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モーターバイクと自転車のチームカラーの扱いの差はどこから来るのでしょうか?この前バイク好きの友人と話していて気づいたのですが、モーターバイクに於いては低排気量からフラッグシップモデルに至るまで、様々なモデルでレースバイクのレプリカペイントを施したものを見かけます。一方でロードバイクなど自転車業界ではプロチームのレプリカペイントを施したものは上級モデルに限られることが多く、特に最近は地味目なデザインが流行りなこともあってかそもそも手に入らないこともあるように思います。栗村さんはこういったペイントへの意識の差はどこから生まれるとお考えでしょうか?個人的には元気な色合いのチームレプリカモデルは好きなので気軽に手に入ると嬉しいのですが…
(男性 会社員)
興味深いご質問ですね。
よくよく見ると、エントリー・ミドルグレードにチームレプリカカラーのロードバイクが用意されることもありますが、たしかに一般的には最上級グレードに限られることが多く、また、モーターバイクなどと比べるとレプリカペイントは少ないように思います。
まず大きな違いとして、サイクルロードレースには「世界最高峰のワールドツアーレースで使う機材は、原則として市販されていなければいけない」という縛りがある一方で、オートバイレースの場合、頂点のMotoGPにはそれがない点が挙げられます(ただし、市販車をベースとするスーパーバイク世界選手権(WSB)といったカテゴリーはあります)。
要するに、ロードバイクのレプリカは、限りなく「本物」に近いわけです。ということは、仮にエントリーグレードのバイクにチームレプリカのペイントを施すと、「チームカラーなのにエントリーグレード?」という違和感が生まれてしまいます。しかし、MotoGPのレプリカモデルとなると、「本物」を手に入れようとすれば非常に高額になりますし、そもそもそのまま公道を走行することはできません。
自転車メーカーも、ユーザー側のこうした価値観をよく理解しているからこそ、チームレプリカカラーの展開をあえて控えている可能性がありますね。
あと、もっとシンプルな理由として、サイクルロードレースではスポンサーがコロコロ変わりますから、それに合わせてレプリカカラーもしょっちゅう変化する、ということもあるでしょう。毎年、レプリカカラーモデルのデザインを変えるのは大変です。
その点、オートバイやモータースポーツ全般のスポンサーは比較的安定していますから、レプリカカラーモデルを用意しやすい事情もあるのかもしれません。
それと、ロードバイクのフレームにはサイズ展開がありますから、カラーのバリエーションを増やすには大きなコストがかかる可能性があります。加えて、質問者さんも書かれているように近年はモノトーンの大人っぽい色がトレンドですから、派手なレプリカカラーはややチャレンジングなのかもしれないですね。
とはいえ、贔屓のチームや選手がいるサイクリストにとって、そのチームを意識したデザインはやっぱり魅力的です。ですので、バリバリのレプリカカラーという形ではなく、もう少しチームの色やデザイン、特色を抽象化して市販バイクに取り入れるのはアリだと思います。
仮に、UAEやヴィスマっぽい色使いや、チームの走りの特徴をデザインに取り入れたバイクが、コルナゴやサーベロのエントリー・ミドルグレードにあったら、レースオタクの僕などは欲しくなってしまうと思います。
あと、今回この記事を書きながら思い出したのは、本場ヨーロッパでは、トップチームとつながりのある下部アマチュアチームが、チームカラーをさりげなく取り入れたウェアやミドルグレードのロードバイクを使っていて、それが逆に「本物」以上にカッコよく見えたことです。まあ、この感覚は完全にオタク目線ですが、たとえば、BORAの U19 チームを見てみてください(https://www.redbullborahansgrohe.com/en/news/250908-grand-prix-ruebliland)。
サイクルロードレースでは世界最高峰のレースで使う機材でも原則として市販されていなければいけないという縛りがある
文:栗村 修・佐藤 喬
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栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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