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サイクル ロードレース コラム 2025年12月3日

舞台は本場・ベルギーへ クリスマス時期慣例の過密日程に飛び込む|シクロクロス2025/26 WC第3-8戦:プレビュー

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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シクロクロス

シクロクロスは過密日程へと入っていく

11月23日開催のチェコ・ターボル大会から幕を開けたシクロクロス2025/26ワールドカップ。今季は第3戦まで数カ国を転戦し、第4戦からはこの種目の本場であるベルギーへ。同時に、クリスマス時期慣例の過密スケジュールへと選手たちは飛び込んでいく。60分というレース時間に凝縮されたドラマに熱くなる日々がここからは続いていく。そして、シクロクロスシーンでは欠かせない“2大巨頭"のシーズンインが迫っているとの情報も。今回は12月開催の第3戦から第8戦までの展望を中心にお届けしていこう。

父・スヴェン氏をオマージュ ネイスがオープニングウィン

冒頭で少しばかり触れた、開幕戦・ターボル大会はティボー・ネイス(バロワーズ・グローウィ・ライオンズ)が優勝。オープニングウィンを飾った。

3シーズンぶりのワールドカップ開催となったターボル。ネイスが勝った男子エリートに限らず、すべてのカテゴリーが低温下でのレースを強いられた。これによってアイスバーンとなったコースは、バイクトラブルや落車が多発した。

他カテゴリーのレースを終えてもコースコンディションには大きな変化がなく、スリッピーな状況のまま男子エリートがスタート。ネイスは早々に先頭に立つと、他シリーズで2勝を挙げているヨリス・ニューエンハイス(リドレーレーシングチーム)が追随。今季好調の2人が評判通りにレースを引っ張った。

そんな中、ニューエンハイスが落車。ネイスは労せず独走態勢に入ると、ハイペースを維持して後続を引き離した。ネイスはこの日、名選手であった父・スヴェン氏の現役時代を想起させる、ベルギーチャンピオンジャージにところどころ緑とベルギーカラーをあしらったヘルメット、オレンジのアイウェアで出走。15年前の同地で勝った父と同じフォルムで、一番にフィニッシュラインを駆け抜けた。

ネイスの歓喜から少しおいて、ローレンス・スウィーク(クレラン・コレンドン)が2位、ニューエンハイスが3位でそれぞれフィニッシュした。

シクロクロス

泥の冷たさは身体を凍えさせる

怒涛のベルギー“レース週間"へ

シリーズは11月30日にフラマンヴィル(フランス)での第2戦を終えると、イタリアへと移動。12月7日にサルデーニャ島のテッラルバで第3戦を行う。

第3戦 テッラルバ

第3戦 テッラルバ

ビーチや港を臨むテッラルバのコースだが、大部分は芝で、ところどころ砂地を抜けるセッティング。コースマップには描かれていないが、海沿いの区間は港町を抜けるルーティングになっていて、街の人たちの熱気を感じられそうだ。

テッラルバでの戦いを終えると、舞台は王国ベルギーへ。そこからはクリスマス明けまで怒涛の“レース週間"となる。

第4戦 ナミュール

第4戦 ナミュール

昨年同様に第4戦に設定されたナミュールは、1600年代に建設された要塞を見ながら走る。何といっても高低差の激しいコースが特徴。激坂上りに加えて、長いキャンバー(下り)、石畳などが繰り返し選手たちの前に現れる。バイクを担いで進む選手たちの姿もたびたび見られることだろう。

第5戦 アントワープ

第5戦 アントワープ

第6戦 コクスアイデ

第6戦 コクスアイデ

12月20日に開催の第5戦アントワープは、エスコー川に面した砂地シント・アンネスタンドが舞台。サンドセクションと、コースの多くを占める草地をどう攻略するか。翌21日は第6戦コクスアイデ。数カ所のサンドセクションは起伏を有し、乗車したまま進み続けるのは至難の業。4シーズンぶりのワールドカップ復帰だが、ベルギーにおいても1,2を争う人気コース。今回は誰が砂を味方につけるか。

第7戦 ガーフェレ(ベルギー)

第7戦 ガーフェレ(ベルギー)

クリスマスが空けると、26日に第7戦としてガーフェレへ。この地を語るに欠かせないのは“泥"。変わりやすい天候によって地面がぬかるみ、泥が選手たちの行く手を阻む。急勾配のキャンバー区間は滑りやすく、一線級のライダーにしてもペダルから足を離してバランスをとるほど。

第8戦 デンデルモンデ

第8戦 デンデルモンデ

泥といえば、28日に行われる第8戦デンデルモンデも忘れてはならない。昨シーズン同地で行われたレースでは大部分が泥沼化し、バイクを担いでのランニングがメインとなる展開に。全体的には平坦基調で、昨年よりも細かいコーナーが減ったセッティングとなる。

シクロクロス

12月は6戦、開催される

マチュー、ワウトの参戦決定! いきなりの直接対決も

連戦となる12月は、レースごとにトップライダーたちのストロングポイントが活かされる戦いとなっていくだろう。

開幕戦を勝ったネイスはもちろん、スウィークやニューエンハイス、ヨーロッパ王者のトゥーン・アールツ(デスハフト・ヘンスCXチーム)、開幕戦17位からの巻き返しを誓うマイケル・ファントゥレンハウト(パウェルスサウゼン・アルテスインダストリーバウ)らが上位戦線をにぎわせる。ターボルではスタート直後にトラブルに遭いながら、9位まで盛り返したキャメロン・メイソン(セブンレーシング)も万全なら勝負に絡んでくる。

彼らを中心に混戦が予想されるレースが続くが、クリスマスまでにはその構図が劇的に変化している可能性がある。

そして、ロードシーズンを終えて、シクロクロス出場へのコンディショニングとスケジュール調整を行っていた現役世界王者のマチュー・ファンデルプールアルペシン・ドゥクーニンク)、さらには最大のライバルであるワウト・ファンアールトチーム ヴィスマ・リースアバイク)の動向もついに明らかに。

マチューはこの冬、最大13レースに出場することを表明。早ければ第4戦ナミュールでシーズンインとなる。コンディション次第では次戦のアントワープを初戦に据える可能性があるとしているが、その後のコクスアイデ、ガーフェレとワールドカップを転戦しつつ、他シリーズにも臨むとしている。

一方、ワウトはアントワープがこの冬最初のレースに。いきなりマチューとの直接対決だ。それからは他シリーズ参戦をはさみながら、第8戦デンデルモンデへ。この間、コクスアイデとガーフェレは回避する見通し。冬場を通しては8レースを走る予定だが、あくまでロードレースの春のクラシック戦線に最高のコンディションに持っていくための足掛かりとのスタンスだという。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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