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サイクル ロードレース コラム 2024年12月21日

ファンデルプールが砂地ダウンヒルでシーズンイン!【シクロクロス2024/25 WC第6戦 ゾンホーフェン:プレビュー】

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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シクロクロス

「クイル=窪地」と呼ばれる砂地でのダウンヒルが名物のゾンホーフェン大会

独走の日々が再び始まるのか。マチュー・ファンデルプール(オランダ)が冬の狩場に帰ってくる。世界チャンピオンが初戦の舞台に選んだのは、12月22日(日)、UCIシクロクロス・ワールドカップの第6戦。シリーズ屈指のど派手な難所が自慢の、ベルギー・ゾンホーフェン大会だ。

楽しいクリスマス休暇が幕を開け、ワールドカップ史上初の週末2連戦。土曜日には斜堤との格闘が用意されていたが、この日曜日には、巨大な蟻地獄が待ち構えている。1958年に誕生した伝統レースが、2010年に大昔の採砂場に会場を移転し、以来、「クイル=窪地」と呼ばれる砂地でのダウンヒルこそが大会の風物詩となってきた。

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【ハイライト】UCIシクロクロス ワールドカップ 第12戦 ゾンホーフェン|Cycle*2023

メインイベントは、いきなり周回前半に訪れる。なにやらスキー場ように幅広でまっすぐの急坂は、ふかふかの砂で埋め尽くされていて、フェンスの両脇にはぎゅうぎゅうに詰めかけた観客たち。そこを選手たちが急降下するたびに、「おおぉ〜」という感嘆の声が鳴り響く。なんたるスペクタクル。まさに壮観。もちろん下りきったらすぐに、急勾配を上って、すり鉢の底から逃げ出さねばならない。

しかも2シーズン前にコースは大幅に複雑化された。中盤にも砂地でのロングダウンヒルをこなし、さらには砂地での細く短い下り……からのU字カーブを抜けて……の激坂上り!周回を重ねるたびに、コーナー部の地面は深くえぐれ、いびつになっていく。サドルの上でのバイクコントロールに加えて、すばやく自転車を飛び降り、担ぎ上げる瞬時の判断力も求められる。

至極当然ながら、1年前の砂遊びは、すんなりマチューの手に落ちた。昨季14勝1敗の絶対的強者に、苦手コースなどというものが存在するはずもなく、ここゾンホーフェンもアンダー時代から通して8回走り、うち6回で両手を挙げている。

ただ去年は、スタートから序盤25分ほどは「様子見」と称して集団前方に留まっていたから、ファンにとってはありがたいことに、クイルでの駆け引きをたっぷりと堪能することができた。4周回目の砂地ダウンヒルで決定的にその他大勢を突き放すと、後はいつも通り、マチューは悠々と独走で締めくくったのだけれど。

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【ピットでのバイク交換】辻啓のシクロクロス解説動画 第5弾

来年の2月2日に史上最多タイとなる7枚目のアルカンシェル獲りを目論むマチューにとっては、去年よりもほんの1週間ほど遅いシクロクロスシーズンイン。アンダー19時代からの過去13年間、シーズン初戦で負けたことはただの2回しかない。うち1回は膝の手術直後(2015年)で、もう1回の2021年は、東京五輪マウンテンバイクでの落車で背中の故障を抱えていた上に、直前の落車で膝も痛めていた。今回はもちろんオランダ代表監督が「マチューがシクロシーズンを始めるのは、キャパシティ100%の状態になった時だけ」と断言しているからして、期待通り、初っ端から異次元の走りを披露してくれるに違いない。

堂々ゼッケン1番をつける世界チャンピオン相手に、スペシャリストたちも出来る限り喰らいつきたい。特にワールドカップ開幕戦から表彰台をほぼ独占してきたベルギー勢には、絶好調マイケル・ファントゥレンハウトに並び、過去2回ゾーンホーフェン大会を制したトゥーン・アールツや、この地で4度の表彰台乗りを経験したローレンス・スウィークも控えている。

「彼を倒すのは可能だ、と毎年考えるのだけれど、実際に彼の後輪で2分くらい走ると、こう思ってしまうんだ。『残念ながら、また来年トライすることにしよう』って」……とシーズン前に告白した前年ワールドカップ総合覇者エリ・イザビット(ベルギー)にも、今冬こそは折れずに立ち向かってほしいもの。

前日のフルスト大会に続き、日本の梶鉄輝と岡山優太も、砂の魔物へ挑む。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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