【輪生相談】現在就職活動をしている中で、自転車に関われる道がないか少し調べています。個人的には英語を使用するかつ自転車に関わる道があればいいなと思うのですが何か良い仕事がありますか？

■栗村さんからの回答

近いご質問はこれまでも何度かいただきましたが、今回は「自転車に関わる」という、大きな括りでのご質問ですね。加えて、「英語を使用する」とありますので、就職先としてパッと思いつくものをいくつか挙げてみます。

①日本市場で販売を展開する外資の自転車関連メーカー
②海外と取引のある国内の自転車関連メーカー
③海外製品を扱う日本の輸入代理店やショップ
④インバウンド向けのサイクルツアー企画会社（サイクリングガイド）
⑤海外レースを取材するライターやフォトグラファー
⑥国際レース主催者の海外チーム招聘担当（UCIとのやりとり含む）
⑦国際レース主催者の海外チーム通訳担当
⑧海外レースに出場している国内UCIチームのスタッフ

あたりでしょうか。

ただ、注意していただきたいのは、 ①～③は、就職という言葉が当てはまる雇用形態になるかと思いますが、④～⑧は、フリーランスのような形で、それぞれの業務を期間限定でスポット的に渡り歩くイメージが強いかと思います。

一般的な会社組織への就職だと、質問者さんが望む業務に就ける保証はなく、いざ入社したら英語をまったく使わない仕事に回される可能性も否定できません。④～⑧であれば仕事をご自身で取捨選択できますが、一方で仕事にありつける保証がなくなり、さらにはある程度の下積みや人脈作りの期間が必要になるでしょう。一長一短です。

①～③はモノを扱う企業ですが、もし質問者さんが就職するなら、グローバルな自転車メーカーや輸出入関連企業で、英語力を活かして海外との交渉やマーケティングに従事することになるでしょう。具体的な職種としては、営業やマーケティング担当が挙げられると思います。要するに、自転車メーカーや部品メーカーで、国内外市場の開拓、取引先とのコミュニケーションを担当する仕事です。④～⑧だと通訳やコーディネーター、メディア関連、国際広報・PR担当などでしょうか。

業界の景気ですが、モノに関わる①～③は、短期的にはやや沈静化しているといわれています。ただ、20年前と比べると市場は拡大し自転車に追い風が吹いているのは間違いないので、業界関係者がなんとなく悲観的になっている今はむしろチャンスかもしれません。レース関係の仕事である⑤～⑧は、そもそも極めてニッチな仕事なので、求人がとても少ないのが現状です。待遇の不安定さもあり、気軽に第一志望にするのはやや難しいかもしれません。

潜在力がとても高いのは④です。海外から来た一般サイクリスト向けに、ツアーの企画や現地サポートを行う業務になると思いますがご存じのように、日本にはインバウンドの波が押し寄せていますし、一方で自転車を活用して地域おこしを狙っている自治体は少なくありません。この両者がうまくかみ合うところを見つけられると、かなりの好待遇が得られる可能性があります。こう書いてもどんな職種なのかイメージが湧かないかもしれませんが、誰でもイメージできる仕事は、すでに潜在需要が低下しているともいえます。そういう意味でも人材不足ですから、英語力と自転車への愛と知識がある質問者さんならば、ハマればかなりいい仕事にありつける可能性がありますね。

安心感や保証を優先すると、やりたいことができなくなる可能性がありますが、やりたいことを優先すると、それらは薄れがちです。質問者さんのリスク許容度に合わせて、じっくり考えてみてくださいね。