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岩山の上に築かれた中世の要塞都市で行われる「シタデル(城塞)クロス」は難所だらけ【シクロクロス2024/25 WC第4戦 ナミュール:プレビュー】
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか難易度をあげるキャンバー区間
土まみれの石畳に、まるで壁のような激坂、そしてトリッキーな斜面……。ナミュールの要塞には、ありったけの障害物が詰め込まれている。世界屈指の美しい舞台に描かれた、ヨーロッパ最高級の難コース。12月15日(日)、UCIシクロクロス・ワールドカップ第4戦を攻略するのは、間違いなく真の強者だ。
暴風雨のせいで、前週サルデーニャでの第3戦は中止された。海の香ただよう島レースの初開催は、改めて1年後に楽しみに待つとして、ただでさえ昨季よりもレース数が2つ少ない2024/25ワールドカップの、貴重な1戦が消えてなくなったことは残念でならない。「スペシャリスト」たちにとっては、特に。というのも約1週間後には、ロードとシクロクロスを股にかける巨人2人が、いよいよ泥んこサーキットに戻ってくるのだ!!
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【先行】Cycle*2024 第30回 全日本自転車競技選手権大会 シクロクロス 男子U23/男女エリート
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Cycle* UCIシクロクロス ワールドカップ 2024/25 第4戦 ナミュール(ベルギー)
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【ハイライト】UCIシクロクロス ワールドカップ 第8戦 ナミュール|Cycle*2023
昨冬6度目の世界制覇を成し遂げたマチュー・ファンデルプール(オランダ)は、12月13日、ついに今季のスケジュールを公表した。待望の初戦は、なんと1週間後の12月22日。ワールドカップ6戦を含む全11戦を転戦予定で、2月2日の世界選手権@リエヴァン・フランスでシーズンを締めくくる。
マチューの良き宿敵であり、やはり3度の世界王座を誇るワウト・ファンアールト(ベルギー)も、12月23日からシクロクロスシーズンに突入だ。ワールドカップにも年明けに3つ転戦。うち2回で、マチューとの激突が期待される。
彼ら2人の参戦は、シクロクロスファンにとっては朗報に他ならない。ただし他の選手たちにとっては、おそらく、絶望を意味する。なにしろトム・ピドコック(イギリス)──1年前のナミュール大会勝者であり、ロードチームの移籍は発表されたが、シクロクロスの活動予定はいまだ不明──も含めた「ビッグスリー」は、昨季はワールドカップ後半7戦をひとつ残らずさらいとってしまったのだから。
だからこそスペシャリストたちは、中でもワールドカップ総合優勝を狙う実力者たちは、マチュー&ワウト襲来前に出来る限り勝利とポイントを積み上げておかねばならぬ。
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【ホールショット】辻啓のシクロクロス解説動画 第4弾
第2戦ダブリン大会を制し、現在ワールドカップ総合首位につけるマイケル・ファントゥレンハウト(ベルギー)にとっては、ナミュールとは、3年前にはワールドカップ戦を、2年前の欧州選手権では独走勝利を手にした相性の良いコース。一方で第1戦アントワープ大会覇者エリ・イザビット(ベルギー)は、昨季の4位が最高位。ただしジュニア・U23時代は優勝1回を含む表彰台を4回経験しているから、必ずしもナミュールを苦手としているわけではなさそう。
もちろん岩山の上に築かれた中世の要塞都市で行われる「シタデルクロス」は、決して一筋縄では行くまい。スタートラインには石畳が敷き詰められ、その後もコース上のあちこちで泥に覆われたパヴェを横切らねばならぬ。屋外劇場の周辺では舗装路も通過するが、コースの大部分は林の中に引かれ、ふかふかした土が車輪に絡みつく。ところどころには意地悪な木の根も顔を出す。
世界指折りの起伏コースとしても知られる。スタート直後にはやたらと長い上り坂が立ちはだかり、終盤には短い激坂が2つ。自転車に乗って駆け上がるのも厳しいが、自転車を担いて泥坂をよじ登るのもまた、至難の業だ。上りの後には、当然のように、ひどくテクニカルな下りも待っている。
しかも2030年、つまりベルギー独立200周年の祝祭の年にシクロクロス世界選手権を受け入れるナミュールを、とりわけ難解なものにしているのが地元フランス語でいうところの「デヴェール(dévers)」、いわゆる「キャンバー」の存在だ。斜めに傾いた土の道を、選手たちはバランスを取りながら、時にはずり落ちながら、爆走せねばならない。
アイルランドやサルデーニャといった「海外」レースと比べて、シクロクロスの本場ベルギーで開催される大会だからこそ、世界各地から多くの選手が乗り込んでくる。日本人選手の梶鉄輝も参戦予定で、単純に見積もっても出走人数はダブリン大会の約2倍!すると……スタート直後には、凄まじく壮観なホールショット争いも巻き起こるはずだ。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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