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3月23日~25日の3日間に亘り、栃木県内を駆け巡る「ツール・ド・とちぎ」が、「第1ステージ=渡良瀬遊水地」、「第2ステージ=小山~日光」、「第3ステージ=那須~真岡」の各コースで開催されています。
2年間をかけて栃木県内の「全市町を走破する」という壮大な目標を掲げてはじまった同大会ですが、本日、第2ステージを終えて、その目標達成まであともう少しとなっています。
日本国内(特に交通量の多い地域)で本格的なラインレースを開催することは難しいと言われるなかではじまったこのチャレンジですが、初回大会の昨年から本日まで合計で4つのラインレースを開催し、大きなトラブルなくしっかりと国際基準のロードレースをやりきっていることに、大きな驚きを感じると共に、レース主催の仕事に就く身として強い尊敬の念を抱いています。
すでに20年を超える歴史を持つ「ツアー・オブ・ジャパン」の現場を知る立場からしても「ツール・ド・とちぎ」から学ぶことというのは決して少なくなく、もちろん開催環境自体がまったく違うので単純に比べられるわけでもありませんが、それでも「自転車王国栃木」が創り上げた本格的ステージレースに大きな可能性を感じている次第です。
また、今年の10月には大分でも新しいUCIレースが開催される予定となっており、日本国内に於ける「自転車ロードレース環境」というのは間違いなく良い方向性のなかにあります。
一方で、今後は、財源やマンパワーなどを中心に、拡大傾向にある市場をしっかりと受け止めるための「実態部分の強化及び構築」が急務となってくるのは間違いありません。
良い流れに冷水をかけたくはありませんが、現在の勢いが「全体のビジョン」の上に成り立った計画的なシステムの構築であれば問題ありませんが、逆に、勢いの上に成り立った一過性の流れであるならば、「バブル」という危機意識を持つ必要性もでてくるわけです。
自転車ロードレースというスポーツが新たな財源を確保していくためのマネタイズ手法の研究や、多くの質の高いレースを開催していくための人材の育成など、同時進行的に着手していかなければならない要素が多々あります。
現在の様な、限られた財源への集中や、一定の人材に対する偏った需要というのは、中・長期的にみれば「継続不能」という名のリスクに直結していく可能性があります。
「屋根は晴れているうちに直せ」という言葉がありますが、良い流れのなかにある今だからこそ、その先にあるリスクを意識しつつ大きなシステムの構築にも取り組んでいかなくてはなりません。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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