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サイクルロードレース コラム 2026年1月25日

欧州にはない景観と歴史遺産を貫く魅惑のアルウラー・ツアー スプリンターのミラン登場…日本チーム右京の積極性に期待|アルウラー・ツアー:プレビュー

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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アルウラー・ツアー

雄大な風景が延々と続く

ツール・ド・フランス主催者A.S.O.がプロデュースする5日間のステージレース、中東サウジアラビアを舞台としたアルウラー・ツアーが2026年1月27日から31日まで開催される。2025ツール・ド・フランスで大活躍したスプリンター、リドル・トレックのジョナサン・ミラン(イタリア)が区間1勝を挙げた2023年以来となる大会参戦。また日本のチーム右京もこのレースでシーズンイン。毎年、過去の全ステージで果敢なアタックを見せるだけに今回も注目の存在だ。

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    優勝者を予想する「サイクル誰クル?」のほか、メンバー同士が好きなテーマで話せる「トークルーム」、投稿された写真の中から辻啓氏が毎月優秀作品を数点セレクトする「写真部」、飯島誠氏によるオンラインライドイベントを開催する「宅トレ部」などコンテンツが盛りだくさん。

砂漠だけじゃない……ユネスコ世界遺産の巨岩が立ちはだかる!

別の惑星のような、ここでしかない光景の中を走る。砂漠のみでなく奇岩がそびえ立つ。そうかと思うと中東の文化によって形成された旧市街地が現れたり、近未来的な建造物がきらめくシーンも設定される。アルウラーはサウジアラビア北西部に位置する観光エリア。砂漠の中にこつ然と生まれたオアシスで神秘的な魅力を持つ。ヘグラの遺跡、ナバテア人の墓、ダダンの遺跡、シャラーン自然保護区、エレファント・ロックなど歴史豊かな場所があって、観光デスティネーションとして同国がその発信に力を入れている。

前年はUCIアジアツアーのカテゴリー2.1レースという格式だったが、6回目の開催となる2026年はワンステップアップしてUCIプロシリーズに昇格。つまり本場フランスのカートルジュール・ド・ダンケルクやワンデーレースのパリ〜トゥールといった伝統レースと肩を並べる大会となったのである。

2025年はQ36.5プロサイクリングのトーマス・ピドコック(英国)が総合優勝した。上り坂が組み込まれた第2ステージと第4ステージで独走し、大会2日目に手中にした緑色のリーダージャージを、横風が吹き荒れた最終日ではチーム一丸となって守り抜いた。今回、そのピドコックは連覇に挑むことなく2月中旬にスペインで行なわれるレースでシーズンインする計画。前回覇者不在となったため、総合優勝争いはワイドオープンだ。

アルウラー・ツアー全体図

アルウラー・ツアー全体図

2026アルウラー・ツアー日程

1月27日 第1ステージ アルウラー・キャメルカップトラック〜アルウラー・キャメルカップトラック 158km
1月28日 第2ステージ アルマンシーヤ・トレインステーション〜アルマンシーヤ・トレインステーション 152km
1月29日 第3ステージ ウィンターパーク〜ビルジェイダ・マウンテンウィルカ 142.1km
1月30日 第4ステージ ウィンターパーク〜シャラル・シジュリヤトロックス 184km
1月31日 第5ステージ アルウラー・オールド タウン〜スカイビューズ・オブ・ハラットウワイリド 163.9km

レースの舞台は前年と同じだが、ステージがシャッフルされた。さらにビル・ジェイダ・マウンテン・ウィルカのフィニッシュラインが再設計され、最終日のハラート・ウワイリドのスカイビューズで総合優勝を争うように編成された。それでは2026年のステージ構成を見てみよう。

第3ステージ コースプロフィール

第3ステージ コースプロフィール

キャメルカップトラック(ラクダを使った競馬場)を発着とする第1ステージ、アラビアのロレンスが破壊したという歴史的な鉄道と駅舎の残骸をめぐる第2ステージは平坦だ。第3ステージのフィニッシュはビルジェイダ・マウンテンウィルカで、最後にヒルクライムがある。ただし、今回は峠の反対方向からアプローチするルートに変わった。最後の上りは距離4.9kmにわたり平均勾配5.1%で、最後の2kmは7%となる。

第5ステージ コースプロフィール

第5ステージ コースプロフィール

第4ステージも平坦路。そして最終日の第5ステージが雌雄を決するスカイビューズ・オブ・ハラットウワイリドへのヒルクライム。2022年にはマキシム・ヴァンギルス、2023年にはルーベン・ゲレイロ、2024年には サイモン・イェーツ、2025年にはピッドコックがそれぞれステージ優勝と総合トップの座に立った。つまり2026年は最終日を終えないと総合優勝が決まらないということになる。

2026アルウラー・ツアー出場17チーム

●ワールドツアーチーム
バーレーン・ヴィクトリアス(バーレーン)
リドル・トレック(ドイツ)
チーム ジェイコ・アルウラー(オーストラリア)
UAEチームエミレーツ・XRG(UAE)
スーダル・クイックステップ(ベルギー)
チーム ピクニック・ポストNL(オランダ)
XDS・アスタナ チーム(カザフスタン)

●プロチーム
カハルラル・セグロスRGA(スペイン)
ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チーム(スイス)
チーム トタルエネルジー(フランス)
チューダー プロサイクリングチーム(スイス)
コフィディス(フランス)
モダンアドベンチャープロサイクリング(米国)

●コンチネンタル&ナショナルチーム
トレンガヌサイクリングチーム(マレーシア)
チーム右京(日本)
サウジナショナルチーム(サウジアラビア)
オマーンナショナルチーム(オマーン)

ミランの3勝か? 待ったをかけるライバルスプリンターは?

大会のポイントは第1、2、4ステージのスプリント勝負。そして第3、5ステージの上り坂での総合優勝争いだ。リドル・トレックは初参加となるが、大会名がまだサウジツアーだった2022年と2023年、当時バーレーン・ヴィクトリアスに所属していたミランがシーズン開幕戦として参戦した。2022年は勝てなかったが、2023年に自身のプロ3勝目となるステージ優勝を記録。その後、スプリント界の強豪となり、直近のツール・ド・フランスではステージ優勝2回とポイント賞獲得を果たすほどに成長した。

2025ツール・ド・フランスで2勝を挙げたもう一人の有力スプリンター、スーダル・クイックステップのティム・メルリール(ベルギー)はミラン不在の2024、2025年に各2勝を挙げていて、今回はその対決が期待されたが、負傷によりメルリールが直前で離脱。昨年の最終ステージはキャメルカップトラックで行なわれたが、ここで優勝したマッテオ・モスケッティ(イタリア、ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チーム)と、2年前にそこで2位になったアーヴィッド・デクライン(オランダ、チューダー プロサイクリングチーム)がミランの対抗馬となる。

さらにはチーム ピクニック・ポストNLのファビオ・ヤコブセン(オランダ)、XDS・アスタナ チームのマッテオ・マルチェッリ(イタリア)、カハルラル・セグロスRGAのフェルナンド・ガビリア(コロンビア)らもスプリント勝負を狙っている。

新世代がいきなり総合優勝も……ポガチャルの次の宇宙人爆誕か

2025年にピッドコックの最大のライバルと目されていたのは当時チーム ジェイコ・アルウラーに所属していたアイルランドのエディ・ダンバーだ。そのダンバーはディフェンディングチャンピオンのチーム(ピナレロ・Q36.5プロサイクリングチーム)のリーダーとしてサウジアラビアに戻ってくる。

一方、ダンバーが抜けたチーム ジェイコ・アルウラーは、2025年10月のツアー・オブ・グアンシー優勝者であるポール・ダブル(英国)と、昨年のアルウラー・ツアーで目覚ましい活躍を見せたアラン・ハザリー(南アフリカ)の2人を攻撃陣に擁する。ハザリーはマウンテンバイク(パリオリンピック銅メダリスト)からロードバイクに転向した最初のシーズンで総合6位に入っている。
「総合優勝が私たちの最大の目標であり、それは常に私たちの哲学」とチームを率いるブレント・コープランド。

新世代の才能も脅威となるだろう。リストのトップは、ジロ・ネクスト・ジェンの優勝者であり、バーレーン・ヴィクトリアスの新メンバーである19歳のヤコブ・オムルゼル(スロベニア)だ。21歳のヤン・クリステン(スイス)と23歳のイゴール・アリエタ(スペイン)は、UAEチームエミレーツ・XRGでタデイ・ポガチャルの後継者と期待されている。23歳のニコラス・ヴィノクロフは、XDS・アスタナ チームで成長を続けている。2025年のブエルタ・デ・コンポステーラでデビューして14位になった22歳のジャウメ・グアルデニョ(スペイン)は、カハルラル・セグロスRGAで次の偉大なスペイン人クライマーとして頭角を現しつつある。

米国の新チーム、モダンアドベンチャープロサイクリングは同国のロードレース再建を託された使命を担うが、このサウジアラビアでデビューすることになった。チームエースは南アフリカのステファン・デボッド。昨年はマレーシアのトレンガヌサイクリングチームで出場し、ビルジェイダ・マウンテンウィルカで5位に入った。

新生チーム右京がどこまで存在感を見せることができるか

チーム右京

2026シーズン発表会のチーム右京。右端が片山右京代表

大会はプロシリーズに昇格したことでアジアツアーのトップチームを招待する必要はなくなったが、このレースで常に積極果敢な走りを見せてきたトレンガヌサイクリングチームと日本のチーム右京の参加は維持された。サウジアラビアとオマーンのナショナルチームも参加し、アジアと中東の自転車競技の発展に貢献するという主催者のコミットメントを反映した。

元F1レーサーで、「日本チームとしてツール・ド・フランス出場」を掲げる片山右京が代表を務めるチーム右京にも期待したい。これまでも日本選手を投入して参戦し、全日程を通じて存在感のある走りを見せつけてきた。JCL、三菱自動車などの協賛がなくなり、前年までの所属選手も離脱したが、石橋学がキャプテンとして残留、トラック世界チャンピオンの窪木一茂もカムバック。「ロードレースと並行しながら2028ロサンゼルス五輪では金メダルを獲得したい」と意気込みを語る。チームは新たな戦略を試みて、その上のチームカテゴリーにステップアップしていく計画だ。

文:山口和幸

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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