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photo(c):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS


先週末に広島中央森林公園で開催された「第45回JBCF西日本クラシック」に於いて、宇都宮ブリッツェンの下部組織である「ブラウ・ブリッツェン」の若手のホープ、堀孝明選手(18)がJエリートツアーのE3クラスタで優勝を飾りました。
レースの写真を見たチーム関係者が「イイどや顔してるねぇ」と言ってるのを聞き、「どや顔」がどんな表情を指すのかちゃんと理解していなかった自分はついググってしまいました…
《「どや」は「どうだ」の意の関西方言》 得意顔 のこと。
自らの功を誇り「どうだ」と自慢している顔。
とのこと…
そして、阪本カメラマンが撮影したレース画像をチェックしていると、『どや顔』のお手本の様な堀選手の写真を見つけました。
斧理事長を見る彼の力強い表情に大物の片鱗を感じます!
どんなレースでも勝つことは簡単ではありません。
練習では強いけどレースで結果を残せない選手というのは意外と多くいます。
堀選手が優勝した「E3クラスタ」はJBCFロードシリーズの初級カテゴリーなので、堀選手には今後超えなくてはいけない壁がまだたくさんありますが、まず最初のステップを踏んだことは評価して良いと思います。
さて、そんな下部組織を持つ地域密着型チームの宇都宮ブリッツェンが目指しているのは、ヨーロッパに多く存在している地域密着型のクラブチームの形式です。
今年のジロ・デ・イタリアで大活躍したチームレディオシャックの別府選手も、かつてはフランスの名門クラブチームである「ラポム・マルセイユ」に所属して、フランス国内のシリーズ戦やUCIレースなどを転戦していました。
「ラポム・マルセイユ」は、宇都宮ブリッツェンと同じくUCIコンチネンタルチームで、フランス国内のシリーズ戦と、各国のUCIレースを主戦場としています。
チーム規模が最も大きかった時は、その予算は1億円近かったと言われていますが、それだけの大口スポンサーを得ていた時でもチーム名は企業名ではなくて「ラポム・マルセイユ」のままでした。
そして、名門「ラポム・マルセイユ」のベースとなっているのが、「ヴェロクラブ・ラポム・マルセイユ」です。
こちらの「ヴェロクラブ・ラポム・マルセイユ」は、子供からおじさんレーサーまで、いわば誰でも加入できるいわゆるクラブチームとなっています。
「ヴェロクラブ・ラポム・マルセイユ」が参加するレースというのは、フランス国内で細かくカテゴリー分けされたアマチュアレースになります。
これらを分かりやすく説明するために強引に日本の現状へ当てはめてみると、、、
◆海外プロチーム(プロチーム、コンチプロなど) ⇒ 国内プロチーム(アイサン、アンカー、シマノ、マトリックス、NIPPOなど)
出場レース ⇒ 世界中のUCIレース(ハイカテゴリー)
※現状では国内のプロチームのレベルは宇都宮ブリッツェンとさほど変わらず出場しているUCIレースもローカテゴリー
◆海外トップクラブチーム(ラポムマルセイユなど) ⇒ 国内地域型チーム&クラブチーム(宇都宮、湘南、奈良、ショップ系クラブチーム、大学チームなど)
出場レース ⇒ 各国シリーズ戦(日本ではJプロツアーなど)及び、UCIレース(ローカテゴリー)
◆海外クラブチーム(VCラポムなど) ⇒ 国内各クラブチーム(ブラウ・ブリッツェン、湘南や奈良の下部チーム、ショップ系クラブチームなど)
出場レース ⇒ 各国アマチュアレース(日本ではJエリートツアーやJCRCなど)
※このほか日本には学校スポーツもあるので高体連や学連のレースも存在している
かなりざっくりとしているので細かなところは気にしないでいただきたいですが、大まかに説明するとこんな括りになっています。
宇都宮ブリッツェンの役割は、ブラウ・ブリッツェンで地域の優秀な若い選手を発掘し、国内シリーズ戦や地域のUCIレースを戦う宇都宮ブリッツェンに昇格させ、選手を安定的に発掘育成しながら日本国内に於けるレースピラミッドを構築することです。
現状での宇都宮ブリッツェンの目標というのは、Jプロツアーでの年間タイトルを獲得することや、国内のUCIレースで結果を残すことです。
しかし、これらの目標が達成され、更にチームの経済基盤も強化されるならば、宇都宮ブリッツェンの上部組織(企業名がチーム名となるいわゆるプロチーム)が創設されて、いつかツール・ド・フランスを目指す時が来るかもしれません。
ただ、その様な理想的な展開が訪れたとしても、地域型クラブチームのブラウ・ブリッツェンと、地域型コンチネンタルチームの宇都宮ブリッツェン、そして国内のレースシリーズは引き続き大切にすることになります。
ちょっと長くなってしまいましたが、そんなフィロソフィーを持つ宇都宮ブリッツェンにとって、ブラウ・ブリッツェンの堀選手が挙げた勝利というのは、遠い未来に存在する大きな目標に向けての重要な一歩となるのです。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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