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選手の前に立ちはだかる厳しい山々が数々のドラマを生んできた
ジロ・デ・イタリアは名ライダーが時代を築いた一方で、幾多の名勝負が生まれてきたレースでもあります。
古くは第二次世界大戦後のジーノ・バルタリとファウスト・コッピ。大戦前はライバルを圧倒していたバルタリでしたが、戦後にコッピが台頭したことで状況は変化。やがてコッピの活躍が目立つようになり、バルタリは静かに現役引退を決意します。
21世紀に入ってからの、ジルベルト・シモーニとパオロ・サヴォルデッリの覇権争いも観る者にインパクトを与えました。2002年大会では、早くから主導権を握っていたサヴォルデッリをシモーニが大会終盤で猛追。両者の最終タイム差は28秒でした。
近年のジロの印象として、終盤での大逆転を挙げる方も多いことでしょう。2012年大会は、ライダー・ヘシェダルが最終日の個人TTでホアキン・ロドリゲスを逆転し個人総合優勝。2017年大会も最終日の個人TTで逆転劇となり、トム・デュムランがナイロ・キンタナに勝利。2020年大会は同様に、テイオ・ゲイガンハートがジャイ・ヒンドレーに競り勝ちました。
逆にヒンドレーが劇的な逆転劇を演じたのは2022年。最終日前日の山岳でリチャル・カラパスを突き放し初のグランツール制覇。翌年のプリモシュ・ログリッチも、第20ステージの山岳個人TTでゲラント・トーマスを逆転。両者の最終タイム差はわずか14秒でした。
ジロが生み出す壮大なドラマは、ファンなら誰もが惹き込まれるのです。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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