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photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
2012年、2013年シーズンに宇都宮ブリッツェンに所属し、シンデレラボーイとして国内レース界を震撼させた飯野智行選手。
大学時代はほぼ無名だった彼が、初めて走る国内頂上決戦の全日本選手権エリートロードで、エースの増田選手をアシストしながらも自ら4位に食い込んだ時は、ゴール地点で思わず 『え~!?』 と叫んでしまったのを今でもたまに思い出します。
資金力が豊富でない地域密着型チームの監督としては、彼の様な隠れた才能に触れた時というのがある意味 『監督冥利に尽きる』 瞬間ともいえます。
そんな彼が、2013年シーズンをもって24歳という若さでロードレースの世界から引退してしまいました。
経験はないものの確実に大きな才能を持った飯野選手でしたが、彼が次に選んだのは 『競艇』 というまったく違う世界でした。
時を同じくして、東大卒のエリートライダー西園選手も若くして引退(西園選手は2015年に現役復帰)。ツアー・オブ・ジャパンで総合上位に入った将来ある若き日本人ライダー二人が、一気にレースの世界から姿を消したのです。
実は、飯野選手はまだ競艇の試験に合格していません。
今後彼が競艇選手としてのデビューを果たし、ある程度活躍することができるならば、恐らく全ての日本人ロード選手よりも多くの収入を得ることになるでしょう。
個人的には飯野選手にがんばって欲しいと願う一方で、"ロードレースという世界" の力のなさを改めて思い知らされた出来事でもありました。
一方、私が監督のキャリアをスタートさせたチームミヤタの当時のメンバーたちは今でも各自想いを持って現役を続けており、しかもその多くが国内有力チームのキャプテンを務めたりと、ロードレース界の維持、発展を支えてくれています。
飯野選手の選択は、ある意味で彼の高い向上心が生みだした "チャレンジ" だったといえます。
日の当たらない日本のレース界での活動を続けてくれている選手たちも、『日本でロードレースをメジャーにしたい』 という強い思いの上に成り立っているチャレンジなのは間違いありません。
いろいろと難しいですね...
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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