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サイクルロードレース コラム 2026年3月6日

「レースを始める準備はできている」ヴィンゲゴー、ダブル・ツールへいよいよ動き出す|Cycle*2026 パリ〜ニース:プレビュー

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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パリ〜ニース

太陽へ向かうレース、パリ〜ニース

サイクルロードレースシーンは本場・ヨーロッパでのシーズン進行が本格化する。“ミニ・ツール”とも称されるパリ〜ニースは春と告げるレースのひとつであり、広大なフランスの国土を北から南へと進む様に「太陽へ向かうレース」との呼び名もあるほどだ。今年も平坦・丘陵・山岳・チームタイムトライアルと、日々趣きの異なる8つのステージが用意される。そして、グランツールを視野に入れるビッグネームの多くが、最終目的地ニースを目指す戦いに挑もうとしている。

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グランツールへつながる総距離1245mの“太陽への道”

ツール・ド・フランスと同じくA.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)が主催するパリ〜ニースは、レースとしての意味合いも本家ツールとのつながりが強い。過去にはこの大会を制した選手が、勢いそのままにツールでの活躍へと持ち込んだケースが多くあり、“仮想ツール”として重要視する向きも大きい。

今年も壮大かつ、未来へとつながる8日間だ。総距離は1245km、獲得標高は16460mと、シーズンが始まったばかりとしてはなかなかにハードなセッティングである。

開幕地はパリの北西に位置するアシェール。街の北側にある丘陵地帯へと踏み込んでいくと、終盤にかけては最大勾配12%の3級山岳を2回連続で登坂。171.2kmに設定された第1ステージから、集団の人数は絞り込まれると予想される。

パリ〜ニース

パリ〜ニース 第1ステージ

一転して第2ステージは平坦。中盤までにカテゴリー山岳をすべてクリアして、終盤はスプリンターチームが主役争い。187kmの行程には風の強い区間があり、集団分断をもくろむ選手やチームがいても不思議ではない。

今大会のポイントのひとつ、第3ステージ。23.5kmのチームタイムトライアルが設定された。4カ月後に控えるツール本番ではチームTTが採用されており、今回は予行演習の機会となる。何より、この大会を勝ちたい総合系ライダーにとっては、タイムロストを避けたい大切な1日になる。

チームTTで発生したタイム差を広げる、または挽回するのに見落とせないのが第4ステージ。195kmの行程は獲得標高2520m。特に終盤の65kmに上りがひしめいていて、ユションのフィニッシュへと駆け上がる2級山岳は最大勾配16%。個人総合争いにおける前半のヤマ場と見られている。

パリ〜ニース

パリ〜ニース 第4ステージ

後半戦に入り、第5ステージからは本格的に丘陵地帯へ。今大会最長の206.3kmで、獲得標高は3020m。5つのカテゴリー山岳が待ち受け、とりわけフィニッシュまでの20kmには最大勾配16%の1級山岳、続いて2級山岳と連続登坂。フィニッシュへ向けては無印ながら上り基調となっている。

パリ〜ニース

パリ〜ニース 第5ステージ

第6ステージも丘陵地帯を走るが、見ものとなりそうなのがフィニッシュへの4.5kmのダウンヒル。最終登坂となる2級の上りで誰かが仕掛けてフィニッシュまで逃げるのか、精鋭グループがなだれ込むのか。個人総合争いの状況によって変わってきそうだ。

パリ〜ニース

パリ〜ニース 第6ステージ

第7ステージでニース入り。とはいっても、この日はスタート地。今大会最短の138.7kmだが、ニースをスタート後はフィニッシュ地オロンを目指してとにかく上っていく印象だ。スキーリゾートでも知られるオロンは、昨年の第7ステージでもフィニッシュ地を務めている。

パリ〜ニース

パリ〜ニース 第7ステージ

最終・第8ステージこそニースで華やかに…ともいかず、1つの1級山岳を越える本格山岳ステージで選手の力を試す。そのレイアウトは「平坦な区間が1メートルもない」と言われるほど。個人総合争いが僅差の状態でこの日を迎えるようなら、フィナーレは一層スリリングに。最終日の大逆転劇もこれまで多くあり、劇的なドラマが今年も待っているかもしれない。

パリ〜ニース 第8ステージ

パリ〜ニース 第8ステージ

グランツール2冠を目指す前に未完の仕事へ着手するヴィンゲゴー

個人総合争いの構図は、この男の参戦表明によって一変した。ツール王座返り咲きを目指すヴィンゲゴーハンセン(チーム ヴィスマ・リースアバイク)がこのレースからシーズンをスタートさせる。

パリ〜ニース

イタリアの美しい景色も見もの

当初2月のUAEツアーでシーズンインをするはずだったヴィンゲゴー。しかし、トレーニング中に追いかけてきたファンから逃れようとした際に落車。負傷したうえに、体調不良も重なり、今季の動き出しを遅らせる判断を余儀なくされていた。

その後は3月下旬のボルタ・ア・カタルーニャからの動き出しをイメージしていたが、本人いわく「事態は急速に変化した」。パリ〜ニース出走の意志を固めた。意外にもこの大会を勝ったことがなく、2023年は個人総合3位、昨年は一時トップに立ちながらも落車の影響でリタイア。「今度こそ」との想いをもってスタートラインにつくことだろう。ポイントとなるチームタイムトライアルについては、TTを得意とする選手をそろえ、チームとしてヴィンゲゴーを押し上げていく構えだ。

今年はジロ・デ・イタリアとツールの2冠「ダブル・ツール」を目指すことを早くから表明しているヴィンゲゴー。「レースを走る準備はできている」との力強い言葉も発された。ビッグチャレンジへ、フランスから走り始める。

グランツールレーサーが多数名乗り 複数リーダーを擁するチームにも注目

百戦錬磨のヴィンゲゴーといえど、今回の顔触れからしてそう簡単には勝てそうにはない。グランツールを見据えた大物たちが集結し、ハイレベルの戦いは必至だ。

複数リーダー体制を敷くチームは総力戦に意欲。リドル・トレックは、フアン・アユソが移籍加入早々から結果を出しており、今回はマティアス・スケルモースとの双頭体制。ダニエル・マルティネスとアレクサンドル・ウラソフのレース巧者2人を擁するレッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、若いレニー・マルティネスとベテランのダミアーノ・カルーゾとをそろえるバーレーン・ヴィクトリアスも強力。

パリ〜ニース

パリ〜ニース

僭越ながら筆者注目のチームを挙げさせてもらうならば、イネオス・グレナディアーズを推したい。この数年チームを引っ張っているカルロス・ロドリゲスに、新加入のオスカー・オンリーとケヴィン・ヴォークランが加わってトリプルリーダーで今大会に臨む。3人のプライオリティをチームがどうセットするか気になるところだが、オンリーとヴォークランは2月に同じレースを走っており、連携は機能。ロドリゲスも別レースで上位入り。昨年のツール個人総合4位のオンリー、同7位のヴォークラン、グランツールの総合トップ10経験4回のロドリゲス…と言えば、いかに強力布陣かがイメージできるだろう。

コースレイアウト的にピュアスプリンターには厳しいところだが、細かいアップダウンに強いスピードマンにはチャンス。今季好調のビニアム・ギルマイ(NSNサイクリングチーム)やフィル・バウハウス(バーレーン・ヴィクトリアス)らがポイント賞を視野に上位入りを重ねるか。ブライアン・コカール(コフィディス)、アクセル・ジングレ(チーム ヴィスマ・リースアバイク)といったフランス勢にも期待がかかっている。

最後に、戦いを彩る4賞についても。ツールと同じく、個人総合はマイヨ・ジョーヌ、ポイント賞はマイヨ・ヴェール、山岳賞はマイヨ・アポワ、ヤングライダー賞はマイヨ・ブランがそれぞれ贈られる。なお、この大会のマイヨ・ジョーヌは胸部に白いラインが入る“パリ〜ニース仕様”。同じ主催者でありながら、レースごとのちょっとした違いを見つける機会としても、この大会を楽しむことができるのだ。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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