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サイクル ロードレース コラム 2025年9月2日

ブエルタ1週目を好位置で終えたヴィンゲゴー。日本ゆかりのトレーエンはどこまでマイヨ・ロホを守れるか?|ブエルタ・ア・エスパーニャ2025

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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大会1週目を総合首位で終えたトレーエン

大会1週目を総合首位で終えたトレーエン

8月23日にイタリアで開幕した2025ブエルタ・ア・エスパーニャは、31日に前半戦の9ステージを終了。トースタイン・トレーエン(ノルウェー、バーレーン・ヴィクトリアス)が4日間首位に立ち、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、チーム ヴィスマ・リースアバイク)が37秒遅れでこれを追う。ここまでの戦いを振り返るとともに、休息日明けに再開した後半戦を展望する。

スペイン期待のアユソが優勝争いから脱落
UAEエミレーツはアルメイダが単独エースに

トレーエンは最初の本格的山岳区間の第6ステージで逃げ集団に加わり、優勝候補らに3分25秒差をつけて2位でゴール。この貯金を利して首位を堅持している。これに対する大本命はヴィンゲゴーが37秒遅れ、UAEチームエミレーツ・XRGジョアン・アルメイダ(ポルトガル)が1分15秒遅れの3位、Q36.5プロサイクリング チームのトーマス・ピドコック(英国)が1分35秒遅れの4位、デカトロン・AG2Rラモンディアール チームのフェリックス・ガル(オーストリア)が2分14秒遅れの5位、リドル・トレックのジュリオ・チッコーネ(イタリア)が2分42秒遅れの6位だ。

2分53秒遅れの9位につけるレッドブル・ボーラ・ハンスグローエのジャイ・ヒンドレー(オーストラリア)や2分55秒遅れの11位イネオス・グレナディアーズのエガン・ベルナル(コロンビア)までが、後半戦で首位に躍り出る可能性がある有力選手だ。つまり前半戦では総合優勝争いに決定的な動きは少なく、その中ではヴィンゲゴーが実力通りの走りをこなして絶好の位置につけたということである。

ポイント賞はリドル・トレックのマッズ・ピーダスン(デンマーク)、山岳賞はUAEチームエミレーツ・XRGのジェイ・ヴァイン(オーストラリア)、ヤング・ライダー賞はジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)。いずれも大混戦で、リーダージャージの奪い合いはレース後半まで続く予感。

大本命ヴィンゲゴーは早くも2勝を挙げ好調をキープ

大本命ヴィンゲゴーは早くも2勝を挙げ好調をキープ

総合優勝争いから脱落した唯一の選手がフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ・XRG)。第5ステージには8秒差の総合2位にいたが、第6ステージがバッドデーとなって11分51秒も遅れた。しかしリベンジを懸けた第7ステージで一転して独走勝利。大会初勝利を手中にして、「本当のフアン・アユソの姿が見せられた」と自らコメントした。

7月のツール・ド・フランスを制したタデイ・ポガチャル(スロベニア)の起用を見送ってアユソ・アルメイダのツートップでこのレースを取りにいく計算だったUAEチームエミレーツ・XRGとしては一つの誤算だったが、エースがアルメイダに固定されたことで戦いやすくなったとも言える。

日本人の風貌をみせるトレーエン
がん闘病を克服したクライマー

前半戦を終えてマイヨ・ロホを着用するのが北欧出身のトレーエン。2024年にツール・ド・スイスで区間1勝しているだけで、UCIランキングは高くなかったが、第6ステージで2位になり、さらにその日からグランツールの首位選手として連日UCIポイントを獲得。大会後に上位に浮上してくるのは間違いない。

2022シーズン中に精巣がんが見つかり、その治療を経てレース復帰。2024年、9年間所属してきたウノエックスからバーレーン・ヴィクトリアスに移籍。山岳を得意とするオールラウンダーとして今大会をキャリアの頂点としそうな30歳だ。どことなく日本人の風貌を見せるが、祖母が日本人であるという情報がいくつかのサイトで紹介されている。

日本生まれのブエルタ・ア・エスパーニャ覇者ホーナー

日本生まれのブエルタ・ア・エスパーニャ覇者ホーナー

ブエルタ・ア・エスパーニャでの日本絡みのニュースと言えば2013年、41歳11カ月というグランツール最年長記録で総合優勝したクリス・ホーナー(米国、ラジオシャック・レパード=現リドル・トレック)。日本生まれのグランツール覇者だ。沖縄返還の1年前、米陸軍に従事していた両親が沖縄の米軍駐留基地に住んでいたときに出生。ただし育ちは米国で、以前話しかけてみたが日本語はまったく話せなかった。

ブエルタ・ア・エスパーニャ第2週はスペイン最北の山岳地帯が舞台で、イヤというほどの上り坂が用意されている。とりわけ第13、14ステージが厳しい。好調のヴィンゲゴーがどこで首位に躍り出るのか? トレーエンが意地を見せるか? アルメイダ、ピドコック、ガル、チッコーネ、ヒンドレーが一発逆転をねらってどこで勝負してくるか? レースはいよいよ白熱してきた。

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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