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サイクル ロードレース コラム 2025年8月20日

【輪生相談】ジュニアの間では土台作りに力を入れた方がいいとよく聞くため、毎日体幹トレーニングなどに取り組んでいます。本当にロードバイクの練習をせずに他のことに取り組んだ方がいいのでしょうか。

輪生相談 by 栗村 修
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現在中学3年生です。中学2年生まで陸上をしながらロードバイクの練習をし、ある程度大きい大会では上位をとることができるようになりました。しかしジュニアの間では土台作りに力を入れた方がいいとよく聞くため、最近ではロードバイクの練習をやめて、マウンテンバイクや陸上を本格的にしています。そして毎日体幹トレーニングなどに取り組んでいます。本当にロードバイクの練習をせずに他のことに取り組んだ方がいいのでしょうか。教えて頂けたら幸いです。

(男性 高校生以下)

 

いいですね。自分で調べ、実際に一定期間試し、その効果を検証する、という、大人も難しいサイクルを実行できていることには、質問者さんの非凡さを感じます。パワーや数値も重要ですが、根本的にはこういう姿勢が大事なんですよ。強くなるために最も重要な資質は、自分自身をアジャストしていく力だと言っても過言ではないと思います。

その上で、「ジュニアは土台作りが重要」と言い続けてきた一人として、改めて考えてみましょう。

僕は確かにロードバイク以外のスポーツを勧めていますが、それは決して「ロードバイクに乗ってはダメ」ということではありません。誤解をする方がいるとまずいので、そこは強調しておきます。ロードバイク以外のスポーツに時間を割くべきか否かは、ご本人の才能と最終目標によって変わってきます。

前提として、サイクルロードレースはとても過酷で、長時間・期間にわたり、さまざまな能力が求められる競技です。すなわち、総合力が重要です。一方で、ロードバイク以外のスポーツをすることでしか得られない知見は少なくありません。逆に言うと、ロードバイクばかりに乗っていると、「ロードバイクを進める」こと以外に関しては、能力が落ちたり偏ったりする可能性すらあります。

たとえばテクニックに関していうと、オフロードを走るMTBに比べるとロードバイクは簡単に乗れますし、適当にペダルを踏んでいても前に進んでいきますよね。ブレーキングやコーナリングもそれほど難しくありません。

この前提を踏まえたうえで戦略を練ることになりますが、それは大きく、短期的な成功を狙うものと、長期的なプランとに分けられます。

もし、質問者さんの目標が比較的短期的なもの、たとえばインターハイでの優勝ならば、ロードレースに特化した体にしたほうが効率的ですから、今は「余計な事」に時間を割かず、ロードバイクでのトレーニングをメインにしたほうがよいでしょう。

しかし、もっと長期的な目標をお持ちの場合、たとえば将来、ヨーロッパのレースで活躍したいと思っているならば、時間がかかってでも、ベースの力を高めるやり方を勧めます。質問者さんが例外的な天才でない限り、土台作りに力を入れて総合力を高めないと、勝負になりません。

とはいえ、質問者さんはすでに大きい大会で上位に入っているそうですし、陸上競技や体幹トレーニングもやっていらっしゃるようです。ある程度の才能と実績があり、かつ、ロードバイク以外のトレーニングも行っている。つまり、それなりに遠く、高い目標を追うルートに入っているということです。

したがって、僕としては、質問者さんは今はベースを広げるべく様々なスポーツやロードレース以外の自転車競技も行い、どこかのタイミングで本格的にロードレースに集中すれば、かなりの結果を残せる気がします。

ただし、今はなによりも「楽しむ」ことが大事な時期です。もしロードバイクにもっと乗りたいと感じるなら、我慢する必要はないでしょう。

ロードバイクに限りませんが、一つのことだけに集中することには、失うものと得るものの双方があることを意識してください。どちらが正解ということはありません。どういう道を選ぶかは、目標地点によって変わってくるというだけの話です。

そのうえで、冒頭でお話しした“アジャスト力”、すなわちトライ&エラーを通じて自分にとっての最適解を見つける能力も磨いてください。私の知る限り、強い選手の多くはこの能力を備えています。

トライ&エラーを通じて自分にとっての最適解を見つけてほしい

文:栗村 修・佐藤 喬

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栗村 修

中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。

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