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本日は、京都府井手町を舞台にした映画「神さまの轍(わだち)」の試写会へ行ってきました。
「神さまの轍」は、自転車ロードレースに打ち込む二人の若者の人生を描く青春映画で、作道雄監督が指揮をとり、俳優の荒井敦史さんと岡山天音さんが主演を務める作品です。
昨年秋に、「ツアー・オブ・ジャパン 京都ステージ」の舞台となる京田辺市と精華町のすぐお隣の井手町をメインにロケを行い、地元の皆さんがエキストラとして出演しました。
私自身は元々競技者で、30年近く選手・監督としてひたすらレースに出場し続けました。
しかしその中で強く感じたことは、「一過性ではなく継続的に強い選手を発掘できる環境を創るには、自転車競技だけでなく自転車という乗り物自体が日本国内に於いてより質の高い文化となっていかなければならない」ということでした。
とかく競技出身の人間というのは、物事をみる視野が部分的というか非常に近視眼的になりやすく、全体を俯瞰できないという特徴(問題)を抱えてしまいます。
もちろん監督や選手というのは部分的かつ偏った考え方を持っていても良い存在なのかもしれませんが、それでもその業界全体がそういったマインドの人間で占められてしまうと、お金も人も集まらずジリ貧の中で競技としての理想論を延々と主張する負のスパイラルをずっと続けることになってしまいます...。
質の高い文化を創るにはいろいろなやり方がありますが、そのスポーツを題材とした「映画」が創られるということは、間違いなく「文化創り」のための重要なアプローチの一つだと感じています。
本質的な部分に於いてその時代が必要とする要素を持ったスポーツでなければ有能な人材もお金も集まってこないわけで、「競技力」というてっぺんの尖った部分だけを見るのではなく、全体を司るピラミッドを俯瞰して見れる「視野」を業界全体で身につけていかなくてはなりません。
そういった意味でも、今回この映画を製作いただけたことは、自転車競技界としても感謝すべきことだと思っています。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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