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サイクル ロードレース コラム 2013年5月1日

スポーツ選手としての基礎

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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現在、復帰に向けて懸命にリハビリを行なっている鈴木真理選手。

大腿骨を骨折したのが昨年の8月なので、既に8ヶ月もの時間が経過したことになります。

大腿骨の付け根に装着されていたプレートを取ったのが先月のはじめ。

その間も、JISS(国立スポーツ科学センター)などに通い、本当に多くの方々の力と知恵を借りながら気持ちを切らさずに復帰に向けて黙々と進み続けています。

そして、ここへきてようやくレース復帰への光が少しずつ見えはじめてきたわけですが、先日真理選手と電話で話した際に興味深い話を聞きました。

現在、柿沼取締役の旧知の仲でもある斎藤トレーナーにリハビリ指導を受けているのですが、そこでの内容について以下のようなことを話していました。

『25年近く競技を続けてきたけど、まだ体の使い方を含めて知らないことがたくさんあった。フィジカル向上のトレーニングと平行してこういった技術的なこと(身体の使い方)も若いうちから身につけられたら将来はまったく違うものになるはず。』

優れたロードレーサーになるために覚えなくてはいけないことというのは、それこそ星の数ほどあります。

フィジカルだけが優れていてもダメ、レース経験があるだけでもダメ。

いくつかの外国語を最低限理解する必要があるし、何月何日の何時にパリのシャルル・ド・ゴール空港に集合と言われてストレスなく動けなくては話になりません。

どんな国に言っても精神的に安定し、何を食べてもお腹を壊さず、そして多少無理をしても風邪をひかない強さも必要でしょう。

また、カテゴリーや国によってレース展開自体が違うので、それぞれのクセを覚えていく必要もあります。

そして、鈴木真理選手が話していたように、スポーツ選手としての基礎になる人間の体の仕組みを知る事や、自転車を効率的に前に進めるための特殊な体の使い方なども覚えていかなければなりません。

実はこの部分の知識が日本人選手には大きく欠けている気がします。

結局、これらの様々な要素をいかに若いうちに安定的に身につけることができるかが重要になってきます。

もちろん以前から言っているように、圧倒的なフィジカルの才能を持ってさえいれば、本場のピラミッドのなかに飛び込むだけであとは自動的に階段を駆け上がっていくことができます。

しかし、現状では新城選手などが踏んだステップを焼き直せる才能を待った日本人選手がいない以上は、知恵を絞っていかないと新たな未来を創くることは不可能でしょう。

やらなければならないことがどんどん明確になる一方で、それらがあまりにも多岐に渡っていて、かつ、もの凄い量なので何度もフリーズしかけてしまいます。

ただ、それらを根気よく一個ずつでも積み上げ続けていくことで、いつか、誰も到達できなかった高みに辿り着ける時がやってくるはずです。

継続は力なり、最近本当にそう感じます。

栗村 修

中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。

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