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「ホビーレーサーの甲子園」と形容される「ツール・ド・おきなわ」からの帰りの飛行機の中で考えていたことがあります。
それは、「アマチュアスポーツの価値が高い」日本独特のスポーツ文化についてです。
ご存知のように、「ツール・ド・おきなわ」には最高峰カテゴリーとしてUCIレースが設定されていますが、自転車メディアなどのアクセス数や、その他の注目度などを見聞きしてみると、市民210kmのバリューの方がある意味で高いことがわかります。
ところで、なぜ日本では、時にプロスポーツよりもアマチュアスポーツの方が高い注目度を獲得してしまう「逆転現象」が起きてしまうのでしょうか?
代表的なところだと、高校野球や箱根駅伝などは文字通り国民的スポーツイベントとして毎年多くの国民に注目され、連日メジャーメディアなどで試合の内容が詳しく報道されるほか、選手やチームなどの日常や歴史、更にはかなり深掘りした秘話的なストーリーまで紹介されたりもしています。
その市場規模はそこらのプロスポーツでは敵わないほどに巨大であるのは間違いなく、にも関わらず、プレーヤーである選手たちは基本的にはサラリーをもらっていないアマチュア選手だったりもします。
この構造が悪いとは思いませんが、やはりある種の歪みというか、ちょっとした矛盾のようなものを感じてしまいます。
話を「ツール・ド・おきなわ」に戻しますと、同じイベントの枠の中にあるカテゴリーの中で、最高峰であるはずのプロのレースよりも、むしろ社会人レースの方が大きな盛り上がりをみせているのは事実であり、その理由と意味について改めて真剣に考える必要があるように感じます。
言い換えると、「ツール・ド・フランス」本戦よりも、「エタップ・デュ・ツール」の方が高いバリューを誇っている状態となってしまっているわけで、実際はツールあってのエタップなのに、おきなわではなんとなくその力関係が逆転まではいかないにしても、イコールくらいにはなってしまっているのです。
今後の日本のレース界の拡大及びレベルアップを考察していく上で、これらの日本オリジナルのスポーツ文化というものを、うまくチャンスに変えていく方法を見つけられるかがキーになってくるように思います。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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