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【輪生相談】アルミロードに長年乗っていたのですが、最近カーボンディスクロードに乗りかえたところ楽しくありません。乗り方に違いがあるのでしょうか?
輪生相談 by 栗村 修はじめまして。私は10数年リムのアルミロードを乗りつぎ、レースやロングライドなど楽しんできました。最近、新しく買い替えようとしましたがリムモデルがそもそもなく、アルミも選択肢が限られているので満を持して最近はやりのカーボンディスクロード、しかもハイエンドモデルを購入しました。やっと時代に乗れると大変楽しみにしていましたが、残念なことに乗ってみて楽しく感じられません。あまり速く走ることもできず、気持ちよさも感じられず、男が終わってしまった様な敗北感でいっぱいです。そこで質問です、アルミとカーボン、リムとディスクで乗り方やポジションなど違うのでしょうか?また、部品とかで楽しく乗れるようになるのでしょうか?アルミに慣れてしまった人はやっぱりアルミなのでしょうか?教えてください。
(男性 会社員)
■栗村さんからの回答
実は僕も最近、ディスクロードでの自転車通勤をはじめたので、質問者さんがおっしゃることはとてもよくわかります。昔乗っていたリムブレーキのアルミロードとは、あまりに勝手が違うんですね。
質問者さんがあまり上手く乗りこなせないのは、今どきのハイエンドカーボンディスクロードの乗り方に身体が順応していないからではないでしょうか。おそらくですが、長年リムのアルミロードを乗り継いできた質問者さんは、それらのバイクに体が順応してしまっていると思います。
まず、昔のリムブレーキのロードバイクと今どきのディスクロードは前提としてホイールの性能もタイヤの太さも、さらには全体の剛性感もまったく違います。パワーメーターの普及がもたらした前乗りのシッティング、とくに上りでのハイケイデンスを想定して作られており、スルーアクスルの影響で剛性はとても高くなっています。
一方で、かつてのロードバイクはもっと全体の剛性感が低く、後ろ乗りのポジションが前提だった様に思います。30Tを超える様な軽いギアもなかったので、上りでは重いギアをかけて「わっしょい、わっしょい」という感じでペダルを前へ押し出すトルクフルなシッティングやダンシングをするのが主流でした。でも今の選手は、軽いギアでクルクルとペダルを回して上っていきますよね。
あと、今のロードバイクのタイヤはものすごく太いですね。僕が選手だったころは18Cのタイヤに9気圧などの空気をぶち込み、カチカチにして走るのが速いとされていましたが、今の選手は28Cのタイヤを4気圧で乗っていたりします。信じられません。
これだけの違いがありますから、ずっとリムブレーキのバイクに乗ってきた質問者さんが今どきのディスクロードにすぐに順応できないのも無理はありません。他でもない僕がそうで、たとえば僕は上りでのダンシングを武器とする選手だったのですが、ディスクロードで同じ様にダンシングをしようと思っても、バイクの剛性が高すぎて昔のようにうまく振れないんですね。恐らく横方向のしなり具合やフロントの「トレール量」などが影響しているのでしょう。それに僕は後ろ乗りの時代の選手でしたから、最初はハイケイデンスのシッティングにも違和感がありました。
しかしディスクロードに慣れてくるにつれ、その性能を引き出せる様になってきました。剛性が高いから力は逃げないし、タイヤも太くて低圧のほうが実は転がり抵抗が低いと聞きます。それにブレーキはすごく効きますし、空力もいい。乗りこなせれば恐ろしく速いのが今のディスクロードです。性能はあきらかに今のディスクロードの方が上です。
僕がディスクロードに順応するために意識したことは、最近のプロ選手の走りをイメージしながら乗ってみることでした。体のつくり的にRエヴェネプールの走りは真似できませんが、Tポガチャルの走りは比較的真似がしやすく、自分がまるでポガチャルになったようにペダルをまわしてみると、ディスクロードへの順応を徐々に後押ししてくれたのです。
真似をすることで最新バイクへの順応を後押ししてくれたTポガチャルの走り
ですから質問者さんも、もう少しだけ我慢してディスクロードに慣れてみてはいかがでしょうか。ポジションも、長年慣れ親しんだリムブレーキロードのそれにこだわらず、今風のものを試してみてください。そうそう、今の選手はクリートの位置を深く(後ろに)つけることが多い様ですから、そのあたりも見直しては? ハンドル幅、というよりブラケット間の距離も、昔よりとても狭いですよね。再検討すべきポイントはたくさんあります。
今のところ気持ちよさも感じられないのはとても残念ですが、ディスクロードにはリムのバイクとはまた違う気持ちよさがあります。たとえば、太いタイヤを履けるのもディスクロードの強みですから、もし入るなら30Cや32Cなど極太タイヤを低圧で履くのも面白いかもしれません。今は、クリンチャータイプのタイヤでもTPU製のとても軽いチューブがありますから、重さのハンディも小さいですよね。あえてコンフォート寄りのパーツを組み合わせることで新たな楽しさを発見できるかもしれません。
繰り返しになりますが、昔のロードバイクと今のバイクは乗り方からして別物です。たしかに昔のロードバイクが懐かしくなることもありますが、今のバイクのほうが速く、かつ細いタイヤから太いタイヤまで履けるため調整の幅が広いのも間違いありません。その差に順応しつつ、違いを楽しむのも面白いと思いますよ。
文:栗村 修・佐藤 喬
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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