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サイクル ロードレース コラム 2024年10月11日

4連覇を狙うポガチャルが最有力候補、とびきり歴史的だった2024年の締めくくりは最後のモニュメント【Cycle*2024 イル・ロンバルディア:プレビュー】

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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イル・ロンバルディア

マドンナ・デル・ギッザロ教会への上り

秋が深まり、静寂に包まれたコモ湖畔が、この日だけは熱狂で染まる。シーズンもクライマックス、今季5つ目にして最後のモニュメント。クライマーやパンチャーだけに許された起伏クラシックが、とびきり歴史的だった2024年を、壮大に締めくくる。

来年で創設120周年を迎え、長い伝統を有するイル・ロンバルディアは、ここ数年はスタートとフィニッシュを毎年交互に入れ替えてきた。つまり今回は、ベルガモ発コモ着。いわゆる「難しい側」だ。

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イル・ロンバルディア コースマップ

イル・ロンバルディア コースマップ

「ここ10年で最も難しい」と謳われた2年前のコースと、データ上はほぼ同じ。走行距離は252kmと長く、獲得標高に至っては4800mと、昨大会より400mも上回る。

なによりレース前半から容赦なく難関が襲いかかる。特にパッソ・ディ・ガンダは全長9.2km、平均勾配7.3%の本格派山岳であり、しかも頂上までの2.7kmは平均9.8%、最大15%にも至るという激坂でもあり。ちなみにコモ発ベルガモ着の場合はガンダこそが決戦地で、1年前も3年前も、ここでタデイ・ポガチャルが勝利への加速を決めている。一方で今回はスタートから50km前後での登場で、いわばライバルの脚を試すテスト会場となる。チューリッヒでは残り100kmでアタックを打った世界チャンピオンが、今回は残り200kmで飛び出してしまった場合を除いて!

イル・ロンバルディア コースプロフィール

イル・ロンバルディア コースプロフィール

サイクリストたちの聖地にして、まさにイル・ロンバルディアの守り神、マドンナ・デル・ギッザロ教会への上り(全長6.3km、平均勾配4.1%、最大10%)は、残り80km前後でこなす。自転車乗りたちの安全を祈り、レース通過に合わせて鳴らされる鐘の音はまた、真剣勝負の幕開けを告げるゴングでもある。

ついには2024年大会の勝負地がやってくる。その名もソルマノ……。1960年からわずか3大会だけ登場し、2012年に復活を果たしたものの、2020年を最後に再びコースから消えていた幻のような上り。

イル・ロンバルディア

イル・ロンバルディア

幸か不幸か、平均15.8%超・最大25%超というムーロ(壁)には、今回は足を踏み入れない。そして、すべての選手にとって幸いなことに、2020年大会とは逆走で上り下りを行う。すなわち当時20歳のレムコ・エヴェネプールがひどく落車し、骨盤骨折と肺挫傷を喫したダウンヒルは、今回は登場しない。それでもコルマ・ディ・ソルマノが、ひどく難しい坂道であることは間違いない。登坂距離12.9km、平均勾配6.4%、最大13%で、ラスト1kmだけなら9.1%にも至る。てっぺんまで駆け上がったら、栄光のフィニッシュまで残すは42kmだ。

今回の最終盤には、2年前にポガチャルが大きなふるい分けを企てたチヴィリオ(4km、10%)は組み込まれない。ソルマノを越えた後は、コモ側フィニッシュではおなじみの最終坂サンフェルモ・デッラ・バッターリア(2.7km、7.2%)だけが、フィニッシュ手前5.3kmで、勝負の行方を見守る。

イル・ロンバルディア

イル・ロンバルディア

いずれにせよ、コースの進行方向が変わろうが、途中の上りが微妙に入れ替わろうが、ポガチャルが優勝大本命に推されるであろうことには変わりはない。初出場の2021年にいきなり優勝をさらい取り、現在3戦3勝と、イル・ロンバルディア勝率100%を誇るのだから。

つい2週間ほど前に、ポガチャルは、37年ぶりにジロツール世界選の同一年制覇「トリプルクラウン」を達成しばかり。しかも世界一になってからわずか6日後のジロ・デッレミーリャでは、またしても軽々と独走勝利を収ている。世界チャンピオンが「レインボージャージの呪い」に悩まされることなく、マイヨ・アルカンシェル初戦をあっさり制したのは、2005年世界王者のトム・ボーネン以来。ただボーネンは2005年最終戦(世界選)→2006年初戦と年をまたいでの成功だったから、虹色ほやほやで立て続けに勝ったのは、1995年アブラハム・オラーノ以来29年ぶりだった。

イル・ロンバルディア

4連覇を狙うポガチャル

当然ながら、今回ポガチャルが4連覇を成し遂げたとしたら、またしても新しい記録が自転車界に記されることになる。なにしろ1946〜1949年に「カンピオニッシモ」ファウスト・コッピが4年連続で同大会を勝ち取って以来の、75年ぶりの快挙だ!!イル・ロンバルディアの勝利数自体は史上2位タイとなり(コッピは5勝)、モニュメント7勝は、現在6勝で並ぶマチュー・ファンデルプールを差し置いて現役最多となる。

今季のグランツールからワンデーレースまで喰らい尽くしてきたポガチャルに立ち向かうのは、パリ五輪で男子史上初の個人タイムトライアル&ロードレースのダブル金メダル、さらには史上初の同一年五輪個人TT&世界選個人TT制覇をも成し遂げてしまったエヴェネプールに違いない。唯一の懸念は、五輪を完全にスキップしたおかげで未だ元気満々なポガチャルに対抗できるだけの調子を、果たして保っているかどうか。

例年通りシーズン終盤に来て調子を上げているエンリク・マスは、2年前に一騎打ちスプリントでポガチャルに敗れた悔しさを晴らしたいはずだし、1週間前のジロ・デッレミーリャでポガチャルに次ぐ2位に飛び込んだトム・ピドコックも、初のモニュメントタイトルを追い求めている。また今シーズン大躍進のマッテオ・ヨルゲンソンは、この春はフランドル系を中心に回ったが(そしドワルズ・ドール・フラーンデレンを制したが)、秋の最難関モニュメントでも必ずや実力を発揮できるはず。

イル・ロンバルディア

イル・ロンバルディア

夏以降、ワンデーの調子を徐々に上げつつあったニールソン・パウレスは、2日前のグラン・ピエモンテ優勝で完全なるピークに突入したし、大会当日に38歳の誕生日を迎えるマイケル・ウッズは、ジロ・デッレミーリャ4位とまだまだ元気。

一方で39歳のダリオ・カタルドは18年の、41歳のドメニコ・ポッツォヴィーヴォは20年もの長く輝かしいプロ生活を、母国のモニュメント、イル・ロンバルディアで終える予定だ。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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