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昨日、2015年Jプロツアー最終戦となる 『JBCFおおいたいこいの道クリテリウム』 が開催されました。
優勝を飾ったのは宇都宮ブリッツェンの青柳選手で、2位にもチームメイトの大久保選手が入りました。
青柳選手はチームの地元である宇都宮出身の選手で、2013年まではシマノレーシングに所属していましたが、不整脈などの症状がではじめた2012年以降本来の走りができなくなり、シマノレーシングとの契約がストップします。
「辞める前にもう一度地元で走りたい」という想いを胸に宇都宮ブリッツェンの門を叩いた青柳選手は、2年間かけて徐々に彼らしい走りを取り戻し、とうとう今シーズンの最終戦でチームメイトの献身的なアシストを受けて国内メジャーレース初優勝をもぎ取りました。
実は、青柳選手は宇都宮ブリッツェンと契約する2013年の冬に、チームトレーナーの指示で心臓の精密検査を行っていました。もし、ここでの検査結果が芳しくなければ、自転車選手を引退することが確定となっていました...。
また、2014年からレース主催者の仕事へ転職することが決まっていた私にとって、この2013年の冬の青柳選手との病院通いは 『監督としての最後の仕事』 でもありました。
たしか、検査結果がでるのに2週間ほどかかった記憶がありますが、青柳選手にとってはとても長い2週間だったはずです。
あまり感情を表に出さない青柳選手ですが、『契約OK、選手を続けられる』 という診断がでた時、彼がハニカミながらも安堵の表情を浮かべたのを今でもよく覚えています。
これまで私は、数えきれないほどの選手たちの夢と挫折を近くでみてきましたし、一人の男が人生の決断をするタイミングにも何度も立ち会ってきました。
心のアンテナが敏感な状態では自分の感情がやられてしまうので、いつしか感情をフラットに保つ術を身につけていきましたが、それでもやはり心を動かされる時が年に何回かあります。
今回の大分ではそんな 『特別な想い』 を感じることができました。
また、今年で2回目を迎えた 『OITAサイクルフェス!!!』 ですが、大成功に終わった昨年以上の観客が会場に集まり、2年目のジンクスを見事に打ち破りました。

この大会の主催者は 『大分市』 ですが、大会に関わる方々の情熱はとても熱いものがあります。
こういったイベントを開催する際には当たり前の心構えなのでしょうが、『守らずに攻めていく』 彼らの姿勢からは多くの刺激を受けます。
いつも書くことではありますが、物事というのは 『現状維持』 を選択すると必ず 『衰退』がはじまります。
民間企業であればそれらをより顕著に感じることができるでしょう。
しかし現代社に於いては、一昔前には 『安定の職場』 と思われていた自治体などについても、安定を求め過ぎると、本質的には 『死』 を選択することに繋がってしまうといえます。
『様々な想い』 と 『素晴らしい情熱』 に触れることができた大分での4日間でした。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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