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サイクル ロードレース コラム 2016年5月3日

バーチャルレース

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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とある打合せの帰り道に 『体感型オンラインサイクリングシステム』 の話を聞きました。

『なにを今更』 と思われそうですが、日々自転車業界のなかにドップリと身を置いているものの 『自分の時間(労働力)をフルに仕事へ提供するワーカーホリック状態』 に陥ってしまうと、ある分野についての情報がずっぽしと抜け落ちしまうことがあります...

最近は地上波のテレビを観る機会が殆どなくなり、『安心してください、はいてますよ』 のネタすら知らないことを周囲に驚かれたりもしました。

そんな中、『オンラインローラー台ゲーム』 がかなり盛り上がりをみせているという情報を遅ればせながら聞きつけた次第です。

要約すると 『ローラー台』 及び 『ローラー台に載せた自転車』 にセンサーを取り付け、スマートフォンやPCを介してオンライン接続し、バーチャルレースやバーチャルトレーニングが行えるというものです。

こういったサービスは以前から存在していましたが、昨今の技術力の向上により、『よりリアルに近いバーチャル体験』 が気軽に楽しめるようになってきたわけです。

なぜ、このシステムに今更ながら反応したかといいますと、現在 『ジェイ・ライド・プロジェクト』 などを中心とした人材発掘に力を入れており、このバーチャルゲームがかなりの可能性を持っていると感じたからです。

例えば、現在私が大会ディレクターを務めている 『ツアー・オブ・ジャパン』 の各ステージのコースデータや優勝者及び先頭集団などの出力データを収集し、それをゲーム化することで、ローラー台上のバーチャル体験で自分がどの辺りまで行けるかをユーザーが手軽に体感することができます(ツール・ド・フランスの先頭集団のデータを設定することも技術的には可能です)。

もちろん現状では実走との間にそれなりの差があるとは思いますし、これだけでは本物の選手を生み出すことはできませんが、それでも最低限必要な走力があるかどうかはすぐにわかるはずです。

すでに海外のある女子チームでは、これらのゲームで 『高記録を出した選手と契約する』 という企画を打ち出しているとのことで、特に日本の様な身近にレースが少ない国にとっては 『選手の発掘』 と 『現在の自分の実力を知る』 ためのツールとしてとても大きな存在になることは間違いありません(特に日本人はゲームが好きなので)。

是非、これらをうまく活用して、効率的な選手発掘システムの構築を進めていきたいものです。

栗村 修

中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。

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