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10月1日付でUCIがアップデートしたドーピングリストの中にいくつか気になる内容がありました。
まずは先日のブログに書いたアスタナのヴァレンティン・イグリンスキー(アスタナ)の兄、マキシム・イグリンスキー(アスタナ)が弟同様にEPO陽性(Aサンプル)となっています。
兄のマキシムは弟と違ってトッププロであり、2012年のL-B-Lでの勝利をはじめ、多くの優れたリザルトを残してきました。
そして何より、今年のツールに出場してニバリの総合優勝を支えたアスタナメンバーの一人です。
対象となった検査日は8月1日であり、ツール最終日から僅か5日後の日付となっています。
次は、今年のツアー・オブ・ジャパンで圧倒的な強さをみせたタブリーズ・ペトロケミカルのメンバーの一人、GHAFFARI Vahid も6月20日付の検査でEPO陽性となりました。
こちらはツアー・オブ・ジャパン終了から約4週間後の検査日となります。
タブリーズ・ペトロケミカルチームは今年もアジアツアーランキングで上位につけているため、UCI-1クラスのレースであるツアー・オブ・ジャパンは、このままだと来年も同チームを招待しなくてはいけません。
ここまではほぼ間違いなく意図的なドーピングの情報となります。
そしてもう一つ、恐らく不可抗力での陽性反応がリスト上に一件ありました。
ツール・ド・熊野の初日にランダムで検査対象となった日本人選手の一人から、昨年のジャパンカップでのマイケル・ロジャース同様にクレンブテロールが検出されたのです。
この選手は40代の社会人レーサーであり、リザルトも最下位に近いことから、恐らく食肉汚染などによる不可抗力であったと推測されます。
しかし、UCIレースで日本人選手から陽性反応がでた事実は重く受け止めなくてはいけません。
※追記
上記日本人選手のクレンブテロール陽性について、シクロワイアードに取材記事が掲載されました。
http://www.cyclowired.jp/news/node/148017
『喘息の症状があり、その治療のために摂取した新薬の成分に微量のクレンブテロールが含有していたこと、担当医師もそれを知らなかったことが原因』 ということだったようです。
また、個人的に該当チームに確認したところ、本日までこの事実を把握しておらず(このブログの記事で知ったようです)、該当選手の引退については持病の腰痛(ヘルニア)が悪化したためと理解していたとのこと。
改めて該当チームから今回の件についての経緯などを発表するとのことです。
現在、国内でドーピングコントロールが行われていないレースは数多くあります。
一方で、選手の国際化は急速に進んでいます。
意図的、意図的でない、に関わらず、すでに日本国内でもドーピング問題は 『対岸の火事』 ではない状況となっており、早急に対応策などを再構築しなくてはいけません。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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