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サイクルロードレース コラム 2026年3月8日

無数の丘越えが待つチャレンジングなコース設定 初制覇狙うデルトロ、昨年大健闘のガンナにも再びチャンス|Cycle*2026 ティレーノ〜アドリアティコ:プレビュー

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ティレーノ〜アドリアティコ

ティレニア海からアペニン山脈を越えてアドリア海へ

早春のステージレースとしてパリ〜ニースと並ぶステータスを誇るのが、イタリアで開催されるティレーノ〜アドリアティコだ。その後に控えるミラノ〜サンレモをはじめとするクラシックレースに向けた準備の場としても名高く、この大会から勢いづいた選手が春の主役となることも多々。ティレニア海とアドリア海、2つの海をつなぐレースとして趣きのあるイベントは今年、これまでとは違ったコース設定でライダーたちのチャレンジを促す姿勢を示している。個人総合争いは本命クラスが主役となるか、はたまた思わぬアップセットが起こるのか。今まで以上に予想を難しくしている。

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ティレーノ〜アドリアティコの原点に立ち返るコースセッティング

今年は3月9日から15日までの日程で、全7ステージ・総距離1165.5kmにて争われる。

ティレーノ〜アドリアティコといえば、勝負どころとなるステージでは急峻な山岳がそびえていた印象があるけど、今年は少々……いや大幅にイメージチェンジを図っている。

というのも、本格的な山頂フィニッシュが設定されず、要所の多くが丘陵地となっているのだ。ステージごとに登坂する丘が多くなり、さらには最大勾配20%近い急坂が勝負できる有資格者を絞り込む。「山頂フィニッシュはなくとも、集団を絞り込んできたハードなレースとしての色合いは変わっていない。むしろティレーノ〜アドリアティコの原点に立ち返ったといえる」とは、レースディレクターのステファノ・アロッキオ氏。

その言葉通り、総合成績を意識する選手たちにとっては、初日から気の抜けない日々が続く。5年連続の開幕地となるリド・ディ・カマイオーレでの11.5km個人タイムトライアルでは、大なり小なりタイム差が発生し、その先の戦い方に影響を与える。

206kmに設定された第2ステージは、最後の5.3kmが未舗装路。フィニッシュに向かっては、短いながらも最大勾配14%の急坂が選手たちを待つ。続く第3ステージは、今大会最長の221km。平坦にカテゴライズされ、フィニッシュ前の上り基調もスプリンターならパワーで押し切れるはず。

ティレーノ〜アドリアティコ

ティレーノ〜アドリアティコ 第2ステージ

アペニン山脈へと続く第4ステージは、前半と中盤の大きな上りよりも終盤がトリッキー。フィニッシュ前12.6kmに待つ最終登坂は最大勾配20%。その先の下りと平坦路が戦術的な走りを要求する。

ティレーノ〜アドリアティコ

ティレーノ〜アドリアティコ 第4ステージ

今回は第5・第6ステージのどちらがクイーンステージなのか、ちょっとした議論が巻き起こるかもしれない。その結論は、レース展開でもって導き出されることだろう。第5ステージは、184kmの行程に無数のアップダウン。主催者によれば「少なくとも10カ所は重要区間がある」とのことだが、終盤に2回上るサントゥアリオ・ベアト・サンテが最大の勝負どころか。おおよそ5kmの上りは最大19%区間を進んだのち、頂上へ向かう15%区間が。2回目の登坂では、頂上から1.6km先にフィニッシュラインが敷かれる。

ティレーノ〜アドリアティコ

ティレーノ〜アドリアティコ 第5ステージ

第6ステージは188km。過去に山頂フィニッシュにもなっているサッソセットを越え、カメリーノの街へ。この地を基点とする周回コースは、最後に22%の急勾配が控える。フィニッシュへ向かう3回目の登坂では、22%区間と直後の20%区間とで生き残りをかけた大勝負となる。

ティレーノ〜アドリアティコ

ティレーノ〜アドリアティコ 第6ステージ

そして、フィナーレはサン・ベネデット・デル・トロントでのスプリント。142kmとレース距離が比較的短く、ハイスピードのままフィニッシュへと駆け込むことが予想される。

総合争いはUAE vs ヴィスマの様相か ログリッチも名乗り

いつもとは異なるコース設定が、個人総合争いをより激烈なものにする。走力や勝負強さはもちろんだが、ボーナスタイムをが勝敗を分けるファクターとなり得るあたりも押さえておきたい。

そんな中、本命視されるのはイサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ・XRG)だ。いま、プロトンで最も勢いのある選手であり、実力的にも申し分なし。何より、今回のコースにピッタリの脚質こそ勝利に一番近いと言われる最大の要素。直前のストラーデ・ビアンケでは3位。優勝したタデイ・ポガチャルの長距離逃げをアシストすべくライバルの動きをチェックしながらも、自身の表彰台もしっかりと確保した。

ティレーノ〜アドリアティコ

天候の移り変わりもまたレースの一部

デルトロ擁するUAEを止めるとするなら、やはりチーム ヴィスマ・リースアバイクだろうか。直近2年のパリ〜ニースを制していたマッテオ・ジョーゲンソンが、今季はティレーノにシフト。こちらもコース適性があり、大会初日の個人TTでアドバンテージを得る可能性がある。そこへ、復調気配のワウト・ファンアールトが加わって戦力に厚みをもたせる。

この男も勝負に加わってくるはずだ。プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がシーズンインを迎える。チーム事情もあり、今シーズンは相性抜群のブエルタ・ア・エスパーニャに集中する。その関係から、自身の開幕はゆっくりしたものになった。ここまでのトレーニングは順調との情報もあり、いきなりトップギアで戦いに加わっても不思議ではない。イタリアンレースに強いジャイ・ヒンドレー、昨年のブエルタで1勝を挙げているジュリオ・ペリツァーリが脇を固め、上位戦線を活性化させる。

前回個人総合2位と大健闘したフィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ)は、再び総合争いに加わってくるだろうか。前回は山岳で粘りに粘ったが、今度は脚質的に十分対応できるものとあって、チャレンジする価値は大いにある。得意とする個人TTで優位に立って、そのまま最終日まで……とのシナリオを考えているかもしれない。その場合は、エガン・ベルナルやテイメン・アレンスマンが強力なアシストになる。

フィリッポ・ガンナ

昨年総合2位と大健闘したフィリッポ・ガンナ

UAEツアーでの活躍が記憶に新しいアントニオ・ティベーリ(バーレーン・ヴィクトリアス)は、ペリョ・ビルバオとの共闘でチャンスをうかがう。前回は個人総合3位で終えているが、実力的にはリーダージャージに袖を通せるだけのものは持っている。

最強のアウトサイダーはマチュー? ミラン中心のスプリント戦線も見もの

マチュー・ファンデルプール

マチュー・ファンデルプール

果たして、マチュー・ファンデルプール(アルペシン・プレミアテック)が“最強のアウトサイダー”となれるだろうか。これまではクラシックレースに向けた調整の場としてティレーノを走ってきたが、今回のコースに含まれる細かなアップダウンや短い急坂は彼にとっておあつらえ向きとの見方もできる。基本はエーススプリンターのカーデン・グローブスを支える役目と思われるが、“その気”になったマチューも見たいところ。今大会は何を狙ってくるだろうか。

スプリント戦線では、ジョナタン・ミラン(リドル・トレック)のポイント賞3連覇なるかが見もの。フィニッシュ前でのスピードや勝負強さは他を圧倒する。そこへ、今季すでに2勝を挙げているポール・マニエ(スーダル・クイックステップ)や、ツアー・ダウンアンダーで勝っているトビアスルンド・アンドレースン(デカトロン・CMA CGM チーム)らが加わり、平坦ステージのレベルを一気に引き上げる。スプリントトレインもチーム力を測る指標となる。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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