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本日、解説を担当した「ツール・ド・スイス 第5ステージ」で、ケガや不調の影響で、約1年以上に渡って勝利から遠ざかっていたマルクス・ブルグハートが、嬉しい復活のステージ優勝を飾りました。
その影では、連日、必ず数件はクラッシュが発生し、選手がレースから去っていきます。
昨日もゴール前で派手なクラッシュが発生し、今期ケガで前半戦を棒に振っていて、ようやく戻ってきたばかりのハウッスラーが再びリタイヤに追い込まれました。
また、本日のステージでも、コーナーを曲がりきりなかった選手が観客の親子に突っ込み、選手と観客ともに病院に搬送されるという痛ましいクラッシュが発生…
冷静に考えると自転車レースはとても残酷であり、選手たちは常にケガ(命)の危険に晒されている状態にあります。
事故に逢わなくとも、レースやトレーニング自体が非常に過酷なこともあって、故障やオーバートレーニングに悩まされるトッププロも数多くいます。
昨日、今期宇都宮ブリッツェンに加入したばかりのルーキー若杉選手が、数週間の休養をとるよう、チーム側から指示を受けました。
この決定は、監督である私と、若杉選手と練習を共にしている柿沼コーチ、そして、若杉選手自身の意思を含めて決められました。
環境が変わった選手が、本来の力を失う現象はよくあることです。
その場合、練習を続けていって急にトンネルを抜ける選手もいれば、まとまった休みをとって急回復をみせる選手もいます。
若杉選手については、今期の不調についていくつかの要因が考えられてきましたが、ここへ来て再び状態が悪化したこともあり、検査を受けて数週間の休養をとることになりました。
自転車ロードレースは、弱き者、準備のできていない者を、完膚なきまでに叩き落とす残酷な面を持ったスポーツです。
レースのレベルが上がれば上がるほど、根性やトレーニングの質の影響は薄れていき、その選手が持つ資質が試されるようになります。
我々は、若杉選手に資質があると判断しています。
このまま消えていくのではなくて、いずれ中期的な超回復をみせてレースの現場に戻ってくると考えています。
苦しみのなかでなにかを見付けてくれれば、この時間も有益なものとなるでしょう。
栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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