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8月29日に開幕する世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」の主催者であるA.S.O.が、18ページに及ぶ「ツール・ド・フランス」独自の「新型コロナ対策医療プロトコル」を発表しました。
最も衝撃的?だったのは、レース期間中に選手・スタッフに関わらず、合計2名の感染者が1チームからでた場合、その時点で対象チームはツールから撤退しなければならないという内容です。
これはある意味で「ツール・ド・フランスを途中で止めないための処置」とみることができます。
フランスでは今週、1日に5,000件近い新型コロナウイルスの新規感染者が報告されています。これはロックダウン解除後としては最高の数字となります。一方、感染者の多くは若いひとが多く、医療機関の状況は比較的安定している状況とのこと。
そんな中、フランスのマクロン大統領は、現時点に於いてはロックダウンを再度実施する予定ははないと言及しています。
一方、8月のワールドツアーが再開したあと、トップチームの選手で新型コロナウイルス陽性となったのはこれまでのところ4名。
ユーゴ・ウル(アスタナ)
オメル・ゴールドスタイン(イスラエル)
シルヴァン・ディリエ(AG2R)
ローレンス・ワーバス(AG2R)
また、UCIのラパルティアン会長は、仮にツール期間中に新型コロナウイルス感染者が出たとしても、レースを停止しない予定であるとも発言。
そのためにも、
◯新型コロナ感染者は即レースから撤退
◯1チームから2名の感染者がでた場合はチームごと撤退
という、ツール独自のプロトコルが発表されたものと思われます。
尚、仮に一つのチームが退場となった場合でも、ホテルを含めて各チームは常に隔離状態に置かれており、また一番気になる「集団走行」は濃厚接触にあたらないという判断が下されているので、その他のチームはレースを続行できるというロジックのようです。
この様になんとなくの落とし所を見つけての開催となるわけですが、一方で一番怖いのが、最終日近くでマイヨ・ジョーヌを着るチームの選手、もしくはスタッフから合計2名の感染者がでてしまうパターンです。
最悪のケースでは、シャンゼリゼ前日に、陰性のマイヨジョーヌ着用選手を巻き込む形でそのチームがまるごと撤退となってしまう可能性もあります...。
とにかく前代未聞の特殊な状況下で開催される今年の「ツール・ド・フランス」。
観る側、伝える側も、あらゆる状況を想定して挑まなくてはなりませんね。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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