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サイクルロードレース コラム 2026年2月17日

レムコとデルトロの直接対決実現! 大会の華・スプリントはミランが調子上げ乗り込む|Cycle*2026 UAEツアー:プレビュー

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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UAEツアー

中東レースを締めくくるUAEツアー

シーズン序盤には欠かせない中東各地でのレースは、残すところ2月16日開幕のUAEツアーを残すのみ。UCIワールドツアーの第3戦として行われるこのコンペティションには今年、レムコ・エヴェネプール(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)とイサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ・XRG)が参戦。個人総合争いにおける“2大巨頭”として大きな注目を集める。UAE(アラブ首長国連邦)をめぐる7日間の戦いは、その先に控えるグランツールへの思いを馳せるに、十分すぎるほどのタレントがそろっている。

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中東唯一のUCIワールドツアーレース

今年で8回目の開催となる大会のテーマは「THE ONE AND ONLY UCI WORLD TOUR RACE IN THE MIDDLE EAST」(中東唯一のUCIワールドツアーレース)。かつて行われていたアブダビ・ツアーとドバイ・ツアーが発展的に統合され、2019年に現在の大会運営に。順調にイベントとしての価値を高め、今に至っている。

そのプライオリティの高さは、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG)やプリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)といった個人総合優勝者の顔触れからも見ることができる。ポガチャルは昨年も山岳で圧倒的な強さを見せて大会制覇。連覇のかかっていた今年は出場しないものの、今回はポガチャルを追う選手たちがステップの場としてしのぎを削ることになる。

平坦・山岳・TTのバランス重視の全7ステージ

UAEツアーといえば、砂漠地帯特有の強い風の中を走るプロトンと最高時速60kmに達しようかという激しいスプリント、個人総合争いに直結する山岳と、あらゆる要素が1週間に詰まっているのが特徴だ。今年もそのテイストを変えることなく、初採用となるルートも組み込みつつ全7ステージを構成する。

今年は第1ステージから個人総合争いを見据えた動きが見られるかもしれない。144kmのコースは平坦にカテゴライズこそされるが、砂漠地帯やモリーブ砂丘を抜ける間の細かなアップダウンは波乱を呼び起こす可能性をはらんでいる。そして何より、リワ宮殿のフィニッシュラインを目指す最終局面が5%の上り坂で、スプリントをしようにも相当なパワーを必要とする。パンチ力のあるライダーが優位に立つことも考えられ、大会初日から思いがけない展開になるかもしれない。

第2ステージ

第2ステージ

総合争いの観点においては、第2ステージは大きなウエイトを占めることになる。12.2kmの個人タイムトライアルが設定され、距離こそ短いもののフラットなレイアウトは超高速バトルとなるのは必至。TTスペシャリストがトップの座を競う中、総合系ライダーたちもこの1日である程度の優劣が見えてくる。

第3ステージ

第3ステージ

大会最初の山岳は第3ステージ。初採用のジェベル・モブラは登坂距離にして約15km、平均勾配は10%超。最大勾配は17%を数え、とりわけフィニッシュ前6kmはハードは上りに。ステージ全体では183kmのコースが前日の個人TTと合わせてリーダージャージ着用の有資格者を定める。

第4ステージ

第4ステージ

第4ステージはフジャイラを基点に砂漠地帯を往復する182km。いよいよスプリンターの競演が本格化し、「これぞUAEツアー」と思わせてくれる光景が飛び込んでくるはず。

第5ステージ

第5ステージ

その趣きは第5ステージで一層深まることだろう。166kmの行程はオールフラットと言えるほどにひたすら平坦路を進んでいく。最終700mのストレートはリードアウトマンを含んだ各チームのスプリントトレインが猛烈なスピードで突き進む。

第6ステージ

第6ステージ

リーダージャージの行方は第6ステージで大勢が決する。この大会の花形でもあるジェベル・ハフィート山頂へ向かう上りは、おおよそ10kmにわたって10%近い勾配へとアタックしていく。ヘアピンコーナーの連続は選手たちの集中力と忍耐力を試し、王者を決めるにふさわしい舞台。レース距離168kmのうち大部分が平坦だが、最後に待つこの山が戦いのすべてを知っている。

第7ステージ

第7ステージ

そして大会最終日。再びほぼフラットなスプリンターズステージが設けられ、7日間の戦いがフィナーレを迎える。前日にリーダージャージを手にしたライダーにとってはウイニングライド。UAEの首都アブダビで閉幕する。

好調レムコを今季初戦デルトロが追う

前述のとおりポガチャルが連覇に挑まないほか、早くにこの大会への参戦を表明していたヨナス・ヴィンゲゴー(チーム ヴィスマ・リースアバイク)も数週間前に回避を決断。昨今のグランツールを彩るビッグ2の欠場は惜しまれるが、きっとそれを忘れさせてくれるほどの熱いレースが見られるに違いない。今年の目玉はレムコとデルトロだ。

UAEツアー

UAEツアー

レムコは今季からレッドブル・ボーラ・ハンスグローエの一員となり、1月下旬のシーズンインから連戦連勝で仕上がりの高さをアピール。今年に入ってからのレースはスペインでこなしてきたが、3年ぶりの大会制覇を目指してUAEへと乗り込む。絶対的な地位を有するタイムトライアルでリードを得て、2つの山岳へと向かいたいところ。開幕前のプレスカンファレンスでは「個人総合を目指す」と宣言。新天地での充実の日々を好成績へとつなげられるか。

ホームレースとして、例年強力メンバーを編成するUAEチームエミレーツ・XRGは、ホストリーダーの大役をデルトロが務める。レースを追う者にとって昨年の大飛躍は記憶に新しいところだが、その力が本物であることはチームの本拠で勝ってこそ。「レムコを追うことになる」と自認するように、タイムトライアルでレムコとの差をどこまで食い止められるかがポイント。今季の初戦でもあり、ひと冬超えてスケールアップした彼の姿に期待しよう。

この2人に続く存在としては、年明けから精力的にレースをこなしているベン・オコーナー(チーム ジェイコ・アルウラー)や、昨年2つのグランツールで個人総合トップ10入りしたフェリックス・ガル(デカトロン・CMA CGM チーム)の名が挙がる。2年前にこの大会を制しているレナルト・ファンイートヴェルト(ロット・アンテルマルシェ)は、ツアー・ダウンアンダーをリタイアしたが、相性の良いUAEで立て直しを図る。レムコが去ったスーダル・クイックステップは、盟友でもあるイラン・ファンウィルデルが新たな総合エースとしてチャンスをうかがう。

UAEツアー

UAEツアー

もうひとり、動静に注目したいのがデレク・ジー=ウェスト(リドル・トレック)。昨年のジロ・デ・イタリアを個人総合4位で終えたが、その後に所属していたイスラエル・プレミアテック(当時)を退団。チームとの話し合いはUCI(国際自転車競技連合)を巻き込んだものとなったが、晴れて現チームへの移籍がかなった。今回はその初戦であり、実に8カ月ぶりのレースでもある。自身も「状態の良し悪しは分からない」としているが、今大会は上位戦線復帰への足掛かりの場となる。

総合争いと並ぶ目玉のスプリントは、ジョナタン・ミラン(リドル・トレック)が今回の顔触れからしてナンバーワン。先のアルウラー・ツアーでもステージ2勝し、今季もここまで順調だ。前回大会では2勝してポイント賞を獲得しているが、今回を前に「昨年の経験が大きな自信になっている」とコメント。ライバルとしては、アルウラーで一度先着を許したマッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナ チーム)やサム・ウェルスフォード(イネオス・グレナディアーズ)あたりになりそうだが、地力はミランが大きく上回っている。

前回のタイムトライアルステージで勝ったジョシュア・ターリング(イネオス・グレナディアーズ)や、UCIワールドチーム昇格を果たしたウノエックス・モビリティのリーダーを務めるトビアス・ヨハンネセンも好調が伝えられており、大会を盛り上げる顔として押さえておきたい。

UAEツアー

UAEツアー

集団を分断させる強い風が想定される開催地UAEのコンディションだが、開催期間を通して天気そのものは良好のよう。おおよそ1カ月前に筆者が同国へ足を運んだ際は、例年にない気温低下の影響で20度を少し上回る程度だったが、現在は30度近くまで上昇。まだまだ寒さの残るヨーロッパでのレースを前に、好条件下で良い走りをしたいと考えている選手たちは多いことだろう。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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