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アルデンヌクラシックの主、フィリップ・ジルベールが圧倒的な力の差を見せつけてフレッシュ・ワロンヌを制しました。
先日の日曜日に開催されたアムステルゴールドレースに続く勝利で、いよいよアルデンヌクラシック3連勝という偉業が視野に入ってきています。
石畳系のクラシックで圧倒的な強さを示したファビアン・カンチェラーラがマークを振り切れずに未勝利に終わったのとは対照的に、ジルベールはまるでアマチュア選手を相手にしているかのごとく容易に勝利を手に入れました。
しかし、ジルベールが現在の強さを今回の勝利同様に簡単に手に入れたかというとそうではありません。
彼はデビューしてからしばらくは無謀と思えるようなアタックを繰り返し、圧倒的なスピードで飛び出すも、その後は勢いが続かずにどこかの国の解説者に「黄金のタレ」という皮肉まで言われていました。
同じような走りを繰り返してジャーナリストの批判を浴びながらも力をつけていった選手にシルバン・シャバネルがいます。
また、先週のJPT舞洲クリテリウムで優勝した澤田選手も同じように「もっと考えて走れ」と指摘されてきました。
基本的にレースというのは勝たなければ意味がありません。
年間を通して自己満足的な攻めの走りを繰り返して結果を残せなければ、スポンサーやファンは離れていきいずれチームはなくなります。
選手の満足とチームを支えてくれる方々の満足は必ずしも一致はせず、やはりどんな形であれ勝利に対してスポンサーやファンの方々は喜びの感情を示してくれます。
しかし、選手の将来を考えるならば、ジルベールがそうだったように無謀とも思える走りをチームとして容認する気持ちも大切でしょう。
ストーカー行為が代名詞となりつつあるポッツァートは、ファンだけではなくてチームマネジャーからも見放されつつあります。
チーム戦術がより高度になってきている現代のロードレースに於いて、圧倒的な力の差を見せつけて勝つことは徐々に難しくなってきているはずです。
それでも、ジルベールは正直なやり方で勝利を重ねました。
宇都宮ブリッツェンも攻める心を忘れずに結果を残せるチームを目指したいと思います。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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