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先日、『木を見て森を見ず…』をという題名のブログを書きましたが、最近益々森を見れる人が減っているようですね…
世界的な選手を数多く安定的に生み出すには何が必要か?
簡単です。
1. その競技の特性に合った優れたフィジカルを持っている選手を発掘する
2. 選手のフィジカル、メンタル、そしてその競技に必要なスキルやノウハウを効率的に強化する
3. その競技で頂点を極めることでの、社会的、経済的なメリットを創りあげる
上記の要素を優先順位順に並べると、3→1→2となるでしょう。
◆3
一部の変わり者を除いて、大多数の人間は自らの人生に於いて3の要素を重要視して生きています。
優れたフィジカルを持った子供たちがメジャースポーツに向かうのはある意味で当然なのです。
◆1
先日のブログにも書きましたが、日本の自転車競技人口は約5,500人(JCF登録者数)。
これにはロードレース以外の競技を行なっている選手数も含まれているので、実際、本格的にロードレースというスポーツに取り組んでいる選手数は恐らく1,000人もいないでしょう。
しかも、日本に於けるロードレースというスポーツの評価はマイナースポーツにカテゴライズされているので、全体的な傾向としては、他のメジャースポーツで結果を残せなかった人材が入ってきている状態にあるといえます。
ちなみに、フランスの自転車競技人口は約70,000人(総人口は日本の約半分)、ベルギーの自転車競技人口は約50,000人(総人口は日本の約10分の1)いるといわれています。
これらのメジャー国では自転車競技のプライオリティが高いので、エンデュランス系の優れたフィジカルを持った子供たちが多くこの競技へ参入してきます。
◆2
最後の要素が2、いわゆる強化になります。
もちろんこの要素も非常に重要ですが、本場で自転車競技をはじめた地元選手たちが皆日本の選手たちよりも強いかというとそうではなく、日本人選手よりも強い本場の選手がたくさんいるのと同じように、日本人選手より弱い本場の選手たちもたくさんいるのが実情です。
ですから、本場に『選手が強くなるための理想的な環境』があるのは事実としても、そこにさえ居れば全てOKではないのは明らかなのです。
結論として2(木)というのは、3と1(森)を満たしてはじめて意味が生まれるものなのですが、何故か3と1をみることのできない人たちが大半のようで、2を中心とした話しか語られない状況となっています。
自転車ロードレースの場合、3と1さえクリアーしてしまえば、あとは対象選手を本場の優れた環境に置いてあげれば、その中で自然と上に上がっていく仕組みとなっています。
逆に言うと、本場の優れた環境に居るのに上に上がっていけない選手というのは、決定的な1が足りていないということになってしまいます。
残酷な言い方ですが、その様な選手に対して時間とお金を使うことほど無駄なことはありません。
但し、日本に『プロ野球』や『Jリーグ』があるように、その選手の実力にあったリーグが自国にあるのならば、そこで走ることはマクロで見ると非常に重要な要素となります。
何故なら、ピラミッドの中腹としての経済活動が生まれ、そこにリーグがあることで3と1の推進に繋がっていくからです。
これら『森』という観点でみると、他にも数えきれないほど解決しなくてはいけない要素が存在しています。
例えばVISA問題…
あまり知られていないかもしれませんが、現在EU域内への渡航&滞在に関してはシェンゲン協定というものがあり、加盟地域内(オーストリア、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイスランド、スイス、ほか)全ての滞在日数が累積カウントされ、日本人の場合は、加盟地域内でのVISA免除滞在が『6ケ月以内90日間』に制限されます。
そして、累積滞在日数が『6ケ月内90日』を満了した後にシェンゲン加盟国に再入国する場合は、最初の入国日から6ケ月を経ないと再入国できません。
要するに日本人の場合、なんらかのVISAを取得していない限り、1年のうちにシェンゲン加盟国に滞在できる最大日数は6ヶ月間で、連続では90日間がマックスとなります。
一旦滞在期間が90日に達してしまった場合、シェンゲン加盟国に再入国するには約3ヶ月ほど空ける必要があるのです。
現在海外活動している選手たちなどは皆然るべきVISAなどを取得しているのでしょうから問題はないでしょうが、今後こういった活動が拡大していくならば、いつか『自転車選手の不法滞在』が問題になる時が来るかもしれません。
これらを解決するのにも、もっと長期的かつ組織的な取り組みが必要となってきます。
一般社会に於ける物事の進め方や認識などと比べて、私自身の考え方や知識がすごく幼稚で浅はかだなと感じることが多々あります。
しかし、そんな私からみても、びっくりするようなことが平然と起きる世界に、未来などあるはずがありません…
求む!アタマの良い人…(普通でいいので)
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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