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「栗村さんこんにちは、輪生相談がJ SPORTSで継続が決まり読者として喜ばしい限りです!
私は30代でロードバイクに乗り始めて、今で4年になるのですが、人より転倒や事故での怪我が多いのです。
幸いなことに骨折など入院するような大怪我には至ってないのですが、家族や友人には迷惑や心配をかけ、職場で白い目で見られることもあります。
ロードバイクは運動や気分転換にもなり、走るたびに季節を感じられるのが大好きでこれからも乗っていたいと思う反面、迷惑をかけてしまいがちな私のような人は乗るのをやめたほうががいいのかとも思ってしまいます。
どう折り合いをつけるべきでしょうか?アドバイスの方よろしくお願いします。」
(自由業 男性)
栗村さんからの回答
おかげさまでJ SPORTSさんのサイトへお引っ越しをして続いている輪生相談ですが、残念なことに、落車や事故のご相談が多いのも変わりません。ヨーロッパのプロレースでも国内レースでも、頻繁に深刻なケガの話を耳にします。
一刻も早くなんとかしなければいけない問題ですが、ケガや落車が多い人とそうでない人がいるのも事実です。ヨーロッパのレースを見ていてもわかると思うのですが、個人差があるんですね。
集団かつハイスピードで走るロードレースは落車の危険と隣り合わせ
質問者さんは、残念ながら転びやすい方なのでしょう。ここまで大きなケガがなかったのは不幸中の幸いですが、次の落車がもしあれば、大事に至らないとは言えません。対策を練りましょう。
落車を避ける上でもっとも重要なのは、「自分は転びやすいんだ」と自覚することです。転びやすく、かつ自覚がない方が最悪です。レースで周囲を巻き込んだ落車を引き起こすかもしれません。でも、質問者さんには自覚があるようですから、そこは大丈夫ですね。
転びやすいからといって、すぐにロードバイクに乗ることを諦める必要はありません。心肺能力やバランス感覚に個人差があるように、転びやすさに個人差があるのは当然です。転ばないよう対策を立てればいいのです。
ではどうするかですが、まずは落車がどうやって起こるのかを考えましょうか。落車は、ライダーが
(1) リスクに近づき
(2) リスクを回避できなかった
場合、つまり(1)と(2)が両立してしまった場合に発生します。
リスクとは、道路の段差やグレーチングなどの障害物、コーナー、砂、更にクルマやバイク、他の自転車や歩行者なども含まれます。さらに自転車の整備不良もリスクの一つとなりますね。
どんなにバイクコントロールが苦手な方でも、走っている最中に理由なくいきなり転ぶことはまずありません。リスクに近づいてしまい、かつ、そのリスクを回避できなかった結果転ぶのです。ということは、極論、ものすごく転びやすい方でも、リスクに近づかなければ落車はしないということです。
質問者さんは、そもそもリスクに気付く能力が弱いのかもしれません。普通は乗っているうちにリスクを学んでいく場合が多いですが、そのスピードにも個人差はあるでしょう。
ですから、質問者さんはご自身が転んだりヒヤッとしたら、必ずそのシチュエーションを振り返ってください。そして、以降は回避できるリスクは事前に避けるんです。反省することは落車回避の基本です。
もう一つは、リスクに直面してしまった場合に、そのリスクを切り抜けるバイクコントロール技術を身に付けることです。現実的にすべてのリスクを事前に避けることはできません。基本は「止まる」「曲がる」、つまりブレーキングとハンドリングですね。「そんなの簡単じゃん」と思った方がいたら、黄信号ですよ。アマチュアの方の大半はブレーキングやハンドリングに問題があります。だから転ぶのです。
クローズされた場所でしっかりと腰を引いた急ブレーキや、ハンドリングテクニック向上のための8の字走行などをやってください。基本中の基本ですが「止まる」「曲がる」を身体に覚え込ませることがとても重要なのです。
ただ、バイクコントロールのスキルは舗装路だけでは身に付けにくいのが困った点です。できれば、シクロクロスやグラベルロードなどでオフロードも走ってみてください。オンロードに比べて転びやすい状況だからこそ、転ぶことを回避するテクニックが効果的に身に着くわけです。転んでも大ケガにはなりにくいですしね。
落車は、ある程度なら意識改善とトレーニングで回避できるようになります。速くなるためのトレーニングも大切ですが、安全のためのトレーニングだって同じくらい大切にすべきではないでしょうか。
文:栗村 修・佐藤 喬
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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