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先日、2018年、2019年の世界ロード選手権個人タイムトライアルチャンピオンであるローハン・デニスのチームイネオス入りが発表されました。
デニスは、今年のツール・ド・フランスで、彼自身が得意としている(ステージ優勝を狙っていた)第13ステージ個人TT前日のピレネー初日のステージで突然アーリーアタックに加わり、止めに入った(普通は翌日のTTのために力をセーブする)監督とレース中に口論となって、その結果、80km地点で自らバイクを降りる(リタイアする)というある意味での「事件」を起こしました。
その後、メディアやSNSなどでデニスがなぜリタイアしたかのかが論じられましたが、結局公式な見解というものは出されずに、デニスは以降のレースに一切出場しないまま時間だけが過ぎていきました。
そして、復帰戦となった9月25日開催の世界ロード選手権個人タイムトライアルでは、かつて所属していたBMC製のバイクに乗り、2位のエヴェネプールに1分9秒という圧倒的なタイム差をつけて見事連覇を達成しました。
通常、プロ選手が契約以外のバイクに乗ることは絶対に許されない行為なので、この時は「すごいことをするな」と感じていましたが、その後(9月29日)、バーレーン・メリダ側からチームとデニスとの契約は9月13日時点ですでに解除されていたとの発表がありました。
デニスの世界選手権に影響が出ない様に、バーレーン・メリダ側が配慮して契約解除のリリースのタイミングを遅らせたとのことです。
ちなみにツールリタイア後に世間で噂されていた「原因」というものは以下の様なものがありました。
1. バイクが気に入らない
2. ウェアやヘルメットなどが気に入らない
3. チームとうまくいってない
4. デニスの性格に問題がある
結論からいくと、チームイネオスと契約したということは、「1」と「2」はきっかけの一つだったかもしれませんが、それが直接の原因ではなかったことがわかります。
要するにデニスの要求に対してのチーム側の対応(もしかしたら「言い方」レベルとかかもしれません...)などに問題があったのかもしれません(あくまでデニス側からの見方として)。
デニスが完璧主義者で気に入らないことがあるとついカッとなってしまうところがあるのは有名な話ですし、本人も結構前にこの事実を認めています。
今回の件をツール直後から見ていて感じることというのは、こういったスキャンダルの真実というのは大抵各種情報の「中間」辺りにあるということです。
そして、悪者にされてしまうのは、どちらかというとチーム側というパターンが多い様に思います。まあ難しいですね...
なにはともあれ、デニスはこれで東京五輪での金メダルをスッキリとした気持ちで狙うことができます。
日本でデニスの最速の走りを観れることを今から楽しみにしています。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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