたい」と初出場を決めたユニベット・ローズ・ロケッツのワウト・プールス(オランダ)は、ピドコックとともにストラーデ・ビアンケが終わった後、3月18日のミラノ〜トリノを走ってミラノ〜サンレモに臨む。

2025年はファンデルプール、ガンナ、ポガチャルの3選手によるゴールスプリント勝負。ミラノ〜サンレモのタイトルを初ゲットしたいポガチャルが強力なチーム布陣をペースメーカー使って、どちらかの上りで有利な位置からアタックできれば、レースは一気に加速する可能性がある。「差をつけるためには110%の力を出し切らなければならない」とポガチャル。

ファンデルプールはティレーノ〜アドリアティコでサンレモの攻略法をつかんだ。2023年のポッジョではポガチャルをそこで引き離して初優勝した実績がある。最後の最後にどんな駆け引きがみられるか。その選手たちの動きの意味を知るためには、スタートからそこにいたる300km弱の各チームの思惑を目撃しないと始まらない。今年も長く過酷なミラノ〜サンレモがいよいよ始まる!

文:山口和幸

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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