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サイクルロードレース コラム 2026年3月14日

ポガチャル圧巻のパフォーマンス 4度目となる白い道征服も「予定通り。一番良いレース展開を選んだまで」|Cycle*2026 ストラーデ・ビアンケ:レビュー

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ストラーデ・ビアンケ

優勝ポガチャル、2位セクサス、3位デルトロ

今年の大活躍を約束するレースになった。イタリア・トスカーナの未舗装路を駆けるワンデーレース、ストラーデ・ビアンケはタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG)が前評判通りの快走。フィニッシュまでの79kmを独走し、大会史上最多となる4度目の優勝。名実ともに、“白い道”の王者に登り詰めた。

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ストラーデ・ビアンケ

UAEチームエミレーツ・XRGがレースをコントロール

勝つための最善策が長距離独走だった

選択するべきはシンプルだった。過去3回の優勝と同様に、独り旅に持ち込むまで。2022年は19km、2024年は81km、2025年は50km、そして今年は79km。何キロ独走するのか、または独走したのか、われわれはつい気にしてしまうところだけれど、ポガチャルにとってはそれは問題ではない。彼にとって大事だったのは、勝つための最善策を講じること。ストラーデ・ビアンケにおけるそれは、独走でフィニッシュへと向かうことだった。

「正直なところ、長い距離を逃げ続けるのは好きじゃないよ。今回は80kmくらい逃げたけど、勝つためにはそれが一番良い方法だったからなんだ。去年は50km? 逃げた距離は関係ない。とにかく前を見て、観客の盛り上がりを楽しみつつ、フィニッシュを目指すだけなんだ」(タデイ・ポガチャル)

かつての大勝利を称え「タデイ・ポガチャル・セクター」と銘打たれたグラベルセクション、コッレ・ピンツートへ到達する頃にはライバルとの差を広げ、ひとりでその道を駆け抜けた。待っていた大観衆の歓迎を受けながら、正面にほんのわずかに広がった一本道を縫うように。その先につながったフィニッシュ地・シエナへの行程でも危なげなく、史上最多となる4度目の優勝を成し遂げたのだった。

ストラーデ・ビアンケ

圧倒的強さで観客を興奮のるつぼへ

史上最速スピードで駆け抜けたポガチャル

レースが開催された3月7日のトスカーナは晴れて、乾燥気味のコンディションだった。201kmの行程中64kmを占めるグラベル(未舗装)区間は砂が乾き、路面はドライ。ハイペースで進行することが早くから予想されていた。

見立て通り、スタート直後からプロトンのスピードは上がる。この日の逃げメンバーが決まるまで40kmを要し、その間には3つのグラベルセクションを選手たちは猛然と突き進んだ。

9人による先頭グループはメイン集団に対して最大で2分ほどまでリードを広げたが、UAEチームエミレーツ・XRGが集団コントロールを始めると、その差はすぐに縮まっていく。繰り返される高低の変化によって、フィニッシュまで100kmを切る頃には集団の人数は40人ほどまで絞り込まれる。

ストラーデ・ビアンケ

ポガチャル・セクターとなったコッレ・ピンツート

そんな流れから、決定打が生まれた。7つ目のグラベルセクションであるモンテ・サンテ・マリエに入ると、UAEはフロリアン・フェルミールスとヤン・クリステンがスピードを上げて集団を縦に伸ばす。先行していた選手たちを残り83kmでキャッチすると、さらに3kmほど進んだところでポガチャルが動き出した。

「だいたい計画通りだった。ヤンはすごく良い仕事をしてくれたし、その前に牽引してくれたフロリアンやフェリックス・グロスチャートナーが流れを作ってくれた。彼らがつくるハードなペースメイクによって、僕が仕掛けるべきタイミングが定まったんだ」(ポガチャル)

フィニッシュまではおおよそ80km(チーム発表では79.7km)を残してのアタックには、トーマス・ピドコック(ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チーム)だけが反応できた。しかし、この大事な局面でまさかのチェーン落ち。代わってポガチャルを追ったのは、19歳のポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム)だ。

「振り返ったときに彼(セクサス)が近くにいたので、“よし、もう1回”と思って踏み込んだんだ。何とかして差を広げて独走にしたかった」(ポガチャル)

一方のセクサスは、追いかけるタイミングが合わなかったという。わずかな下りを利用して加速しようと考えたが、ポガチャルのために抑え役に回ったイサーク・デルトロの動きと何度か重なってしまい、スピードを上げきれなかった。

「動き出しが500m早かったら追いつけたんじゃないかと思う。ただ、タデイは明らかにペースをコントロールしていたし、僕の動きも完全に見ていた。僕は無理をしてでも追いつこうとしていたけど、彼にはまだ余裕があった。そこが力の差なのだろうね」(ポール・セクサス)

やがて2分近いタイム差としたポガチャルは、レース2日前に命名式に臨んだ「タデイ・ポガチャル・セクター」も力強くクリア。後方を走る選手たちは、追走というよりはもはや2位狙い。追われる心配がなくなって、フィニッシュのカンポ広場へ向かう上りでは観客とハイタッチをしながらのウイニングライド。3年連続4度目のストラーデ・ビアンケ優勝を決めた。

ストラーデ・ビアンケ

4回目のストラーデ・ビアンケ制覇、タデイ・ポガチャル

「4回の優勝を比較することはできないよ。どれもそれぞれに喜びがあるからね。今日もチーム全員でつかんだ勝利になって本当にうれしい。最初から最後まで素晴らしいパフォーマンスだった。チームのみんながいなかったら、今日のようなレースは絶対にできなかったよ」(ポガチャル)

この日のポガチャルのアベレージスピードは42.699km。レース距離が前回より短くなっていることも関係しているとみられるが、いずれにしても過去最高スピードだった昨年より2km近く上回った。戦前の予想通りにドライなコンディションが、そして何より進化を続けるポガチャルの強さがダイレクトに反映されたレースとなった。

ストラーデ・ビアンケ

素晴らしい走りで2位となったポール・セクサス

大きな自信を得たセクサス、ポガチャルの新たなライバルとなるか

増減が繰り返されながら終盤へと移った2位争い。そこでもセクサスの動きは際立った。リズムを取り戻したピドコックらが仕掛けたが、いずれにも反応すると、残り17kmでやってきた2回目のコッレ・ピンツートでアタック。続いたデルトロもサンタカテリーナ通りの最終登坂で引き離すと、ひとりでカンポ広場へ。初出場の19歳が、高まる評価に違わない走りで2位を押さえた。

「いまでき得る最高の結果だよ。何度かうまくいかない局面があって、集団の協調もとれなくなりつつあった。だから最後は自分で行くしかなかった。2位で終えられて良かった」(セクサス)

勝ったポガチャルに「彼はビッグマシンだよ。今日の彼には感心しきりだった。これからすごいライダーになるだろうね」と言わしめた、新たなヤングヒーロー。最終的な両者のタイム差は1分。「小さいようで大きい差」と言いながらも、「自信にもなる」。この差が縮まっていく未来がいま、セクサス本人にも、さらにはレースを観るわれわれにも、見えてきているような気がする。

ポガチャルとの共闘が注目されたデルトロは3位でまとめ、UAEの両輪がしっかりと表彰台を確保。ミラノ〜サンレモへの調整でモナコの自宅へ戻るポガチャルと、ティレーノ〜アドリアティコを走るデルトロ。UAEチームエミレーツ・XRGの進撃はいよいよ加速度を極める。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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