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この2日間、九州の大分県大分市と長崎県に行ってきました。
どちらも「自転車」に関する打合せに参加するためです。
大分市では今年の10月に「OITA URBAN CLASSIC」という名称のUCIレースが初開催されることになっています。
九州でのUCIレースの開催は、2009年~2010年に2度開催された「熊本国際ロード」以来8年ぶりとなります。
近年、「地方創生」や「自転車活用推進法」といった国レベルでの取り組みがきっかけとなり、各地域で様々な「自転車をつかった街興し」の取り組みが進められています。
自転車をつかった取り組みには多様な種類があり、各地域の特性に合わせて、なにをどの様に組み合わせて実施すると、どの様な効果が見込めるかなどが、先行事例などを参考にしながら話し合われています。
但し、最近たまに感じることがありまして、そもそも「自転車」が全国レベルで「街興しのための定番ツール(選択肢)」となってはいるものの、「なぜ自転車なのか?」という基本的な部分(疑問)が共有されていないことが散見されます。
そこで、私が認識している「なぜ自転車なのか?」という部分について、少し大袈裟ではありますが以下にまとめてみました。
◯地球を救うため
人は生活をするために移動しなくてはならない。現代の移動手段というのは多かれ少なかれ「CO2」を排出する。「CO2」濃度は過去10万年で最大値になっている。「CO2」の増加は「地球温暖化」の原因であるとかそうではないといった議論はあるものの、これらは人為による環境汚染と破壊に繋がり、CO2酸性化や資源問題に繋がっていくのは間違いない。よって地球規模で「CO2」を排出しない移動手段に切り替えられるものはどんどん切り替えていく必要があり、「CO2」を排出せずにある程度の距離を移動できる最善の手段は現状自転車となる(一日10分間クルマを控えればCO2排出量の1/3削減が可能とのデータあり)。自転車で移動できる街を創ることが先進的な地域の象徴であり、それらが地球の未来を延命させることに繋がっていく。自転車に乗るかどうかを議論するのではなく、自転車に快適かつ安全に乗れる環境を整備することを議論していく。
◯ひとの命を救うため
現在、日本の医療費は少し前のデータで年間約55兆円となっている。これは日本のGDP比約11%の大きさになる。そのうち生活習慣病といわれるものは死亡原因の3分の2といわれている。通勤で自転車を継続利用している人は、そうでない人と比べて死亡率が約4割低くなり、心筋梗塞の発生が男性で4分の1、女性で6分の1削減できるというデータあり。仮に年間医療費を10%削減すると約5.5兆円が他のことに使えることになる。自転車に乗る人が増えれば事故なども一定数増加するだろうが、それ以上に救える命がたくさんあることを認識しなければならない。自転車に快適かつ安全に乗れる環境を整備することを議論していく。
「なぜ自転車なのか?」という理由はもっとたくさん存在していますが、まずは上記2点があるだけでも、これから自転車をつかった国づくりを進めていく必要性がなぜあるのかを理解することができるでしょう。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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