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夏の主役たちが一挙来日の豪華共演 レースにとどまらない、思いがけないチャレンジも!?【Cycle*2024 ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム:レビュー】
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介優勝ビニヤム・ギルマイ、2位プリモシュ・ログリッチ、3位マーク・カヴェンデッシュ
世界最大の自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」2024年大会の主役たちを中心に、トップライダーがさいたまに集結。11月2日のさいたま新都心は紛れもなく、世界のロードレースの中心地となった。
今年で10回目の記念大会だった「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」は、高層ビル群を縫うように走り、途中ではさいたまスーパーアリーナを通過。今年は雨のレースとなったが、そんな天気を感じさせない沿道からの熱気と、スター選手たちの力強い走りがひとつになって、日本が世界に誇る都市型クリテリウムを成功へと導いた。
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ただ、このクリテリウムの楽しみはレースそのものだけにはとどまらない。会場内外での華やかな演出に加えて、選手たちはレースを前にさまざまなアクティビティに挑戦。ハイシーズンでは経験できないような、「さいたまだからこそ」成せたチャレンジングな時間を味わっている。
前日1日には、さいたま市内交流会として、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)、マーク・カヴェンディッシュ(アスタナカザクスタン)、プリモシュ・ログリッチ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が合気道に挑戦。ロマン・バルデ(dsmフィルメニッヒ・ポストNL)、ビニヤム・ギルマイ(アンテルマルシェ・ワンティ)、ヤスペル・フィリプセン(ツール・ド・フランス クリテリウムレジェンズ)は琴演奏にトライした。
その後、カヴェンディッシュ、ログリッチ、バルデ、ギルマイの4人はさいたまスーパーアリーナへ。こちらも前日の恒例行事となった「ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム 前夜祭スペシャル」に出演し、レース中継解説でおなじみの栗村修さんやフローラン・ダバディさんとの掛け合いで会場、そして放送を盛り上げる。トップスターは「口も達者」で、クイズでは珍回答もありながら、さいたまの夜を華やかに。放送前には「J SPORTSサイクルロードレース」SNSアカウント用のムービー収録にも臨み、コース発表になったばかりのツール2025の印象や、来季への意気込みを語っている。
レース外チャレンジの極め付きは、「ジャパニーズスイーツを食べてみよう!」。レース当日のさいたまスーパーアリーナ内に特設されたジャパニーズスイーツコーナーに、引き寄せられるように現れた選手たち。一様に「なんだコレ……」感を示しつつも、おそるおそる口にしてみると……オイシイ! スティックくずもちを「アイスとジャムの中間」と評したバルデや、レース用にもっていきたいと興奮気味のログリッチなど、反応はさまざまながらも総じて日本の甘味は「Very good!!」のよう。フルーツ大福がお米から作られていることを知り驚くビッグネームなどなど、その模様もYouTube、Instagramで。新城による「生まれて初めての食レポ」もあるのでぜひご覧を!
さいたまスーパーアリーナの屋内スタート!
さて、肝心のレースはというと、進行とともに雨脚が強まるハードなコンディション。ときおり落車も発生し、“ツール・ド・フランス第22ステージ”の別名に違わないタフな状勢に。そうした中でもクリテリウムメインレースはアタックとキャッチが連続する見どころ満載の展開になって、最後はスプリント勝負。ここで強さを見せつけたのがマイヨ・ヴェールで走ったギルマイだった。今年のツールで3勝を挙げ、初のポイント賞を獲得したアフリカンスプリンターが初の日本でもスピードを証明したのだった。
新城選手、ログリッチ、バルデの逃げで盛り上がりは最高潮に!
レース途中では、今季限りで現役を退くJ SPORTS解説でもおなじみ畑中勇介(キナンレーシングチーム)が逃げでバルデやクリストファー・フルーム(ツール・ド・フランス クリテリウムレジェンズ)らを率いる場面や、新城が果敢にメイン集団を牽引するシーンも。残り3周では新城、ログリッチ、バルデが飛び出し、最終周回の鐘とともに2人を引き離したログリッチがあわや逃げ切りか、という独走劇を見せるなど、大会史に残る名勝負となった。
結果的に、優勝ギルマイ、2位ログリッチ、3位カヴェンディッシュと、役者がきっちりポディウムを占めた。引退前最後の日本での雄姿となったカヴェンディッシュは、ツール通算35勝のスペシャルジャージを着用。表彰後にはスペシャルセレモニーでこれまでの活躍を改めて祝福する場が設けられ、本人の口からも日本のファンへの感謝が伝えられた。
ものすごい加速でログリッチを抜き去り優勝したギルマイ
また、勝ったギルマイは「2年前から走ることを望んでいた」と念願のさいたまで会心の走りを喜んだ。今季は1月にオーストラリアでシーズンインし、最後は日本での勝利締め。「たくさんの国に行けて充実していた。来年もきっと日本に戻ってくるよ」と約束して会場を後にしている。
なお、トップ3以外の各賞は、ポイント賞は中間スプリント4回中3回トップ通過したフィリプセンが、山岳賞は同じく4回中3回トップで通過したバルデがそれぞれ受賞。ヤングライダー賞はギルマイが獲得。クリテリウムメインレースに先立って行われたチームタイムトライアルは、シマノレーシングが優勝した。
ツール・ド・フランスのスーパースターがレース内外で“らしさ”を見せたさいたまでの日々。きっと、「シーズンの締めは日本が一番!」と思ってくれていることだろう。レースでは激しく、だけどそれ以外では楽しく。それを体現する時間となった。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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