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ヴィンゲゴーハンセンが鬼門のパリ〜ニースで初優勝、ダブルツール連勝に向けて絶好調でシーズンイン!|Cycle*2026 パリ〜ニース:レビュー
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸総合優勝ヴィンゲゴーハンセン、2位D・マルティネス、3位シュタインハウザー
84回目の開催となるパリ〜ニースが2026年3月8日から15日まで全8ステージで行なわれ、チーム ヴィスマ・リースアバイクのヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク)が総合優勝した。前年は落車リタイアでその雪辱を果たし、「最高の状態でジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスに挑みたい」と自信を見せた。
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配信日時 : 2026年3月18日(水)午後10:20 ~
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【限定】【スタート~フィニッシュまで】Cycle*2026 ミラノ~サンレモ (英語コメンタリー版)
配信日時 : 2026年3月21日(土)午後5:50 ~
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配信日時 : 2026年3月21日(土)午後10:00 ~
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【第1ステージ】2025年に続いて2026年もパリ〜ニースは米国勢が活躍
2025年にマッテオ・ジョーゲンソン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)が総合優勝、マグナス・シェフィールド(イネオス・グレナディアーズ)が最終日のニースでステージ優勝を果たしたのに続き、大会初日のフィナーレでスプリントを制したのは米国選手。EFエデュケーション・イージーポストのルーク・ランパーティだった。米国の若手選手はスプリント勝負で圧倒し、自身最大の勝利を飾った。
154選手がスタート。序盤から逃げていた選手らが捕らえられ、最後はEFエデュケーション・イージーポストが残り1kmでスプリント争いの主導権を握った。マライン・ファンデンベルフ(オランダ)に絶妙のリードアウトを受けたランパーティが最後に伸びた。
「初めてのパリ〜ニース。米国人にとっては幸運と言えるかもしれないね! パリ〜ニースは大きなレースなので、ここで勝利を収めることができて本当にうれしい」とランパーティ。
「ファンデンベルフと私はよく似ている。彼の信念と全力のコミットメントは本当に素晴らしかった。自転車競技で勝つには多くの要素が必要で、すべてがうまくいかなければならない。今日はまさにその通りだった」とコメントを続け、「リーダージャージを持ったのだからそれを守りたい」とも。こうしてレースは太陽の輝く地中海に向けて戦いを始めた。
第1ステージのスプリントを制したのはルーク・ランパーティ(EFエデュケーション・イージーポスト)
【第2ステージ】2位ばかりだったカンターがメジャー初勝利
距離187kmの第2ステージはカテゴリー3級の上り坂が3つ、そして集団スプリントの可能性もある平坦な区間が設定されていた。ランパーティのEFエデュケーション・イージーポストとビニアム・ギルマイ(エリトリア)のNSNサイクリングチームはメイン集団の先頭でペースメーク。集団スプリント勝負に持ち込んだ。
デカトロン・CMA CGM チームはスプリンターのケース・ボル(オランダ)が終盤の落車で遅れてしまい、本来はリード役を務めるダーン・ホーレ(オランダ)が残り21kmでアタック。30秒差をつけたが最後の1km手前で捕まった。XDS・アスタナ チームはマイク・トゥーニッセン(オランダ)が力強く先頭を走り、マックス・カンター(ドイツ)をリード。スプリンターのカンターはここまで2位ばかりだったが、これまでで最大の勝利を収めた。
「フィナーレをコントロールするのは非常に難しかった。タイミングを見極めることが全てだった。トゥーニッセンと私は、できる限り一緒に走ろうと努めた。残り2kmの時点ではベストポジションではなかったが、彼は最後の環状交差点で信じられないほどの加速を見せ、その後も素晴らしいリードアウトを見せてくれた」とカンター。
ランパーティはステージ5位に入り、僅差でイエローとホワイトのリーダージャージを守った。ロット・アンテルマルシェのフィト・ブラーツ(ベルギー)は中間スプリントポイントでボーナスタイムを稼ぎ、総合成績でランパーティと同タイムで並んだが、累計の着順差で2位となった。
マックス・カンター(XDS・アスタナ チーム)が大金星
「今日は本当に特別な1日だった。0km地点からずっと楽しめた。リーダージャージを着るのは初めての経験で本当に楽しかった」と首位を守ったランパーティ。
「ブラーツが中間スプリントでトップになり、総合順位は同タイムになっていた。フィニッシュの前にそのことは分かっていたが、とにかくステージ優勝を目指して走った。チームメートには普通に走るだけだ、彼に勝とうとは思っていない、自分たちになにができるかを見極めると伝えていた。スプリントではもう少し力を発揮したかったが、明日のためにジャージをキープできたのはうれしい。チームタイムトライアルで最後尾のスタートするのは本当にうれしいし、きっとまた楽しめると思う」
【第3ステージ】パリ〜ニース形式のチームタイムトライアルとは?
パリ〜ニース3日目に行われたチームタイムトライアルは、前大会から採用された独自のルールが設定され、チーム内のトップでフィニッシュした選手のタイムがチーム全体としての成績になる。一方で個人総合成績へのタイム加算は各選手の所要時間が適用される。トップと同じ集団でフィニッシュすれば同タイムだが、脱落すれば各選手がフィニッシュしたタイムが自身に適用される。これは2026ツール・ド・フランスでも採用される新たなチームタイムトライアル規則だ。
この日のイネオス・グレナディアーズは、そのパワーと戦術を最大限に活かして23.5kmのコースを制し、ケヴィン・ヴォークラン(フランス)を26分40秒(時速52.9km)でゴールさせた。リドル・トレックもいい走りを見せ、フアン・アユソ(スペイン)をチームの最上位、ヴォークランから2秒遅れでフィニッシュさせた。2日目に4秒のボーナスを獲得していたアユソは、3日間の所要時間でヴォークランを2秒上回ることになり、総合1位に。
「今朝は本当にモチベーションが高かった。僕もチームも勝てると確信していた。チームとしてたった2秒の差で負けるのは本当に辛い。がっかりしたというよりは、少し悲しい気持ちだ。ジャージではなくステージ優勝がほしかったからね」とアユソ。
チーム ヴィスマ・リースアバイクはヴィンゲゴーを筆頭に4選手でフィニッシュ。ヴィンゲゴーはこの日終わって17秒遅れの総合7位になった。
中世の趣が深く残る都市でチームタイムトライアル
【第4ステージ】アユソが落車リタイア、ヴィンゲゴーが初勝利
第4ステージは今回初の本格的な山岳だったが、雨と風の強い1日となる。リーダージャージを着たアユソは、残り47kmでクラッシュに巻き込まれ、リタイアを余儀なくされる。
レッドブル・ボーラ・ハンスグローエはダニエル・マルティネス(コロンビア)のためにレースをリードし、ヴィンゲゴーだけが食らいついた。先頭集団はマルティネスとレッドブル・ボーラ・ハンスグローエのチームメート3人、そしてヴィンゲゴーに絞られた。急坂になるとヴィンゲゴーが独走を成功させた。ヴィンゲゴーは最大勾配16%のフィニッシュ地点までの最後の1kmを力強く走り切り、マルティネスに41秒差をつけてパリ〜ニース初のステージ優勝とリーダージャージを獲得した。総合成績では2位マルティネスと52秒差だ。
「こんなクレイジーな1日になるとは思っていなかった。最初から全開のレースだった。1日中目まぐるしく、本当にきつく、服を脱ぐ時間さえなかった。ステージ優勝を果たし、イエロージャージを着ることができて、これ以上望むことはない」とヴィンゲゴー。
「昨年はリーダージャージを着ていたのにクラッシュしてしまい、レースを棄権せざるを得なかった。パリ〜ニースでステージ優勝を果たせたのは、チームタイムトライアル以外では初めてのこと。こんな形でシーズンをスタートできて本当にうれしい」
強さが際立っていたヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)
【第5ステージ】2025年に落車したところでヴィンゲゴーがアタック
大会5日目は容赦ないアップダウンと16%に達する勾配がある今大会最大の獲得標高2950mに挑んだ。多くのチームが総合優勝の望みを絶たれたこともあり、アタッカーたちはこの日のステージ勝利に奮起。レース前半は激しいアタックで盛り上がるが、平坦な地形で差を広げるには至らなかった。
この日も残り1kmでヴィンゲゴーがアタックするとそれを追える選手はいなかった。ヴィンゲゴーが2区間連続の優勝を果たすとともに、総合2位マルティネスとの差を52秒から3分22秒に広げた。
「ある瞬間に気づいたよ。これは昨年クラッシュした道に似ているとね。まさかまた来るとは思っていなかったが、こんな美しい日にリベンジできてうれしい。とても素敵な場所で、チームにとっても私にとっても素晴らしい1日になった」(ヴィンゲゴー)
【第6ステージ】最高の調子でダブルツールに挑みたい(ヴィンゲゴー)
第6ステージはXDS・アスタナ チームのアロルド・テハダ(コロンビア)がパンチ力、技術、そして根性を発揮して優勝。
「パリ〜ニースの総合3位までの表彰台を目指していたんだけど、横風の強い日にタイムを大きくロスしてしまった。まあ、サイクリングってそういうものだよね。チームと一緒に祝おう! シャンパンで乾杯したい」とテハダ。
総合1位を守ったヴィンゲゴーは「コンディションはかなりいい。まだベストではないけれど、ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスに向けては最高の状態になれるといいな。最後の2ステージを走ってからカタルーニャへ向かい、さらにトレーニングを積むつもりだ」とすでにグランツールを視野に入れたコメント。
【第7ステージ】注目の山岳ステージは悪天候で距離47kmに
高強度短距離ステージはドリアン・ゴドン(イネオス・グレナディアーズ)
第84回大会の最終日前日は天候が好ましくなく、コースの変更を余儀なくされた。当初は標高1614mのオーロン・スキーリゾートに到達する予定だったステージは、イゾラ・ヴィラージュでゴールすることに変更された。スタート地点もル・ブロクに変更され、距離は47kmに。110選手がニースの目抜き通りであるプロムナード・デ・ザングレでのチーム紹介でサインインした後、チームバスに乗って新しいスタート地点に向かうことになった。
フィニッシュでは数件の落車事故が発生したが、イネオス・グレナディアーズのチームは健闘した。フランス国内チャンピオンのドリアン・ゴドンが残り200mを切ったところでスパートをかけて英国チームでの初優勝を飾った。ヴィンゲゴーが首位を守った。
【第8ステージ】パリ〜ニースで優勝できたことは大きな意味がある
最終ステージの最後の上りでヴィンゲゴーとバーレーン・ヴィクトリアスのレニー・マルティネス(フランス)が抜け出し、ゴール勝負でマルティネスが2014年のアルチュール・ヴィショー以来、最終ステージで優勝したフランスとなったが、ヴィンゲゴーは同タイムの2位でフィニッシュ。総合順位での差を歴史的な規模にまで広げて初の総合優勝をものにした。
総合2位ダニエル・マルティネスとの差は4分23秒で、1939年以降のパリ〜ニースの優勝者と2位の差としては最大であり、レースの歴史上4番目に大きい差となった。ヴィンゲゴーはポイント賞と山岳賞も獲得した。総合3位のゲオルク・シュタインハウザー(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)がリーダージャージとしては唯一のヤングライダー賞を獲得した。
晴れた日には初春の美しい風景が広がっていた
「今日はほぼ完璧な1日だった。1日中全力でレースを楽しめた。そしてついにパリ〜ニースで優勝することができた。私にとって厳しいレースだったが、今日こうしてイエロージャージを着てここにいられることがうれしい。ステージ優勝もできればよかったが、レニー・マルティネスは本当に強かったので、彼には優勝する資格があった」とヴィンゲゴー。
「実はパリ〜ニースで優勝できたことは、僕にとって本当に大きな意味がある。これまでどうしてうまくいかなかったレースだったので、ようやく成功させることができた。本当にうれしい。いい年のスタートを切れたし、とても誇りに思っている。今年最初のレースだったけど、今週のレース内容には本当に満足している。間違いなく絶好調。今後のレースでもさらに向上できると思う。特にツール・ド・フランスに向けて、それが実現できれば最高だ」
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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