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私自身、日々、自転車ロードレースに関連した仕事と向き合っているわけですが、そのなかでもメディア関係の仕事に取り組んでいる時に、ふと「スポーツ観戦の本質とは」という要素について考えさせられる瞬間があります。
どういうことかというと、自分も含めた多くの人たちが、「スポーツを観戦する」ということに対して、自らのお金や時間を惜しみなく費やしているその理由というものを、深く考察したくなったりするのです。
もちろん、人によってその理由は異なるでしょうし、また、楽しみ方(実際にスタジアムなどへ行って贔屓のチームや選手を応援する/テレビやネットなどを駆使しながら自分の生活の一部に取り込んでスポーツを楽しむなどなど)も千差万別でしょう。
しかし、その根底に流れている「共通の理由」というものは必ずあるはずです。
思うに、スポーツを観戦したくなる代表的な「共通の理由」というのは、「愛」と「現実逃避」の二つだと、私自身、勝手に分析して解釈している次第です。
「愛」といのは、贔屓のチームや選手を応援するという、スポーツ観戦のド定番の理由ではありまずが、一方で、負けが続いたりすると、その「愛」が「怒り」や「悲しみ」といったネガティブな感情に変化することもあります。
但し、人間の精神構造上、ネガティブな感情であっても、喜怒哀楽が大きく揺さぶられる状況に置かれるということは、根底にある「愛(モチベーション)」の大きさは相対的に増していくように思います。これが「スポーツ愛」が生み出す一種の中毒症状(良い意味での)といえるのでしょう。
一方、現実逃避(もしくは非日常の世界)という要素も、スポーツを観たくなる理由としては小さくない存在だと感じています。
「自分にはとてもできないこと」や「自分の生活の中には存在していない空間」などへの憧れとリーチは、マンネリ化している日常からの逃避行動となり、結果、自分の生活の中に一種の切り替え作用が生まれて、日常生活にもプラスの効果を生み出すように思います。
もちろん、他にももっとたくさんの理由が存在しているでしょうが、こういったことを考えながら「スポーツ観戦」というものに触れていると、スポーツのまた違った側面がみえてきて面白かったりします。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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