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昨日、『ブエルタ・ア・エスパーニャ 第2ステージ』 の中継で、日本の自転車競技界に於けるスポーツマッサージの第一人者、中野喜文さんとご一緒させていただきました。
中野さんとは十代の頃に同じチームで走っていたこともあり、また、プライベートでもよく会う仲だったので、『ご一緒』 と書くのは本来違和感がありますが、しかしそれ以上に、世界のトップチームで20年近くマッサージャーとして積み上げてきた素晴らしい経験と実績が、なんとなく 『雲の上の人』 という印象を勝手に自分自身のなかに創りあげてしまっていたりもします。
先日のブログにも書きましたが、私自身には、選手や監督しての現場の経験はあるものの、正直、そこに 『達成感』 や 『誇り』 というものは殆ど無く、『少しでもはやく自分が理想と考えている世界を創り自転車界に貢献したい』 という焦りのような気持ちに日々追われています。
『これ以上現場にいてもなにも変えられない』 という思いから、自らいまの場所を選んで仕事をしているわけですが、しかし、選手やチーム関係者などに会うと、彼らが発する独特のオーラに圧倒される自分がいます。
元々自分もそこにいたのに、特にレース会場などへ行くと、『あっ、自分はもう違う人間なんだ』 と思ってしまう瞬間は少なくなく、寂しさとも違う、なんとも言えない感情に支配されます。
『現場のために』 という思いをベースに今も日々行動し続けていますが、心のどこかで 『レース現場に戻りたい』 と感じている自分がいるのは間違いありません。
『現場には現場の価値観』 があります。
それは時に盲目的で、独特の世界観を創りだし、そして、普通ではない光を放ちます。
その光の功罪を理解しているからこそ、まずは、世の中の仕組みに合った枠組みを創り、光が闇に変わらないように 『新しいなにか』 を創ろうとしているわけです。
しかし、心の底では 『現場が放つあの光の中にいつか戻りたい』 と願う自分がいることを、中野マッサーと久しぶりに会って改めて感じました。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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