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各国のナショナルチャンピオンを決める戦いである 『ナショナル選手権』 が、先週末、全世界で一斉に開催されました。
当たり前ではありますが、『ナショナル選手権』 にはその国の国籍を持つ選手しか出場することができないので(一部選手数が少ない国などでは混走のレースあり)、究極のローカルレース(非インターナショナルレース)といえます。
チームの国際化が進む日本国内でも、チームに所属する 『外国人選手』 たちはそれぞれの国に戻って自国の 『ナショナル選手権』 に出場するため、『外国人選手』 の割り合いが多いチームほど、『全日本選手権』 への出場選手数が少なくなり、いつものレースとはだいぶ様変わりしたパワーバランスの上でレースが展開することになります。
そんな 『日本一』 を決める戦いとなる 『全日本選手権ロードレース』 ですが、今年は、1月に 『アジア選手権』 が開催された東京都大島町の公道コースにてレースが開催されました。
ちなみに 『選手権』 系のレースは、毎年コースを変えて開催されることがスタンダードとなっています。
また、伊豆大島で 『アジア選手権』 と 『全日本選手権』 が開催されることになった経緯ですが、2013年に発生した台風26号による大きな災害に対する復興支援という位置付けも含めまれており、大会を開催するために必要となる費用の一部は復興支援金などがつかわれているとのこと。『自転車ロードレース=地域貢献』 という図式は間違った概念ではないので、本来であればもっともっと 『復興支援』 や 『地域貢献活動』 という色を全面に押し出しての開催でも良かったかもしれません。
男子エリートレースの方は、強力なメンバーを擁する 『ブリヂストンアンカーサイクリングチーム』 が完全にレースをコントロールし、終盤まで先頭集団内に多くの選手を残しつつどんな展開でも勝てる状況をつくりだして、最後は見事なワンツーフィニッシュを決めました。
優勝した初山選手は普段はアシストとしてレースを走ることの多い選手ですが、レース中にエースの内間選手が落車してリタイアした影響もあり、途中で急遽チームから勝利を託されたなかでの大金星となりました。
1年のなかでいくつか 『選手人生を変えてしまう』 だけのバリューを持ったレースがあります。そこでの勝利は、文字通りその選手の未来の方向性をも変えてしまうほどの大きな威力を秘めています。
『ガチガチの優勝候補』 が勝つレースも良いですが、アシスト選手が 『大金星を掴む』 レースというのは独特の美しさを放ちます。
もちろん、初山選手は勝つべくして勝ちましたし、勝つための十分な力も持っていました。
しかし、いくつかの 『運命のいたずら』 が今回の勝利を後押ししたのもまた事実です。
そんなロードレースの美しさの一端がみれた、今年の 『全日本選手権』 でした。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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