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一昨日、ユンボ・ヴィズマに所属するトム・デュムランが、突然「一定期間活動を休止する」という内容の発表を行いました。
デュムランはスペインでのチーム合宿に参加しており、また、先日チームからはデュムランを含む2021年の「ツール・ド・フランスメンバー」が発表されたばかりだったので、今回の発表が表向きは「急な決断」だったことはほぼ間違いないと思われます。
一方、デュムラン自身が動画インタビューの中で現在の自分の状況をしっかりと説明しており、あくまでも「良い状態で戻ってくるため」の前向き処置であるとも感じ取れます。
但し、デュムランのメンタルが「ちょっとした休憩」では回復できないところまで追い詰められてしまっていたのは事実であり、今後の動向がとても心配だったりもします...。
ここに至るまでのデュムランのキャリアを簡単にまとめてみました。
◯21歳(2012年)プロデビュー、その後一貫して2019年まで現DSMに所属
◯22歳ツールデビュー、オランダロード選手権2位
◯23歳ドーフィネ個人TTプロ初勝利、世界戦個人TT3位
◯24歳ツール・ド・スイスTT2勝、ブエルタステージ2勝総合6位
◯25歳ツールステージ2勝、五輪TT銀メダル
◯26歳ジロステージ2勝総合優勝、世界戦個人TT1位
◯27歳ジロ総合2位、ツール総合2位
◯28歳ジロの落車で膝を痛めて手術を受ける、チームとの関係が悪化し移籍を決断
◯29歳ユンボに移籍、コロナや寄生虫感染の影響で一時引退を考える、その後ツール総合7位
◯30歳(2021年)1月に活動休止を発表
リザルトだけを見れば若い頃からとても順風満帆だった様にみえるデュムランですが、2019年の「ジロ・デ・イタリア」での落車以降状況が悪化しはじめています。
そして、若い頃から活躍しているので、「勝利を期待される様になってからの期間」はすでに8年ほど経過していることにもなります。
現在のデュムランの状態というのは、一般的にいう「燃え尽き症候群」に近い状況なのだと思います。
一時的なバーンアウトであれば休息により回復する可能性もありますが、一方、「自転車競技への情熱」という根本的な部分が枯渇傾向にあるならば、もしかすると第二の人生へと舵を切るタイミングなのかもしれません。
これらはなにも特別なことではなく、誰しもが人生の中で何度も経験している事象であり、ただ、デュムランが特別な才能を持ったアスリートだったが故にちょっとしたニュースとなってしまっているだけともいえます。
一つ言えることは、今後、デュムランがどういう決断をしようとも、彼が偉大なリザルトを残した特別な選手であったという事実は不変であるということです。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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