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『ゼロ・トレランス』という言葉をウィキペディアで調べてみると、『1990年代にアメリカで始まった教育方針の一つ。「zero」「tolerance(寛容)」の文字通り、不寛容を是とし細部まで罰則を定めそれに違反した場合は厳密に処分を行う方式。日本語では「不寛容」「無寛容」「非寛容」等と表現され、転じて「毅然たる対応方式」などと意訳される。』と説明されています。
自転車ロードレースの世界では、Team SKY がドーピング撲滅のために設定しているチーム内規定(過去にドーピングの経歴がある選手・スタッフは一切雇わない)を表現するための言葉としてよく使われています。
現在、本場ヨーロッパのプロトンのなかには、過去にドーピング陽性となった経歴を持つ選手が数多く走っています。
また、実際に陽性反応が出ていなくとも、なんらかの疑惑があった選手を含めるとその数はかなりのものとなってしまいます。
もし、自転車ロードレース界全体で『ゼロ・トレランス』を採用すると、相当数の選手とスタッフが職を失い、また、チームオーナーが過去に禁止薬物使用の経歴を持っているケースもあるので、チーム自体が消滅することにも繋がってくるでしょう。
バイオロジカルパスポートが導入されるようになってからは、それらの監視下に置かれているUCIプロチームや、プロコンチネンタルチームに所属している選手たちの禁止薬物使用は以前に比べてかなり困難になってきているといわれています。
その影響か、ここ数年、コンチネンタルチームの無名選手がビッグレースで総合優勝を飾る例が目立つようになってきました。
結局のところ、尿検査などの競技内検査だけでは、能力向上薬品の検出や自己輸血の有無などを全て調べることは困難だということなのでしょう。
結果的に、ハイカテゴリーのレースとローカテゴリーのレースのレベル差がグッと縮まり、同様にトップチームの選手とそうではないチームの選手との差も以前よりかなり小さくなってきているようです。
そして、『ゼロ・トレランス』という言葉と逆行するように、未だに、過去に何度も謹慎処分を受けたような選手を雇うチームがあります。
そういったチームには、同様の考えを持った人間が集まってきてしまいます。
全体でみると、『ゼロ・トレランス』の考え方を持った関係者の割合は10%以下でしょう。
例え正しい価値観を持った人間がいたとしても、それが極少数なら全体を変えることは難しいのかもしれません。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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