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ポガチャルが躍動のロンバルディア パリ~トゥールはトレンティンがベテラン健在をアピール|グラン・ピエモンテ、イル・ロンバルディア、パリ~トゥール:レビュー
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介シーズンを締めくくるモニュメントタイトルはポガチャルの元に
秋深まるムードの中を行くプロトン。10月のレース独特のエモーショナルさは、イベントの質だけでなく、終わりを告げようかというシーズンそのものが醸し出す空気がそうさせているのだろう。
シーズン最終盤の伝統レースには、多くのビッグネームが名を連ねた。今年最後のタイトルに賭ける選手もいれば、趣きあるイベントでキャリアを終えようとする者も。スタートラインについた選手たちのマインドはさまざまだったけど、長きシーズンの終わりに最後の力を振り絞ろうとする強き意志は同じ。そのどれもで熱戦が繰り広げられた。
高き格式を誇る3つのレースを振り返ってみよう。いずれも、優勝争いは翌シーズンへとつながる道標となった。
ロンバルディア前哨戦グラン・ピエモンテは若武者デルトロが独走勝利
イタリアで10月9日に行われたワンデーレース、グラン・ピエモンテ(UCIプロシリーズ)は今年も2日後に控えたイル・ロンバルディアに向けた最後の前哨戦との位置づけに。
179kmに設定されたコースは、中盤から後半にかけてのアップダウンがポイントに。レースは早い段階からUAEチームエミレーツ・XRGが主導権を握り、後半部に入った段階でそれまで逃げていた選手たちを続々とキャッチ。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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配信期間 : 2025年10月18日午後2:15 ~
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Cycle*2025 宇都宮ジャパンカップ サイクルロードレース
配信期間 : 2025年10月19日午前8:55 ~
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Cycle* J:COM presents 2025 ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム
配信期間 : 2025年11月9日午後2:30 ~
スタートから約130km、1回目のカステッレット・デッロ登坂でイサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ・XRG)やエガン・ベルナル(イネオス・グレナディアーズ)らが仕掛けたのを機に、6人の精鋭グループが組まれる。さらに約30km進んで2回目のカステッレット・デッロに向かってデルトロが再度のアタック。上りに入って逃げ残っていたマルク・ヒルシ(チューダープロサイクリング)とバウケ・モレマ(リドル・トレック)をパス。そのままトップに立って独走に持ち込んだ。
独走勝利を挙げ、今季15勝目を記録したデルトロ
デルトロは最後の約18kmをひとりで逃げ切り、鮮やかな勝利。今季は劇的な活躍で、ジロ・デ・イタリアでもマリア・ローザ争いに加わった21歳がシーズン15勝目を挙げた。
「チームとしても、個人としても予想をはるかに上回るシーズンになっているよ。確かにプレッシャーはあるけど、常に上を目指してプロフェッショナルであり続けたいんだ。シーズンの終わりに勝つことができて本当にうれしいよ」(デルトロ)
ポガチャルがイル・ロンバルディアで前人未到の5連覇達成 33km独走劇
ヨーロッパで開催されるUCIワールドツアーのレースは、イル・ロンバルディアで締めくくり。今季のモニュメント最終戦でもあり、シーズン最後のビッグタイトルを誰が獲るかが例年の焦点でもある。
とはいうものの…、やはり今年も主役は“あの男”だった。
レース距離241km・獲得標高4400m超の大一番は、慣例となっている「マドンナ・デル・ギザッロ教会」を見ながら進み、6つの登坂区間を越える山岳コース。リアルスタートが切られるなりクイン・シモンズ(リドル・トレック)が飛び出して、さらに13人が追随。この日もメイン集団ではUAEチームエミレーツ・XRGがコントロールを担い、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエなど数チームもアシストを牽引役として送り込んだ。
しばし形勢が変わらなかった先頭グループだったが、フィニッシュまで80km以上を残してシモンズがアタック。それまで一緒に逃げてきたメンバーをすべて振り切って、独走状態となる。
UAEは残り50kmに前後してギアを上げていく。そこから10km進んで登坂に入るパッソ・ディ・ガンダで一気に人数を絞り込んで、アシスト陣が役目を終えると同時に真打ちポガチャルが猛加速。それまでスーパーエースのケアに従事していたデルトロは、レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)らを抑える側に回り、ポガチャルのリードは着実に広がっていった。
完全に勢いづいたポガチャルは中腹までにシモンズを捕らえ、頂上まで3kmを残したところでアタック。フィニッシュまでは33km。いまや勝ちパターン化した独走でレース終盤へと移った。
ポガチャルのペースは陰ることなく、フィニッシュ地・ベルガモへと到達。大歓声を受けながら両腕を広げてフィニッシュラインを通過した。この勝利により、大会史上初となる5連覇を達成。同時に、今季は5つあるモニュメントすべてで表彰台に立つ離れ業を演じてみせた。
ポガチャルはイル・ロンバルディア通算5勝目をあげ、コッピ氏の大記録に並んだ
「出場するたびに、このレースとコースが自分に合っていることを実感するんだ。それに、素晴らしいチームで走っていることも大きな要因だよ。今年はこれまでで最高のシーズンを送ることができたと思う。それは間違いないよ」(ポガチャル)
ポガチャルには遅れをとったものの、レムコは2位でまとめてスーダル・クイックステップでの最終レースを飾った。3位には粘ったマイケル・ストーラー(チューダープロサイクリングチーム)が続き、ほぼ全行程を逃げ続けたシモンズが4位と大健闘した。
なお、スタート地・コモでは今シーズン限りでプロトンに別れを告げるラファウ・マイカ(UAEチームエミレーツ・XRG)、ピーテル・セリー(スーダル・クイックステップ)、サルヴァトーレ・プッチョ(イネオス・グレナディアーズ)、シモーネ・ペティッリ、ルイス・メインチェス(ともにアンテルマルシェ・ワンティ)も行われ、長年の功績が称えられた。
トレンティンが混戦を制しパリ~トゥール3度目の優勝
今年で119回目の開催となったパリ~トゥール(UCIプロシリーズ)は、平坦路に強いライダーやワンデーハンターらが集結。211.6kmで争われた。
スプリント勝負を制し、大逆転勝利を挙げたトレンティン
キャリア最終レースのアルノー・デマール(アルケア・B&Bホテルズ)のセレモニーが行われるなど、華やかにスタート。序盤に形成された6人の先頭グループに対し、メイン集団はヴィスマ・リースアバイクやロットがタイム差をコントロール。追い風にも乗って時速50kmを超えようかというハイペースで進んだ。
フィニッシュまで65kmを切って名物のグラベル区間に入ると、集団はさらにペースアップ。残り50kmとなったところで逃げていた選手たちはすべて捕まり、レースはふりだしに戻る。180km地点を過ぎたところで次なる展開が訪れて、ポール・ラペラ(デカトロン・AG2Rラモンディアール チーム)とティボー・グリュエル(グルパマ・FDJ)が先頭に立った。
2選手の後方では、2連覇を目指すクリストフ・ラポルト(ヴィスマ・リースアバイク)らが追走狙いのアタック。しばしメイン集団は出入りが繰り返されたが、やがてラポルトやマッテオ・トレンティン(チューダー・プロサイクリングチーム)などによる5人が追走グループを形成。ラポルトの繰り返しのアタックによって追走メンバーが絞り込まれると、残り1kmを切って牽制状態となったラペラとグリュエルに合流した。
最終局面は6人による争いへ。最後はスプリント力の高いトレンティンが会心の加速。これにはラポルトも続けず、トレンティンは2017年以来となる8年ぶり3回目の優勝を決めた。
「先頭を走っていた2人が牽制するだろうから、追いついてからが勝負だと思っていた。とにかくスプリントで決めたかったんだ。このレースはいかに展開を読めるかが大事。調子も良かったし、今日は僕に運が向いていたね」(トレンティン)
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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