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photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS
本日、Jプロツアー第7戦となる 『JBCF富士山ヒルクライム』 が、静岡県小山町にあるふじあざみラインの激坂ヒルクライムコース(全長11.4km/標高差1,200m/平均勾配10%/最大勾配22%)で開催され、ルビーレッドジャージを着るトリビオ(チーム右京)が前週の借りを返す走りでモニエ(ブリヂストンアンカー)を大きく振り切って今シーズンJプロツアー2勝目を飾りました。
宇都宮ブリッツェン勢では、5月に一旦コンディションのピークを迎えた可能性のある飯野選手が引き続きチームの期待を一身に背負って得意とする富士山に挑み、ベストのタイムからは2分以上落ちる我慢の走りとなってしまったものの強い気持ちでペダルを踏み続けて8位でフィニッシュしています。
5月のツアー・オブ・ジャパンで日本人最高タイムを叩きだした飯野選手への期待が高まった富士山ヒルクライム。
一方で、飯野選手はエースとして常に好調を維持することへの難しさとも戦っている状況(一般的に好調の状態をキープできる期間は長くても1ヶ月半ほどと言われている)にあり、集中力を切らせば大きく失速して下位でのゴールへと転がり落ちてしまうリスクもはらんだ状態で今回のレースを迎えました。
前週同様に、自国フランスやスペインでジュニア時代からエリート路線を歩んできたであろう強力な海外勢がレースを掌握し上位を独占。
考え様によっては、本場欧州から遠く離れた極東のローカルレースに対して彼らが高いモチベーションを発揮することは困難なことにも感じますが、それでも優勝したトリビオはまるでTOJに出場できなかった悔しさをぶつけるかのごとく強力な走りで好タイムを叩きだしました。
1位のトリビオはヴエルタへの出場経験があり、2位のモニエに関してはジロでのステージ優勝経験すらあります。
カテゴリーの違いを考えれば、まるで宇都宮ブリッツェンの選手たちが未登録レースに出場しているような差があるはずなのでですが、トリビオはTOJに登録の問題で出場できないことを知った瞬間に悔しさで涙を流したらしく(当然グランツールとTOJとの間には大きな価値の差がある)、今回は自分がTOJで優勝争いに絡める力があったと言わんばかりの走りをみせてくれました。
“まだまだ未成熟な国内レースで戦っている”という意識をどこかに持っている我々ですが、グランツールに出場した=ジュニア時代から自国でエリート路線を歩んできたであろう海外勢が高いモチベーションを持って我々のレースを走ってくれていることに対してある種の嬉しさも感じたりします。
彼らを力で負かすことができれば国内にいても世界への階段を上ることができる。
そして今、かつて増田選手がぶち当たった壁と同じ壁に飯野選手がぶち当たって苦しんでします。
一方で、その壁の乗り越え方を最も熟知しているであろう鈴木真理選手が完全復帰への道を少しずつ這い上がってきています。
優れた才能と優れた経験を持ちつつもチームの消滅や怪我によって日本のチームに活路を見出した海外勢の参戦も合わせて、国内レース界が新時代への歩みを進めているのは間違いありません。
現在、宇都宮ブリッツェンは昨年の様な“破竹の勢い”を表現できる状態にはありませんが、一ついえることは色々な意味で“新生宇都宮ブリッツェン”へのチャレンジ真っ只中に置かれているということです。
来週はいよいよ国内の頂上決戦となる全日本選手権ロード(大分県)が開催されます。
今年のコースは全日本選手権ロード史上最も過酷で残酷ともいわれていますが、エリート、アンダー23とも全日本チャンピオンのタイトル獲得を目指して死に物狂いで戦いに挑みたいと思います。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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