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3年ぶりTT復活、名物ウィランガ・ヒル、大会史上最長の最終ステージ……開幕戦から総合力が試される|Cycle*2026 ツアー・ダウンアンダー:プレビュー
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介シーズンの開幕は南半球で!
昨年10月のイル・ロンバルディアからおおよそ3カ月。短いような、長いような……そんなオフが明け、いよいよサイクルロードレースシーンは2026年のシーズンインを迎える。もちろん、開幕は南半球で。オーストラリアを舞台とするステージレース「ツアー・ダウンアンダー」がその大役を担う。
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かつてはスプリンターが主役を務めていたが、この数年で趣きは様変わり。とりわけ、今年は大会史上最も難しいとの呼び声も高く、いっそう総合力が試される戦いとなることが予想されている。
アデレードを基点とする6日間の戦い
ツアー・ダウンアンダーは1999年に初開催。以降、同国南オーストラリア州の州都・アデレードを基点としてステージレースが行われている。
前記した通り、大会はもともとスプリンターを中心とするスピード系のレースが展開されてきたが、2008年のUCIプロツアー入り(のちに現行のUCIワールドツアー)以降は起伏のあるルートを増加。後述するウィランガ・ヒルが個人総合成績を争ううえでの重要ポイントとして注目度を集めるようになっていった。
新型コロナウイルスの世界的な流行による2年間の休止期間を経て、昨年が25回の節目の大会に。第26回大会となる2026年は、1月20日から25日までの日程で熱戦が繰り広げられる。
大会終盤2ステージがダウンアンダーの歴史を変える
それでは、6日間の各ステージとコースを見ていこう。総距離は758.9km、その間にいくつもの上りをこなし、さらには初採用となるルートが選手たちの脚を試すこととなる。
まずは、大会本拠地・アデレードでのプロローグから。この大会で個人タイムトライアルが採用されるのは3年ぶり。ヴィクトリア・パークを目指す3.6kmのコースで選手たちが顔見せ。5分程度で走り終えると予想され、特例としてこの大会ではTTバイクではなくロードバイクでの走行が義務付けられる。
第1ステージから戦いは本格化。120.6kmの行程では、世界的に有名なオーストラリアンワインの産地をめぐっていくことになる。メングラーズ・ヒルを3回上ると、フィニッシュに向かって一気にスピードアップ。スプリンターの脚の見せどころだ。
オーストラリアの風景も楽しみの一つ
大会前半のヤマ場と目されるのが、第2ステージ(148.1km)。2回上るコークスクリュー・ロードは、登坂距離2.4km・平均勾配9.7%。最大勾配にして16.2%に及ぶ。2回目の登坂はフィニッシュ前13kmに位置し、フィニッシュする頃には人数が絞り込まれているはずだ。
第3ステージは140km。主催者にして、「コース前半の上りを耐えられれば、スプリンターが勝負できるのでは」。レース展開を大きく揺るがすようなの起伏は見られず、セオリー通りならば総合に動きはなさそう。
いよいよクイーンステージ。第4ステージは、日々レースを追っている人なら誰もが知るウィランガ・ヒルが登場する。176kmを走る間、この地を3度上ることになる。登坂距離は3kmで、平均勾配7.5%。最大勾配は11%を数える。やはり終盤に迎える2回目と3回目の登坂が重要に。最後は丘の頂上にフィニッシュラインが敷かれ、このステージを終えた段階で個人総合の形勢はある程度見えていることだろう。
ただ、これで終わらないのが今年のダウンアンダー。169.8kmに設定される最終・第5ステージは、アップダウンが連続する周回コースを走行。2級山岳に設定されるスターリングの上りは、登坂距離2kmに平均勾配4%だが、最大勾配が11%。レース中盤から終盤にかけてサバイバル化すると見込まれる。過去2年間は女子レースの目玉区間だったが、いよいよ男子レースにも導入される。ダウンアンダーの最終日といえば、かつてはアデレード市内でのスプリントステージが催されることが多かったが、今回は「大会最終日としては最長距離」がウリの難関コースがセッティングされた。
ハードなコースを走った末に、リーダーの座に就くのは果たして。個人総合でトップの選手には、オークルジャージが贈られる。
充実戦力のUAE ヴィスマはブレナンのスプリントでアピール
今大会には、18のUCIワールドチームに、同プロチームが1、オーストラリアナショナルチームの全20チームがスタートラインにつく。1チームあたりの構成は最大7選手。
どこよりも早くメンバーを発表したのが、UAEチームエミレーツ・XRG。前回覇者のジョナタン・ナルバエスを筆頭に、3年前の王者ジェイ・ヴァイン、さらにはアダム・イェーツと強力だ。ヴァインは今年に入り、オーストラリア選手権の個人タイムトライアルを勝っており、プロローグではチャンピオンジャージで出走する。どういった戦略で、誰を軸にレースを進めていくか注目したい。
ホームチームのチーム ジェイコ・アルウラーは、ベン・オコーナーがリーダー。昨年オフの段階からこの大会にフォーカスしていることを公言。コンディションを整えて開幕を迎えることだろう。
コース適性で見れば、サンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)やギヨーム・マルタンギヨネ(グルパマ・FDJユナイテッド)あたりも上位進出の可能性は十分。こちらもやる気満々のレナルト・ファンイートヴェルト(ロット・アンテルマルシェ)や、総合系ライダーとしての期待が膨らむフィン・フィッシャー=ブラック(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)といった若い力も一気に頂点まで駆け上がる可能性は十分。
例年よりチャンスが少なくなるとみられるスプリンター陣だが、それでも数ある機会を生かしていきたい。一番手に挙がるのは、チーム ヴィスマ・リースアバイクのエースとして参戦するマシュー・ブレナン。昨年の大活躍もあり、20歳にしてすでにチームの主力に。先ごろ、この大会を皮切りに北のクラシック、さらにはブエルタ・ア・エスパーニャまで駆け抜けていくことを宣言。オーストラリアでの走りが、今季の飛躍を占うものとなる。
昨年から今年にかけて、選手の移籍はもとより、チーム名の変更や合併などが相次ぎ、一変したプロトンをツアー・ダウンアンダーでは見ることとなる。新デザインのジャージも含め、われわれ観る側も目慣らしとして全6ステージに臨みたい。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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