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サイクル ロードレース コラム 2010年12月6日

次の10年

しゅ~くり~むら by 栗村 修
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昨日のイベントで、リクイガスの中野マッサーと話す機会がありました。

そこで、「次の10年」というキーワードを中野さんが口にしました。

中野さんとは十代からの付き合いで、かつては同じチームでレースを走っていたこともあります。

20代の僕たちは手探りで夢を追い、私はプロ選手として欧州に挑み、中野さんはマッサーとしてイタリアのプロチームの門を叩きました。

30代になり、私は選手を引退してチームの監督となり、中野さんは様々な苦難を乗り越えながら本場で一流マッサーとしての地位を築いていったのです。

そして、間もなく40代がはじまります。

きっと、50代になっても60代になってもできることはたくさんあると思いますし、逆に50&60代にしかできないこともいっぱいあるのだと思います。

しかし、命を削るような仕事に取り組めるのは、恐らくこの10年が最後になる気がします。

私は、未だに自分自身に対しては、まともな将来設計を描いたことがありません。

夢はあっても、自分を守るための行動には縁遠い人生でした。

前に進むためのパワーが消え去った時、周りには何も残っていないんではないか?という恐怖感に襲われる時もありますが、それが男の生き方だと未だに信じています。

しかし、老いにはいつか必ず屈っするでしょう。

その時に自分の人生を悔やむかもしれませんが、歴史的にみて、男の人生などそんなもんなんだろうと思っています。

この先の10年…

この国は、いま安定的な雇用に対する需要が相当に高まっていますが、自分たちで雇用を生み出し、世界と戦おうとする若者の数がかなり少なくなっています。

先日、ある方に、「守られている、もしくは守りに入った産業は必ず衰退していく」というお話を聞ききました。

本当の意味で豊かな将来を望むなら、戦えるときに戦わないと未来の灯は消えていきます。

いまこの国にある豊かさは、かつて命を削って戦った時代に築いた「貯金」がもたらしているものです。

残念ながら「貯金」はいつか必ずなくなります。

自分にとっての次の10年、それは未来に繋がる光を灯す戦いになるのでしょうか?

栗村 修

中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。

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