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サイクル ロードレース コラム 2024年11月23日

「スヘルデクロス」の愛称で知られるコースの見どころはフィニッシュライン手前の長い長い砂地獄【シクロクロス2024/25 WC第1戦 アントウェルペン:プレビュー】

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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シクロクロス

UCIシクロクロスワールドカップ2024/2025が開幕!

土と戯れる季節が、今年もやって来た。UCIシクロクロスワールドカップ2024/2025が、11月24日(日)、ベルギーのアントワープにて幕を開ける。秋冬の寒空の下、今シーズンも熱き戦いが巻き起こる。

アメリカから走り出すのが近年の常だったが、今季ワールドカップの戦場はヨーロッパのみ。おかげで去季に比べて2戦少なく、全12戦で争われる。

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自ずと1戦1戦の結果が、ワールドカップ総合成績を追い求める上で、より重要になってくる。各レースの1位から25位には順位に従ってポイントが与えられ(1位40p、2位30p、3位25p、4位22p、以下1pずつ減っていき……25位1p)、来年1月26日の最終戦を終えた時点で最もポイントの多い選手が、晴れてシーズン総合優勝に輝くのだ。

ワールドカップの開幕時期も約1ヶ月遅くなった。ただしシクロクロスシーズンは通常通り10月から本格化しているからして……いわゆる「スペシャリスト」たちの準備はできている!昨季2度目のワールドカップ総合制覇を成し遂げたエリ・イザビット(ベルギー)を筆頭に、今季すでに3勝と好調ラルス・ファンデルハール(オランダ)、11月上旬に欧州選でスペイン人として史上初めて表彰台に上がったフェリペ・オルツ(スペイン)、さらには着実に成長を続ける若き才能ニールス・ファンデピュット(ベルギー)に、常に高め安定のマイケル・ファントゥレンハウト(ベルギー)、復活の兆しを見せる一昨季王者ローレンス・スウィーク(ベルギー)等々、実力者たちは今回の第1戦から全力で飛ばすに違いない。

数少ない例外が、昨ワールドカップ総合2位、なにより世界選で人生初のメダルを手にしたヨリス・ニューエンハイス(オランダ)。帯状疱疹で長らく休養を強いられ、このアントワープこそが、今季初の実戦だ。

一方リドル・トレックの一員として、今季ロードレースで9勝と大躍進のティボウ・ネイス(ベルギー)は、11月3日にはシクロクロスでヨーロッパチャンピオンジャージをつかみ取った。伝説級の大選手スヴェンの息子にして、11月12日に22歳の誕生日を迎えたばかりの若き才能は、この冬、さらなる大化けの予感。

J SPORTS サイクルロードレース【公式】YouTubeチャンネル

【ハイライト】UCIシクロクロス ワールドカップ 第9戦 アントワープ|Cycle*2023

もちろんロードレースファンにとって最も気になるのは、「ビッグ3」の動向だろう。世界選3勝ワウト・ファンアールト(ベルギー)は、「シクロクロスの現場で僕の姿が見られるのは間違いない」と公言。ヴィスマ・リースアバイクの合宿が12月19日に終了した後、クリスマス前後からの転戦開始が予想されている。この夏にマウンテンバイクで五輪2連覇を成し遂げたトム・ピドコック(イギリス)は、「現時点では出場なし」と休息を優先させた。「でも可能性は残されている」と、やはりクリスマスから新年にかけての参戦をほのめかす。

肝心のマチュー・ファンデルプール(オランダ)に関してだけは……11月22日現在、まったくもって先行き不明。昨冬はまさに無双状態で、楽々とシクロクロスエリートで6枚目のアルカンシェルを身にまとったが、来年2月2日にもしも史上最多タイ7勝目を獲りに行くつもりなら、どこかの時点で必ずワールドカップを走りに来る。

つまり今回のワールドカップ初戦には、残念ながら、アントワープ近郊で生まれ育ったマチューとワウトは欠席する。しかも過去8大会は2人が栄光を独占してきたから──マチュー優勝7回&2位1回、ワウト優勝1回&2位5回──、なんと完全なる新しいチャンピオンが誕生するという!

「スヘルデクロス」の愛称で知られる今大会のコースは、今年もスヘルデ川左岸シント・アンナ・ビーチに引かれた。見どころはフィニッシュライン直前に現れる、長い長い長い砂地獄。深い轍に車輪を取られてしまわぬよう、巧みなハンドルさばきが求められる。幸いにも天気予報は曇りながら、前日まで雨続きだから、重めの馬場になりそう。週半ばには真冬並みの寒波に襲われたが、レース当日の日曜日は、逆に季節外れの暑さに見舞われるとのこと。

ちなみに来年には川岸の工事が施工されるため、どうやらコース越しに広がる現在の風景は、今回で見納めなんだとか。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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