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12月12日に、世界最高峰の自転車ロードレースチームをスポンサードする欧州最大の有料放送企業「スカイ」が、2019年シーズン限りで「チームスカイ」のメインスポンサーから撤退することがアナウンスされました。
すでに多くのメディアがその理由などを報じていますので、現状の情報をまとめつつ「スカイ撤退」について、自分なりに考察してみたいと思います。
◯推測される撤退理由
スカイグループがアメリカの会社に回収されたことにより(メディア界全体の再編の動きやBREXITなどの影響も...)、チームスカイの年間予算である40億円という金額が高いと判断された。
⇒考察
たしかにチームスカイの年間予算は他のチームに比べて非常に大きいかもしれませんが、一方で、「世界最高峰のプロチーム」の年間予算が40億円というのは他のプロスポーツ界と比べるとあまりにも少な過ぎます。チームを持つことのメリット(市場価値・具体的な収入源・売却時の流動性など)がより明確にならない限り、たった40億円(本当のお金持ちや大企業にとってはお小遣い程度の金額)が高いとみなされてしまうのでしょう。
チームスカイのプロジェクトは、サーの称号を持つ、チーム代表のデイブ・ブレイルスフォード氏が、長年に亘って積み上げてきたものの「集大成」でした。
ブレイルスフォード氏自身もかつては自転車選手でしたが、選手としては目立った成績を挙げられずに引退。しかしその後、スポーツ科学やスポーツ心理学などを学び、更にMBA(経営学修士)も取得して、経営学的側面から突破口を見出す独特(古い体質が残る自転車界にとっては)のやり方で、多くの実績を挙げてきました。
ある意味で正しいやり方(とてもロジカル)であり、ブレイルスフォード氏がイギリス自転車連盟の会長だった頃に立ち上げた長期構想というのは、まさにこれから「東京五輪」が開催され、更に「自転車活用推進法」が動き出す日本にとっても、これ以上ないほど素晴らしい模範的な内容の計画となっていました。
但し、素晴らしいパフォーマンスを発揮してほぼ完璧なリザルトを残したとしても、「自転車界が持つ不安定な仕組み」の前では、安定した継続性を手に入れることはできなかったわけです。
だいぶ昔から書き続けていることではありますが、「自転車界が持つ不安定な仕組み(チーム側に安定的な収入源がない/UCIワールドツアーやツール・ド・フランスなどからの運営サポートや分配金などの仕組みがない)」をなんとかしない限りは、この先もずっと同じことが繰り返されていくのは間違いありません。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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